全国には国立・公立・私立を問わず、多くの大学病院があります。大学病院は大学の医学部や医科大学に附属する施設で、他の医療機関と比べると研究や教育などが盛んに行われているため、最新の機器や設備、技術があって高度な医療を提供する場としての印象が強くなっています。

しかし、大学病院でも他の医療機関と同様に、潜在看護師の仕事復帰をサポートする取り組みを積極的に行っているところは多く、環境も比較的整っています。ブランクのあるナースは、離職している期間が長ければ長いほど再就職に対する不安が大きくなるため、その不安を軽減しスムーズな仕事復帰ができるようそれぞれの病院でプログラムが工夫されていて、復職支援環境やサポート内容には病院によって特徴も異なります。

大学病院で行う復職支援

講習会・研修会の開催

ブランクのある看護師に対する支援として最もよく見られるのは、講習会や研修会の開催です。

講習会では医療や看護の現状、医療の安全管理、個人情報保護・守秘義務、感染予防など基本的なことを座学で学びます。研修会では、基礎的な看護技術を実技形式で学ぶことができるものが多くあります。

具体的には、点滴や注射、輸血ポンプの取り扱い、AEDの使用方法などで、病院によっては院内で看護体験を実施しているケースも見られます。

受講料は基本的に無料となっており、再就職を希望している離職中のナースであれば誰でも参加することができます。

しかし、一部の病院には受講料が必要となる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

また、多くの病院で再就職前のナースを対象とする復職支援プログラムが組まれていますが、入職してからの支援は他の医療機関に比べると少ない傾向にあります。講習会や研修会では相談会を実施している病院が多くあるので、その病院での仕事復帰を希望する場合には、再就職後のサポート体制や環境などについても確認しておくと良いでしょう。

国立大学と私立大学の復職支援内容の違い

先述の通り、大学病院は大学の医学部や医科大学などに附属している施設であり、国立大学か私立大学かによって復職支援の内容にも若干の違いがあります。最も大きな違いは、講習会や研修会の日程です。

国立大学の復職支援

国立大学の場合には、病院側が日時を指定して実施している場合が多く、日程は最短で半日のものから最長で2週間程度のものまで幅広くなっています。

プログラムの内容についても、独自のものを取り入れているケースが目立ちます。実際に、旭川医科大学病院では看護師だけでなくブランクのある助産師も参加できる内容となっていたり、鳥取大学医学部附属病院では3段階のレベルを用意して自分に合うものを選ぶことができたり、信州大学医学部附属病院では電子カルテの操作を体験することができたりと、病院によって様々な魅力があります。

自宅から通える範囲内に国立大学の附属病院が複数ある場合には、講習会や研修会の内容をチェックしてみると良いでしょう。

私立大学の復職支援

一方、私立大学の場合は、受講を希望する潜在看護師が講習会や研修会の日程を決めることができるケースが多く見られます。そのため、随時申し込みを受け付けている病院が多く、病院側との都合が合えば自分の希望する日に講習会や研修会に参加することが可能です。

この点以外にも、少人数のグループやマンツーマンで指導を受けることができたりする点は魅力の1つで、気軽に参加しやすいでしょう。

しかし、講習会や研修会の時間は国立大学に比べると短い傾向にあり、病院によっては院内での体験のみという場合もあります。院内体験のみの場合は、「研修とは言えいきなり現場に出るのは気が引ける」と感じる人もいます。その病院のありのままの環境を見て体験することができたり、慌ただしさや忙しさを肌で感じることもできたりします。

このような体験ができるのは私立大学の病院の特徴で、復職前にこのような体験をすることで看護師として働いていた頃の感覚や働くことへの意欲を取り戻すきっかけとなる人も多くいるでしょう。