■20代女性

看護学校を卒業し、新人ナースとして初めて配属されたのが耳鼻咽喉科でした。入職したばかりで最初はこの耳鼻咽喉科で経験を積んで、数か月後には内科、更に数か月後には外科と勤務先をローテーションしていきました。

耳鼻咽喉科に勤務するナースの声として、最初に配属された耳鼻咽喉科の印象がとても強く、同じ病院内でも他の診療科に対する見方が大分変わってきます。対象年齢が小さなお子さんから高齢の方まで幅広く、いろんな患者さんと接することができます。小児科勤務でもないのに幼いお子さんと接するのは緊張しましたが、今思えば良い体験になりました。患者さんの目線になって病院内を案内したり、検査や看護をしたりと、いろんな仕事が出来たものです。

耳鼻咽喉科では聴力検査などの各種の検査に始まり、採血、点滴などの多彩な業務があります。特に私が配属された4月頃は、花粉症の患者さんが多かったため、花粉症の症状改善のため、アトピーを改善する筋肉注射をする必要がありました。筋肉注射は普通の皮下注射より痛みが強く、泣いてしまいそうになる小さな患者さんを宥めるのに必死になったものです。

暴れるお子さんを取り押さえるのにかなりの労力が必要で、体力を消費したので、次の診療科に移った時はむしろ体力が余ってしまったほどです。分からないことはメモに取るように癖をつけていたのですが、身体に叩き込んだ方が速かったものです。


■30代女性

妊娠、出産を機に一度看護師を辞めて、復職先として耳鼻咽喉科は理想的な場所です。私が勤めるのは規模の小さなクリニックで、入院患者さんはいないため夜勤がなく、シフトが組みやすいという魅力があったからです。子育て真っただ中で、いざと言う時に融通が利く点、出来れば家計を助けたい気持ちから現在の耳鼻咽喉科クリニックへ転職を決めたのです。

地元密着型のクリニックであるため、訪れるのは近所の小中学生や高齢で耳を悪くされた方が多く、気配りを学ぶことができます。私自身の子供より年上ですが、まるで自分の子供に接しているかのような気持ちになれます。


■40代女性

耳鼻咽喉科での勤務は合計で10年ほどとなっているため、後輩ナースを任せて大丈夫という上司の判断のもと、新卒ナースたちの指導に当たったものです。

耳鼻咽喉科では命に関わるほど深刻な病気が少ないものの、着実に日常生活へ影響するタイプの疾患が多いのが特徴です。私たちの看護が患者さんの生活に確実に影響し、今後の生活がスムーズに行くかが決まってきます。

症状から患者さんは耳が悪かったり、滑舌が悪かったりとコミュニケーションを取りにくい人が多い傾向にあります。新人ナースは最初コミュニケーションの取りにくさに苛立ちを覚えますが、長年経験を積むと患者さんの表情や仕草で大体のことは分かります。出来るだけ患者さんの声に耳を傾けて、何を訴えているのか聞き取ろうとする気持ちと努力が重要になってくるのです。

表面上の表情で分かりにくくとも、長く接すれば患者さんの気持ちは分かりますし、患者さんの方から伝えようとしてくれます。患者さんの心と体を同時に癒していくことが耳鼻咽喉科の看護師の役割となるのです。


■50代女性

夫の転勤に合わせて以前勤めていた耳鼻咽喉科クリニックを辞めて、総合病院の耳鼻咽喉科へと転職しました。

家から近く通勤しやすいのも大きなメリットで、これまでのキャリアを活かせるという魅力がありました。この病院では看護師として患者さんとの接し方を学べる講習会を行っていて、患者さんの目線に合わせるおもてなしの精神を学びつつ、看護に活かすことができます。

一度身につけたものは今後に活かせ、新しく入ってくる若手に指導することができます。ナースとしては熟練層でるものの、出来れば更にスキルを磨き上げていきたいと思います。