医療ドラマも多数放送されるようになって、中にはドクターヘリを取り扱った作品もしばしば見られます。

このようなドラマを見た看護学生や看護師の中には、「自分もいずれフライトナースをやってみたい」と思う人も多いようです。

空を飛び回って、いろいろな人々の命を救うといわれるだけでも意義のある仕事のような感じがします。

しかしフライトナースは常にドクターヘリに乗って、救急看護の必要な患者のケアを行っているわけではないです。

他にもいろいろな仕事がありますので、まずはフライトナースの業務内容を把握しましょう。

基本は救急看護師として勤務する

フライトナースと言われると、ドクターヘリに乗って仕事をするのが中心という感じがするかもしれません。

しかしドクターヘリはそう頻繁に飛び回ることは少ないです。

またフライトですが数名から10人くらいまでのフライトナースがいて、シフト制でヘリに乗って勤務します。

つまりフライト担当でない日もあるわけです。そのときには、救急看護師として救急外来で勤務します。

ちなみにドクターヘリを抱えている順天堂大学医学部付属静岡病院では、11名のフライトナースが在籍していて、シフトを回しています。

だいたい1人当たり月3日程度のフライト担当日が設定されるといいます。つまり月の大半は救急外来で勤務をして、時折ドクターヘリに乗って活動するという感じになります。

シフトのある日は?

もしドクターヘリのシフトの日になったら、基本は救命看護師として従来通りの勤務をします。しかしドクターヘリの要請はいつ来るかわかりません。

もしヘリの出動要請があった場合、救命看護師としての仕事はすぐにやめて、ドクターヘリに乗り込みます。フライトドクターや整備士などの必要なメンバーがそろい次第テイクオフ、現場に向かうことになります。

ちなみに先ほども紹介したように、いつドクターヘリの出動が行われるかわかりません。いつ出動要請があっても良いように必要な準備はしておきます。

例えばフライトスーツと呼ばれるフライト用の作業着を身に着けて、救命看護師の仕事をします。要請があってから着替えをしていては遅くなります。

またフライト用の医療器具や医薬品も準備しておいて、すぐにヘリを飛ばせるような環境を整えておくことも、フライトナースの心得として頭に入れておく必要があります。

ちなみに出動要請からドクターヘリの離陸までは、平均するとだいたい3分くらいと言われています。いつでもヘリポートに駆けつけられるような普段からの準備が求められます。

現場に到着次第救命活動を始める

ヘリで現場に急行して、到着次第速やかに救護活動を進めます。患者に声をかけて病状の深刻度を見極め、重大な症状の患者から処置を行っていきます。

フライトナースの現場での業務は、フライトドクターの解除と静脈路の確保、患者とその家族に対するケアの3つに集約されます。

すぐに適切な処置をするためには、現場の状況を適切に把握する必要があります。

そこでヘリで現場に駆け付けている段階で、現場との交信をしながらどのような処置が必要か、どんな医療器具・医薬品が求められているかを判断して準備する必要があります。

しかし中には現場が混乱していて、なかなか必要な情報を得られないこともあります。そのわずかな情報から必要な準備をすることもあって、フライトナースは高い能力が求められます。

迅速と正確さが、フライトナースには求められます。というのも「1分経過すると救命率は7~10%ずつ下がっていくのが究明の現場である」と言われているからです。

現場での医療処置は器具や設備が限られている分限定されます。とにかく応急処置を施して、患者の容体に合った病院にドクターヘリを使って搬送します。

交通事故など多数の穴が出ている場合には、ドクターヘリで現場と医療機関を往復する、ピストン輸送のような状態になることもあります。