精神科看護師の仕事内容

精神科では、対話、カウンセリング、投薬を通じて治療を行われます。その中でも看護師としての主な役割は、薬の管理、患者さんと良好な関係を築き社会復帰への援助を促すことなどです。また、患者さんへの抑止も大事な仕事内容のひとつです。

薬の管理

精神科は何種類もの薬を扱う診療科で、ひとりの患者さんに合う薬の種類、組み合わせの仕方は治療と共に徐々に分かるため、最初は試行錯誤の連続となります。患者さんは多くの種類の薬を管理せねばならず、その手助けとしてナースの手が必要とされます。

薬の管理は、医師が担当する場合とナースが担当する場合、半々で共同で管理する場合などがあります。投薬の調整を医師が行うにしても、待合室や受付で患者さんから薬の情報を尋ねられる場合も多いことから、ナースも薬の知識が必要とされます。

患者さんとの良好な関係づくり

加えて他の診療科との違いは、通院期間、入院期間が長期に及ぶということです。その分看護師の果たす役割が大きく、患者さんへの影響力が大きいものとなります。長い通院期間や入院期間を通じて、ナースや医師が患者さんと絆を作り上げ、良好な関係を作る必要があります。

精神科が専門性が高い診療科であるのは、患者さんの多くがコミュニケーション能力の欠如を伴うため、通常よりも人間関係を築くのに労力を要します。そうした人と親しくなれる根気強さ、精神力によって何でも話せるような関係を構築するのが看護師の仕事であり、役割ともなります。

患者さんへの抑止力

次に患者さんが暴走した場合の抑止力として、腕力が必要とされています。精神状態が不安定な患者さんは、カウンセリングの最中、もしくは治療の最中に暴力に訴える危険性が高いため、止めに入る抑止力としてナースが必要とされています。

男性看護師の比率が高いのもこのあたりに理由があり、医師の方でも患者さんが暴走しないように気を配っています。

心療内科の看護師の仕事内容

心療内科の場合、身体の症状を重視して治療する方針であるため、看護師もそうした視点を持って仕事を行います。主な仕事はバイタルチェック、点滴、採血、注射など、加えて患者さんとの交流がついてくるのが特徴です。

患者さんに寄り添う

心療内科も精神科も、カウンセリングは医師やカウンセラーが行うため、カウンセリングの知識は必要ありません。看護師が行うのはカウンセリングではなく、患者さんから身体的な症状について聞き出し、医師の補助を行い、患者さんに寄り添うのが役割となります。

見極め

他の内科よりも更に患者さんと精神的に近くなる必要があり、症状が精神的などの部分から発生しているのか、身体的な原因だけにしぼることが出来るのか見極めていくのが心療内科の役割です。

その見極めの段階で、看護職の観点ではなく、別の職業の観点が必要となることもあります。患者さんとの交流をもとに、別の職業の視点を得ていき、実践する力を磨く必要があります。

精神科と心療内科の違いと関係性

精神科と心療内科はよく混同されがちですが、明確な違いがあります。

心療内科は内科とつくように、身体に実際の異常を感じている人が訪れます。その原因が精神面にあることから、心療内科と呼ばれます。

精神科は最初から心に異常を感じている人が訪れ、医師との対話や投薬によって治療を行うという違いがあります。

治療の方針を身体的な症状に重きを置いているのが心療内科なので、症状によっては、心療内科から精神科へ紹介され、患者さんが移動することもあります。身体的な症状がひどいと判断された場合、精神科から心療内科へ紹介されるという逆のパターンも有り得ます。

ただし、最近では、精神科医であっても心療内科○○クリニックという名称で開業しているケースが多くなっています。看護師として精神科及び心療内科で働く場合、精神科の業務がどこまであるのか、心療内科としての仕事内容が濃いのかという部分は、事前に調べて就職、転職をするのが好ましいでしょう。

精神科・心療内科で活躍する看護師

精神科や心療内科では、患者さんに病気や薬の説明することも含まれています。医師の説明だけでは不十分と判断された場合、患者さんから相談された場合に説明するのも役割なのです。

こうした事情から、若い新人ナースが精神科・心療内科に入職するよりも、若いうちに様々な経験を積み、職種を転々としてから精神科・心療内科へ転職する方が上手くいきます。人生経験がよい薬となり、患者さんと接する度量の広さを作り上げるからです。