歯科に自ら転職を希望して仕事を始めることになった看護師の方、職場の配置転換で歯科で働くようになった看護師の方など、歯科に携わるようになった理由は様々でしょう。

自ら進んで飛び込んだ場合は、積極的に率先して歯科に飛び込むことが出来るでしょう。しかし、配置転換などの場合は、不本意としてモチベーションを高められないと言う思いを抱える看護師の方もいるでしょう。

理由はどうであれ、患者さんは歯科治療により安楽と安寧を求めています。

それには、適切な治療の遂行と必要な支援、サポート、生活指導による専門的な関わりが必要です。歯科衛生士、歯科助手の力だけではなく、時に看護師独自の力が求められています。

では、実際に歯科で働く看護師さんの声を聞いてみましょう。


■30代 女性
看護師として総合病院の歯科口腔外科で勤務しています。歯科に看護師がいることはなかなかイメージされにくいところもあるのですが、特に手術中ですと重要な役割を任されています。

もちろん、歯科衛生士と同じように、医師が行う診察の補助や患者さんの口腔ケアといったことも行います。そのほかたとえば手術をしなければならない抜歯などにあたっては、補助として患者さんのケアにあたります。

私が働く総合病院の歯科口腔外科という場所には特殊な治療が必要とされる患者さんのほか、歯科クリニックなどですと治療することが難しい症状を持っている患者さんも多く訪れています。

外科的な治療はおもに看護師が担当することとなりますから仕事も重要なものであり、やりがいのある部分を任されていて充実しています。


■20代 女性
キャリアのスタートは、夜勤の回数が多い病院でした。当直をしていたときに亡くなる患者さんも多く気持ちが落ち込み気味となっていたあるとき、歯科であれば夜勤がほとんどないということを聞いて医科歯科大学病院へと転職しました。

そして、歯科での勤務を始めてからは夜勤がなくなり時間的な余裕も生まれ、私にとってはメリットが大きくそれまでのストレスも減っています。ただ、仕事に関してはこれまで以上に責任感を求められる内容が増えました。

それでも、生命にかかわるような疾患を持っている患者さんはほとんどいませんから、歯科を選んだことは自分にとって良かったと思っています。

普段の勤務からやりがいを感じることのできる仕事が多く、歯科に勤務する看護師になれてとても満足しています。


■30代 女性
私は内科のほか歯科や眼科などがある混合病棟で働いていて、仕事をしやすく環境も良いので毎日楽しく過ごすことができています。今の職場では委員会活動も活発に行われているので、地域の方々や同僚たちと一緒に講習会や学習会にも参加しています。

最初のうちは歯科で働くことに慣れていませんでしたが、みんなで連携しながら何とか動きもスムーズになってきて、患者さんのことをいちばんに考えながら技術や知識も学ぶことができて看護師としての成長を実感しています。

先輩がプリセプターとして優しく何度も検査や処置の方法、病院のきまりごとなども指導してくれたおかげだと思っています。


■40代 女性
大学病院の歯科口腔外科で、看護師として働いています。大学病院ということもあってスタッフの絶対数は多いのですが、それでもスタッフ間での連携がうまくいっていてとても働きやすいです。

歯科というと、混んでいるというイメージがあるかとおもいますが、私の職場では医師とスタッフの連携も良いので、それほど診察をお待たせしている患者さんはいません。

また、大学病院ということで大きな手術もあり看護師として役割を果たすことのできる機会が多く、おもにバイタルチェックのほか採血や検査などを担当しています。大学病院の歯科は夜勤がないので、子育てをしている方々にもおすすめです。


■50代 女性
長年にわたって個人病院のスタッフとして勤務してきましたが、これまで培ってきたものとはまた別のものが求められる世界であることに魅力を感じて総合病院の歯科へ転職しました。今まで知らなかったような病気に関する知識も、学ぶことができています。

日常の仕事としては義歯の扱い方や歯磨きの指導などといった口腔ケアのほか生活指導、薬の準備なども担当していて歯科助手とほとんど変わらない内容になっています。歯周病などについての知識は、自分だけでなく家族のためにも役立っています。

手術などにあたっては看護師の役割が重要であり、専門的なスキルも活かすことができます。感染症を発症している患者さんに対しては予防の必要もあり、障害のある患者さんや歯科治療を嫌う患者さんにも看護師の力量が問われるところです。