総合病院や大学病院のような大規模病院を中心として、NICUという新生児集中治療室を設けている医療機関もいくつもあります。NICUの入院患者は生まれたばかりの赤ちゃんで、何かしらの病気にかかっている、今後かかるリスクの大きな子供ばかりです。

そこでNICUにおけるケアも大事ですが、退院した後のアフターエアをしっかり行えるかどうかも赤ちゃんの順調な生育をするうえで欠かせない条件となります。

医療機関の中には、NICUの患者を対象にした退院調整看護師を付けているところも見られます。

退院支援計画の立案

NICUにおける退院調整看護師の業務ですが、他の病棟と同じく退院支援計画を策定することが含まれます。

赤ちゃんが退院した後問題なく発育できるようにするためには、どのような支援が必要かを検討していきます。退院調整看護師一人で作成するのではなく、担当医や赤ちゃんの家族、社会福祉士などと連携して作成することになるでしょう。

退院支援計画の中には、そもそも患者が入院することになった経緯、治療内容、退院時期のめど、退院した後の生活拠点、育児をするにあたっての協力者、利用が検討される福祉サービスなども含まれます。

これだけの細かな内容をフォローするためには、入院した段階から家族などとしっかりコミュニケーションをとる必要があります。

家族のフォローアップ

NICUにおける治療ですが、一般病棟と比較してもかなり大がかりなケースが多いです。いろいろな医療機器に囲まれ、チューブが赤ちゃんの体とつながっていると家族の間に不安感が漂うこともあります。

「この子が退院してしっかりやっていけるだろうか?」「子供をどう育てていけばいいのか?」といった悩み・不安にさいなまれるケースも結構あります。

また特にお母さんの間でしばしば見られることですが、「子供をこんな状況に追い込んだのは自分のせいだ」と思い込んでしまうケースもあります。

このようにお母さんが自分を責めてしまうことは往々にしてあるので、決してお母さんが悪いわけではないということを退院調整看護師は説明することも重要な仕事です。

お母さんは最も子どもと密に今後接触する肉親となるでしょうから、赤ちゃんの病気に対する理解を深めていき、退院した後の親子の生活を具体的にイメージさせるような面談も行う必要があります。

家族との接触の中で情報を得る

NICUの退院調整看護師を見てみると、夜勤を担当するケースは少ないようです。日勤のみの仕事になりますので、NICUにやってくる面会の家族とも出会う機会がおのずと増えます。

このようなタイミングを見計らって、家族の思いをヒアリングすることも大事です。子どもに対する家族の思い、どのような形で子育てのバックアップを行っていくのかなどの話を聞くチャンスです。

聞いた話はNICU病棟で勤務しているほかの看護師などの医療スタッフにも報告します。こうすることで、家族の思いを病棟内で共有できるので家族と病院が協力しながら、赤ちゃんと家族の退院に対するバックアップ体制を整えていきます。

NICUの退院調整看護師は、入院した当初からかかわることになります。そして患者とその家族の抱えている問題を理解しながら、できる限り解決するためのサポートを行います。

そして退院への着実なステップを踏んでいきます。退院に向けて、何の心配もなく自信を持てるようなお手伝いをするのが、退院調整看護師の重要な役割になります。

患者の家族の中には、いろいろと赤ちゃんのことについてわからない事・不安なこともあるでしょう。そのような相談に乗るのも、NICUの退院調整看護師の仕事内容の一つです。

しっかり相手の訴えに耳を傾け、丁寧に相手に納得してもらえるように説明をすることが求められます。また退院後福祉サービスを利用する家族も多いでしょうから、関連する機関と連絡を取ることも退院調整看護師の仕事の一部です。