ツアーナースは、小中高生の修学旅行や一般のパックツアーなどに添乗し、旅行客が個別行動をしている場合は旅館待機、集団行動の場合は一緒に観光地へ赴き、旅行者が訴える症状や車酔い・熱中症、虫や草によるかぶれなどに対応することが主な仕事です。

以前は子育てを終えて再就職を考えている40代の有資格者から人気のある仕事でしたが、近年では病院勤務の看護師が転職する先としても注目しています。

ツアーナースの仕事をするにあたっては、看護師免許だけが求められ他に必要な資格はありません。しかしながら修学旅行などに同乗するナースは基本的に1人のため、ある程度の実務経験が必要とされます。

■小さな体調の変化に敏感に

ツアーナースになると旅行客に起こっている小さな体調の変化にも気づく必要があります。例えば、真夏の外での観光の場合、旅行者は観光に熱中し過ぎて自身の体調に気を配れなくなることがあります。

そうした旅行客への早めの配慮や予防策の提案などが必要となり、病院で勤務するナースよりも多くの人を対象にする分、より広い範囲にいる旅行者へ配慮するスキルが必要とされます。

■判断力

ツアー団体に医療従事者は1人のため、判断能力も問われます。軽いと思っていた熱中症が処置によっては悪化する可能性もあり、ただの風邪の症状だと思っていた頭痛や吐き気が、重大な病気の初期症状であるかもしれません。

病院で使用するような難しい機器の操作や細かい数値管理がないため、自分自身の経験や判断に頼る事になりその責任は大きいです。症状を見て、時には近くの病院に搬送し帰宅を促すこともツアーナースにとって重要な仕事の一つです。

■心のケア

修学旅行では、まだまだ小さい小学生などでは両親と離れて宿泊する不安や寂しさで夜間にホームシックになる学生、慣れない場所や寝具で寝ることが出来ずにナーバスになる学生がいて心のケアが必要になります。

学生に付き添い、話を傾聴し安心感を与えることが重要であり、ツアーナースを続けていくとコツを掴み身につくスキルになります。

■外国語の分かるツアーナース

近年の中高生の修学旅行先には海外が含まれる場合も多くなってきているため、学校側は外国語がわかるツアーナースを強く希望します。旅費がかからず海外へ行くことができるのはかなり魅力的に思われますが、その分国内旅行に増して何倍もの責任がのしかかってきます。

国内旅行よりも体調を崩しやすく、怪我をした場合でも日本で考えられない感染症などにも気を付けなくてはならず、緊急時には現地のドクターやナースと連携して治療にあたることもあります。

海外での業務にも支障がない程度の語学力が必要とされ、ある程度の英語力があれば業務を通して更にそのスキルを伸ばす事ができる点もこの仕事の魅力です。

ツアーナースは、仕事をしながら旅行する事が出来、子供ともたくさん触れ合うことができるため近年人気がどんどん増加してきていますが、あくまでもツアーナースは医療従事者であり旅行者の命に責任を持つことが必要です。

仕事(看護)を忘れて旅行を楽しむようでは、医療従事者のプロとは言えません。

関連資格

ツアーコンダクター(旅程管理主任者)

ツアーナースは、基本的に医療行為でしか旅行に関わることがありませんが、ツアーコンダクターは日程管理や旅館予約、旅行者の安全確保など旅行に関するすべての業務に携わることができます。その業務に次いで看護師免許を持っている場合は、医療行為を同時に施すことができます。

とはいえ、ツアーコンダクターは初心者・未経験者が取得できる資格ではなく、基礎添乗業務研修を修了し、所定の添乗業務を経験している事が必要です。ツアーナースをきっかけとして旅行業務に興味を持ち、勉強してみる事も一つの旅行の楽しみ方になるかもしれません。

旅行業務取扱管理者

旅行全体の責任者になるためには、国家試験である旅行業務取扱管理者資格の試験に合格しなくてはいけません。旅行業務取扱管理者資格を持っていれば様々な旅行会社でも引く手あまたであり、そこに看護師免許も持っていれば転職には困りません。旅行者としては、旅行の責任者が医療従事者であることは長い日程になるほど心強いものです。