バイタルサインを測定したら、その状態や数値が現す情報を正しくアセスメントし、その後の看護活動や治療に役立てなければなりません。

また、いつもと違う、何か変とい直感も大切にすることで、異常早期発見出来ることもあります。

収集したバイタルサインの数値や観察情報を基に、看護師は、正しく分析、評価し、リーダーや上の看護師、医師への報告を行い、次へ繋げる医療や看護を行う事が必要です。

では、呼吸、脈拍、体温、血圧の測定値を基に、正しく評価し、記録、報告を持って患者さんの異常早期発見、今後の医療活動に役立てる情報源としましょう。

バイタルサイン測定値の報告と記録

報告は、ただ数値を知らせるのではなく、正常か異常かを判断し、簡潔明瞭に状況を伝えることが必要です。

異常数値がある場合、それは、治療や薬剤の副作用が絡んでいる為か、本当の急変や状態悪化を知らせるサインなのか、患者さんの精神状態等に起因するのもなのかアを判断し、その情報と共に伝えなければなりません。

「異常です」と伝えただけでは、何をもって、どうして異常なのか、その状態に対して自分は放置しているのか、何か対策を行ったかなどが分かりません。

異常があったから、その異常に対して意思の指示に基づき処置お行ったのか、自分の判断で看護ケアを行ったのかなどを合わせて報告します。

例えば、高熱があり、悪寒戦慄が無い為自分の判断でクーリングを行ったとか、何度以上で必要薬剤の指示がある為、その薬品を使用しますなどの報告があれば、チームリーダーも安心です。

そして、今後起こりうる危険や状態を伝えること、薬剤や治療によりどのように改善されるかもしれない事を伝え、記録として残せれば、次の勤務帯や別の看護師に伝わり継続した看護を続行し易くなります。

また、異常と正常を判断し、その記述も必要です。

いつ、何の異常を呈していたのか、それに対して自分は何のケアや処置を行ったのか、その効果を示し、その後、何か介入したのかを継続的に記述します。

この方法は、SOAPを用いて行われることが多いです。

体温測定とアセスメント

体温を変動させる要因として、基礎代謝、運動代謝、新陳代謝などがあり、運動、食事、活動、入浴、精神状態等が影響しあいます。

日中高くなる体温は、入眠時になると自然に下降し、日内変動を来たすことも知って区必要があります。

一般的に正常な体温は36.5度前後と言われていますが、個人の平熱や活動、代謝などにより異なり、一概にこれが正常と言えないことがあります。

よって、その特定の人の平熱を知る事でその正常と異常の判断を行います。

腋下体温を測定する事が多く、これは、条件により容易に変動するものです。

解放状態に合った体温を測定する場合と、閉鎖的で密着していた腋で測定するのでは測定値に変化が見られます。

よって、毎回同じ条件で測定する事が必要です。

また、測定が活動により上昇を来たす恐れがある為、安静状態の後に測定する事も必要です。
そして、麻痺側、側臥位の下側の腋、点滴刺入側では、影響がある為、別の側での測定を行います。

脈拍測定とアセスメント

脈拍異常は、その回数とリズム、強弱、欠帯などの出現を持って観察されます。

人間は、成人において1分間に60回から100回の心拍、脈拍を行っていると言われています。

その状態より早いと頻脈、遅いと徐脈と判断されます。

頻脈:1分間に100回以上の脈拍

心室頻拍、甲状腺機能亢進状態、心不全、低酸素状態、高熱や脱水、精神的興奮やヒステリー、貧血や痛みの我慢などが原因です。

徐脈:1分間に60回以下の脈拍

重度の心不全、強心剤の副作用によるジキタリス中毒、臥床状態や安静による心負荷の軽減状態、スポーツ心臓などから心臓自体が強い場合で正常な場合もあります。

脈拍測定には、心臓疾患等により左右差を来たすこともある為、左右の脈拍の違いにも着目した観察が必要です。

呼吸回数とアセスメント

呼吸回数は自意識により変動を来たす為、さとられないように測定する事が必要です。

よって、脈拍測定の延長で自然に呼吸回数の測定を終わらせるなどの方法で対処します。

呼吸回数の正常値は、平常時1分間に12回から20回弱程度の回数が正常と言われています。

高齢者では、安静時回数がゆっくりとなったり、乳幼児では成人よりやや多い呼吸回数が性状です。

1分間に20回以上を頻呼吸、12回以下を除呼吸と言い、回数は正常で深さが増している状態を過呼吸、深くゆっくりな呼吸をクスマウル呼吸と言います。

また、規則的に波打つ深さに変動を来たす呼吸は、チェーンストークス呼吸と言います。

呼吸回数は、前後の活動や運動、精神状態等に影響を受ける為、安静時に測定する事が必要です。

リズム、深さ、回数また、必要時は呼吸音の聴取や肺音の聴取も行います。

そして、呼吸状態を現す他覚症状として、顔色や表情、口唇や爪のチアノーゼ、末梢手指や足指の冷感なども合わせて確認します。

血圧測定とアセスメント

血圧の正常値は、WHOの保健機関で決められています。

最高血圧140mmhg以上、最低血圧90mmhg以上を高血圧と診断し、正常血圧は、最高血圧130mhg未満、最低血圧85mmhg未満とされています。

血圧測定は、左右そちらで測定しても良いものですが、必ず測定方向を一定にし、麻痺側や患側は避け、乳がんなどでリンパ郭清した方向た血液透析のシャントのある方向は禁忌です。

どちらかと言えば、心拍の状況から左の測定値の方が高めに測定されることの方が多いようです。

また、治療では、左右測定の際は高い方の血圧を採用し治療に反映させます。

そして、血圧が与える因子として、患者さんの基礎疾患、呑んでいる薬剤の影響、降圧薬の有無や強心薬の使用、精神疾患治療薬の使用や鎮静剤の使用、ヒドロの活動や生活パターン、緊張状態などの影響も受ける為、一度の測定でその結果を判断するのではなく、複数回測定する事で異常の発見に役立てることとなります。

まとめ

バイタルサインのアセスメントとその報告や記録について理解できましたか?

どの分野においても一度の結果でどうこうするのではなく、継続的な測定と他覚症状や自覚症状を合わせてアセスメントに役立てる必要があります。

患者さんの発するサインをトータル的に把握し、患者さんの身体が何を示しているか捉える観察力と判断力が必要です。