1.目的と適応

自然排泄の困難な患者に対し、強制的に排便させる方法。

便秘の種類

  1. 習慣性便秘
  2. 排便を我慢した結果、排便反射が低下する。摘便が効果的。

  3. 弛緩性便秘
  4. 腸蠕動運動の低下により、便が腸内で停滞し、便の水分が吸収され続けることによって便が固くなる。高齢者や長期臥床の患者に多い。

  5. 痙攣性便秘
  6. ストレスにより副交感神経の過緊張で大腸が収縮し、蠕動運動が弱まる。若い女性に多い。

2.必要物品

グリセリン浣腸

  • ディスポーザブル浣腸器
  • ピッチャー
  • 温度計
  • 手袋
  • バスタオル
  • 処置シーツ
  • ガーゼ
  • 潤滑剤
  • 差し込み便器
  • トイレットペーパー
  • ビニール袋
  • 尿器

摘便

  • 手袋
  • バスタオル
  • 処置シーツ
  • ガーゼ
  • 潤滑剤
  • 差し込み便器
  • トイレットペーパー
  • ビニール袋
  • 尿器

3.手順

グリセリン浣腸

  1. 必要物品を準備する
  2. 部屋の準備を整える
  3. 体位を整える
  4. ・患者を左側臥位にし、下着を下げ、バスタオルをかける
    ・軽く膝を曲げる

  5. 臀部の下に処置シーツを敷く
  6. 必要物品を処置のしやすい位置に配置する
  7. 浣腸器の先端に薬液を満たすように空気を抜く
  8. ・浣腸液は、ピッチャーにぬるま湯を入れ、事前に直腸温よりやや高めに温めておく(40度前後)
    ・温度の確認は、前腕の内側を使うと確認しやすい

  9. ストッパーを挿入の長さに合わせて動かす
  10. 直腸の長さ:約6cm程度

  11. チューブの先端に潤滑剤を塗布する
  12. チューブを挿入する
  13. 挿入時は患者に口呼吸を促す

  14. 浣腸液を注入する
  15. 50ml:15秒程度の速度で注入する

  16. チューブを抜く
  17. 便意を感じても3~10分程度薬液の効果出現までは我慢させる

  18. 便器をあて、排便を促す
  19. 肛門を清潔にする

摘便

  1. 必要物品を準備する
  2. 部屋の準備を整える
  3. 体位を整える
  4. 臀部の下に処置シーツを敷く
  5. 肛門を刺激する
  6. 人差し指に潤滑剤を塗り、肛門の周囲のシワを伸ばすようになぞって刺激する(肛門の緊張をほぐすため)

  7. 指を挿入する
  8. 患者に口呼吸を促す

  9. 便塊をかき出す
  10. 指を直腸壁に沿って回転させ、便塊をかき出しながら徐々に奥へ進めていく

  11. 便器をあて、排便を促す
  12. 肛門を清潔にする

4.合併症

  • 粘膜損傷、腸管穿孔
  • 直腸の走行からずれたり、チューブを深く挿入することで引き起こす恐れがある。

ワンポイントメモ

急激な血圧変動によるショックや、努責による頭蓋内圧亢進に陥る可能性があるため、脳圧亢進患者や重篤な心疾患患者には注意が必要である。

そのため、処置の前後には必ずバイタルサインを測定しましょう!!