胃がんとは

胃がんとは、胃壁にある粘膜が何らかの原因で変異を起こし、がん細胞となったものである。

自覚症状のでにくいがんのため、発見された時にはある程度進行していることがほとんどです。

また、現れる自覚症状も胸焼けや嘔気など、他の疾患による消化器症状との鑑別が難しく、ますます発見が遅れる要因になっています。

細胞の分類としては、ほとんどが腺がんで、分化型と未分化型に分けられます。

同じ胃がんでも、細胞の組織型や分化度などで治療方針は異なります

胃がんの分類

胃がんはその大きさと深さで分類されます。

どこまで浸潤しているか(深達度)、リンパ節転移がどこまで及んでいるか(リンパ節転移程度)、他臓器への転移(遠隔臓器転移、腹膜転移、肝転移など)の有無などによって、4つのステージに分けられます。

診断や分類は、採血による腫瘍マーカーのチェックや、UGI(胃バリウム検査)、上部消化管の内視鏡検査での観察、検体の採取を行い、その病理結果によって行われます。

治療効果や進行度のチェックには、CT画像も役立ちます。

治療方法:手術

胃がんの治療の中心は、手術療法による患部の切除です。

手術では、胃の病変を取り除くほか、転移の可能性のあるリンパ節の郭清と、食道の再建も同時に行われます。

全て開腹、内視鏡の両方で行うことができるため、患者様の状態(年齢や既往歴など)で判断されます。

内視鏡的粘膜切除術:EMR

胃壁にある病変を生理食塩水などで持ち上げ、スネアという金属製のワイヤーで挟み焼却して切除する方法。

内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD

病変を生理食塩水などで持ち上げ、内視鏡用のメスを用いて胃壁より剥離していく方法。

内視鏡での切除の適応は、転移がなく、2cm以下の早期胃がんのみとなっています。

幽門側胃切除術

胃の出口である幽門部付近を切除する手術です。胃は残りますが、食物貯留能や消化能力は殆ど失われてしまうので少量をよく噛んで食べられるよう食事に配慮と指導が必要です。

噴門側胃切除術

胃の入り口である噴門側を切除する手術です。噴門にある食道への逆流防止弁もなくなってしまうため、逆流性食道炎のリスクが高くなります。

胃全摘出術

胃の全てを摘出し、食道と空腸を繋いで食道にします。ダンピング症候群や逆流性食道炎などの合併症が一番起こりやすい術式のため、術後は少量頻回の食事と、食べた直後の運動や就寝は控えるよう指導が必要です。

胃の手術後は、カルシウムや鉄分などの栄養素の吸収も悪くなるので食事中の割合を増やす他、必要に応じて点滴や錠剤で補います。

他の治療方法

がんが進行するにつれ、転移のリスクも高くなり化学療法や放射線治療の併用が必要になります。

特に、遠隔転移の伴うⅣ期のがんでは、手術によって病変の全てを取り除くことが難しくなるため、化学療法や放射線治療が中心の治療となります。

ただし、減量手術や、胃癌からの出血や狭窄によって食事が取れないことを改善する目的に、胃の摘出を行うこともあります。