看護師という職業柄、患者さんからの不満をぶつけられるなど、時には理不尽な思いをすることってありますよね?

それが疾患からくるもので、仕方のないものだとわかる場合には納得もいきますが、明らかに横暴な要求も、中にはあります。

働く上で、どこまでは許容範囲で、どこからが度を超えた要求なのか、違いや対応方法を知ることは非常に重要です。

ここでは、それらの違いについて解説します。

実践の場でぜひ活用してみてください。

通常のクレームと悪質なクレームの違いって?

いきなりですが、問題です。

【問題1】患者さんが、入院費が高いから値下げしろ!とナースステーションに怒鳴り込んできたとします。これは通常の苦情でしょうか、それとも悪質な難クレームでしょうか。

【問題2】患者さんが、なかなか氷枕を変えてくれない看護師に苛立ち、いつまで待たせるんだと部屋の外に聞こえるほどの声で怒鳴った。

さて、みなさんの答えはどうでしょうか。

おそらく、問題1については、すぐに答えはわかっても、問題2の方は、人によっては迷われたと思います。

それこそが、クレームの対応の難しいところなのです。

明らかに度を超えた要求は分かっても、人によって判断が分かれる場面も多くあります。

そのため、実際には、直面した人の判断に委ねられ、適切な対応が求められるのです。

みなさんも経験はないですか?

こんなことがあったの!と同僚に話をした際に、「よくあることだよ」という反応を受けてしまうと、自分にとって本当に辛かったことでも、大したことがないというように自分に言いきかせてしまうような時ってありますよね?

もしかしたら、それは客観的にみたら、実はモンスターペーシェントによる悪質なクレームかもしれません。

判断が難しいところですが、毅然とした態度で臨むためにも、一般的に言われている違いについて具体的に見ていきましょう。

通常のクレーム

これは、医療業界に限ったことではなく、世の中どこでも発生しています。

商品が壊れていた、サービスが悪いなど、数え上げればきりがありませんが、医療でも同じように、日常のどの場面でも起こりうるものです。

これらのクレームのほとんどが、提供したサービスなどに対して、満足のいく結果が得られなかった場合に発生します。

例えば、「時間通りに来たのに、待ち時間が長い」、「説明が分かりづらい」などですが、これらのクレームは、ほとんどが誠実に対応することで解決をできる内容、それが通常のクレームです。

この種類のクレームの対処法は、看護師が患者からのクレームを上手く対処するためのポイントで解説しています。

悪質なクレーム

先に挙げた通常のクレームとは異なり、当然の権利を主張するというスタンスではなく、全く見当違いな結果を要求するものがほとんどです。

さらに、最初は通常のクレームに見えていても、のちのち悪質なものへと変化することもあります。

そういう場合には、さらに線引きが難しくなります。

ただ、いずれの場合にも、これまでの対処法として何を試しても通用しなかったり、暴言や暴力を伴う場合には悪質クレームと言って良いでしょう。

実際にどんなクレームがあるのか知りたい方は、看護師辞めたくなるのも無理はない…患者からの理不尽なクレーム事例をご覧ください。

悪質なクレームへの対応方法

今回のテーマであるモンスターペーシェントによる悪質なクレームへの対処方法は、一般的なクレーム対応の時のように、傾聴や共感を示す必要はありません。

それらをしたところで、相手は聞く耳を持たずに悪化するのみです。

まず、大切なことは、毅然とした態度を取り、動揺しないことです。

動揺して条件を提示してしまえば、相手の思う壺で、要求は過大なものへと変化します。

もちろん誠実に、対応することは必要ですが、必要以上にへり下る必要はないので、堂々と拒否をしてください。

とは言え、強面の男性が怒鳴り込んできたら、一人で対応することは難しいかもしれません。

そういった場合のために、無理難題を押し付けてくる患者さんがいた場合、まずはどのような対応をして、それがダメな場合には、どのステップに進むのか、職場全体でルールを作ることもオススメです。

また、組織全体で悪質クレームを断固受け付けないという姿勢をポスターなどで示すことも大きな効果があります。

しかし、実際には上記のこともわかっているけど、現実的になかなか対応できないという方もいるかもしれません。

そんな時は、思い切って転職をする方法もあります。

悪質なクレーマーが何度もやってくるなど、地域に依存することも多いため、別の地域に転職をして、特定の患者さんを避けることもできます。

また、受診数が圧倒的に多くて、多忙極まりない外来などに勤めている場合には、職員も患者さんもストレスを抱えてしまい、大きなクレームに発展することもあります。

その場合には、人数に余裕のある職場や、完全予約制のクリニックなどに移ることも良いかもしれません。

いずれにしても、悪質クレームは個人での対応ではなく、組織全体で対応することが必須です。

そのような体制の整った職場で、安心して働きたいですね。

最後に

大切なことは、「悪質クレームに対しては毅然と断固拒否!」です。

モンスターペーシェントなんかに負けずに、自分にあった職場で楽しく働きましょう!