産婦人科で身につくスキル

お産に関する専門的な知識や技術

産婦人科における看護師の仕事内容は、妊婦に対する体温測定や血圧測定などといった基本的な対応を初めとして、分娩の際に必要となる機材等の準備から、陣痛時のケアや分娩時の助産師の補助、出産後の母親に対する育児指導といったことなどがメインとなります。

そのため、産婦人科に勤務すると、他の診療科にはない、専門的な対応が求められることとなり、特にお産に関する専門的な知識や技術が身につきます。

カウンセリング能力

妊婦はとりわけ分娩期が近づくと、精神的にも不安定となりやすいため、肉体的なケアだけではなく、精神的なケアも必要とされます。そのため、分娩期に入った妊婦の精神状態を、理解しておくということが大切となります。

こういったことからも産婦人科で働くと、看護師には妊娠・出産に関する幅広い知識から、カウンセリングのスキルやリラックス方法などといった知識が、自然と身につくこととなるでしょう。

妊婦を理解できる能力

産婦人科で妊婦から求められている看護師の特徴としては、責任感があり、不安や心配ごとなどを親身になって聞いてくれる姿勢や、要望に対して適切に対処してくれる柔軟性といったことなどがあげられています。陣痛を自分で乗り切るための対処法や、分娩時の呼吸法やいきみ方の指導、なによりも頑張ろうという気力を沸かせてくれるサポートが、求められています。

また、不快な症状や苦痛を和らげるマッサージ方法や、楽な体位に関する知識なども、求められることとなります。こういったスキルや、妊婦の要求することが何かを瞬時に理解する能力というのは、経験を重ねるごとに身につけることができます。

お産の経験がある人であれば、そういった妊婦の気持ちも、理解しやすいことでしょう。産婦人科は新しい生命の誕生に立ち会うことができる特別な場となるため、看護師としても、やりがいのある職場だと言えます。

スキルアップ関連資格

産婦人科看護師になると取得しやすい関連資格としては、助産師の資格があげられます。

産婦人科で働く看護師の中には、目の前で赤ちゃんが取り上げられる行為に感銘を受けて、助産師の資格取得を目指すという人が多くいます。日々お産と関わっているうちに、補助的な業務だけではなく、実際に自分の手で赤ちゃんを取り上げてみたいと考え始める人が、多くいるようです。

助産師は国家資格となっており、資格を取得するためには、看護師資格を保持しているということを大前提として、助産師養成所で1年間就学したのちに、国家試験に合格するということが必要となります。そのため産婦人科で働きながら資格取得を目指すというのは難しいですが、スキルアップのために一旦職場を離れて、資格取得に専念するという看護師は多くいます。

助産師の仕事内容というのは、お産介助がメインとなりますが、その他にも仕事は多岐に渡ります。具体的には妊娠中から出産後までにかけての、母親に対する心身のケアや指導のほか、赤ちゃんのお世話や育児に関する相談に応じたり、不妊治療や思春期の性に関する相談に応じるなどと、幅広くなっています。

働く場所も病院や産婦人科のみに留まらず、助産院や保健所などにも需要があります。また助産師は、自身で助産院を開業するということも可能となっています。看護師としての経験を積んだのちに助産師の資格を取得し、助産院を開業したという人は、意外に少なくはありません。

助産師は人の命を扱う仕事となるため、知識や技術だけではなく、強い責任感を持つということが大切となります。助産師は昼夜問わず、お産の際には駆けつけなくてはならないため、肉体的な強さも求められることとなります。

また不幸にも死産となってしまった場合には、毅然として受け止め、母親を慰めて納得させることができる、精神的な強さや人間性も必要となります。生半可な気持ちでは務まらないという意味でも、助産師は非常にやりがいがある仕事だと言えるでしょう。