看護師の仕事を長く続けていくうえで気になるのが、昇給制度によるお給料の増額推移だと思います。

病院で働く看護師は、経験加算というように、ほとんどの病院で毎年定期的に勤続年数に応じて昇給がありますが、クリニックの昇給はどうなっているのでしょうか?

クリニックの昇給制度は職場によって全然違う

病院の昇給は、年に1度、たいてい新年度の4月に定期的な昇給制度を設けています。

大概は病院の契約規則に則って昇給がなされ、病院によっては労働組合の働きかけで昇給が保証されており、多くの病院で自動的に1000円/年ほどの昇給があるのではないでしょうか。

では、クリニックの昇給制度はどうでしょうか。
 
求人内容を見ても昇給制度に関して、掲載しているクリニックをあまり見かけないのが現状です。

実際のところは、昇給制度自体がなく最初に就職したときと同じお給料のままで数年経過していることも多いようです。

昇給制度を設けているクリニックとしては、自由診療を多く手掛ける美容外科クリニックや比較的経営が安定している個人クリニックで昇給制度が設けられています。

例えば、美容外科の場合は、昇給の条件としてクリニックで扱う化粧品や美容グッズの販売業績や施術技術、施術成績なども考慮されるようです。

昇給の条件について「美容外科に勤めるのだから当然!」と割り切れればよいですが、美容外科クリニックの仕事に病院との違いに戸惑ってしまう方にはストレスになってしまうかもしれません。

昇給に大きな影響を与えるのは「クリニックの経営状況」と「院長の意向」

一般のクリニックでは、クリニックの経営状態や経営者である院長先生の意向がお給料にダイレクトに反映されます。

クリニックの経営が成り立たなけえれば、多く人件費を払うことはできません。

また経営が成り立っていても、昇給制度は設けないという意向の院長先生のクリニックでしたら、昇給を望むことは難しいでしょう。

では、一般のクリニックで昇給はないのかというと、実はそうでもありません。

まれに一般のクリニックでも経営のやりくりが大変なクリニックですが、500円/年と、金額は少なく感じますが、少しばかりの昇給を設けているクリニックもあります。

クリニックの看護師として長く勤めてほしい、看護師のお給料に少しでも還元したいという院長先生の考えのあらわれではないでしょうか。

金額としては少ないように感じますが、全く昇給制度を設けていないクリニックが多いなか看護師の経験年数に応じてお給料を上げてくれる考え方はうれしいですね。

また、クリニックの院長先生の補佐役、右腕として院長先生の仕事を長年サポートしながら勤めてきた場合や、経営状態が長年安定しておりこの先一定の安定収入が見込める場合など、最初に昇給制度を設けていなくても院長先生の意向で突然お給料が上がることがあります。

ちなみに私が勤めるクリニックでは、5年勤めていますが今年の4月初めて1万円アップしました。もちろん昇給制度は最初から設けられていませんでしたが、病院に勤めていた時よりも大幅な昇給に驚きました。

私の勤めるクリニックだけでなく、他のクリニックに勤める看護師仲間にきいてみても、何らかの院長先生の意向で昇給するときは、「これだけのことをクリニックのためにしてくれたのだから、このくらいは報酬として与えよう・・・」と考えてくださるようで、数万円の昇給となるところは少なくありません。

ただし、クリニックの経営状況や院長先生の意向が影響するので、昇給は確約されていないのが現状です。

昇給しない代わりにボーナスで還元するパターンも多い

クリニックは病院に比べて特別難しい技術や知識は必ずしも要求されませんが、経営の安定しているクリニックほど患者数も多く次々と業務をこなしていかなければなりません。

この忙しさに対応して、昇給がなければモチベーションを保つのも大変なのですが、クリニックではたいていボーナスで頑張りを評価してくれるところが多いのが特徴です。

それはその年、その時期に忙しく業績がよかったとしても、来年、次期が忙しい、業績が良いとは限らないからです。

来年の収入は保障されていないので、昇給してあげたくても収入面の不明確さから昇給制度は設けられないと考えるクリニックが大半です。

その分、業績の良かったときに、ボーナスで還元して頑張りを評価する方法をとるクリニックが多いように見受けます。

クリニックは病院の収入がダイレクトにクリニックの業績としてひびいてしまいます。

業績が良ければ還元するが、そうでない時は支出を抑えるというクリニックが一般的ですので、毎年自動的に昇給をしてしまうと、人件費が年々かさみ昇給制度に積極的になれないというのは、クリニックであるが故の特徴ともいえると思います。

病院に比べ難しい知識や技術が求められないクリニックでありますが、患者さんの数をこなしたり、多くの患者さんの信用を得られた時に、「クリニックで頑張った!」と達成感を感じられるのではないでしょうか。

その時は、業績も少なからず上がっているはずですから、ボーナスという形で還元してもらえれば、モチベーションも担保できると思います。

まとめ

昇給制度を設けているクリニックは非常に少なく、クリニックに対し何らかの院長の意向で昇給する理由があるときに昇給される場合が多いといえます。

しかし、クリニックの業績とクリニックの院長先生の意向が大いに影響するため過度な期待もできないのが心苦しいところですよね。

クリニックを選ぶ際には、昇給制度を特別設けていなくても過去に昇給をした実績があるクリニックかどうか情報収集することをおすすめします。