少子高齢化に伴う日本の医療費の増大は、かねてからきついものと言われていました。

しかし、ここ数年この費用が減少する事無く、国民医療費はついに40兆円を越えることとなったようです。

国民一人当たりの医療費は、31万円程度と言われますが、全く医療機関に係ることのない健康者、毎日のように複数の医療機関を受診する人々など、医療機関の使用頻度は個人により大きな差があります。

また年齢別で見ても、年間で64歳以下は、17万円程度、65歳を越えると70万円以上と高騰しています。

これは、高齢者の人口増加、少子化の波を受け、また、高齢者は何らかの健康障害を来たしている結果という事が分かります。

この為、国は、今後も増加し続けるであろう医療費に対し、社会保険制度をどのように継続していくかという事が重要課題となっています。

医療機関へのしわ寄せ

診療報酬改定により、大幅な診療報酬の引き下げがありました。

このことにより、各医療機関の収支に影響が出て、赤字経営、採算が取れない医療機関が増えています。

特に、自治体病院や公立病院においては、患者選択や受け入れ拒否が出来ず、医療を必要とする全ての人を引きうけると言う観点から、マイナス経営となる医療機関もあります。

医療費拡大への対策

・後発薬の利用促進
ジェネリック医薬品を処方する事で、薬単価を下げ、医療費抑制に努めます。

・患者負担の増額
窓口支払い額の増加、これまで医療機関が準備していた入院中の消耗品等をご自身で用意して貰う、細かい診療報酬チェックなどで見落としない徴収がなされています。

・保険範囲の縮小
これまで保険診療していた検査や治療に関して、保健範囲を縮小し、自費診療を多くすることで国の負担を減少させています。

・高齢者負担の引き上げ
これまで、後期高齢者は1割負担、その中でも所得の多い高齢者は2割負担とされていた保険負担割合を、3割負担まで引き上げられるように変更されています。

所得の多い高齢者は、一般成人と同等の医療費負担をするようになっています。

・重複処方や二重検査の抑制
同じ症状に対する調剤に対し、重複するものは処方できない場合、検査を月に何回までなどと厳しく決められている項目があります。

患者負担増大による懸念

患者負担の増大は、医療費縮小に大きく影響を与えますが、これにより必要な治療や検査を受けられない患者さんが増加している現状があります。

所得が多いと負担増となった高齢者は、内臓疾患、運動器疾患等の必要治療、癌や心筋梗塞、脳卒中などの専門治療を行わなければならない状態から、受信拒否されることも問題に上がります。

この他にも、窓口負担や保険範囲の縮小により、不妊治療や専門治療を要する若者までも受診を控える傾向になっています。

このように患者負担が増大すれば起こりうる問題、もう派生している問題についてはどのように対策されるのでしょうか。

少子高齢化と言われる中、若い不妊治療を要する夫婦が、治療を受けられないとなると人口増加は認められません。

専門治療を要する成人が、医療費負担が苦しく受診できないとなると、生産人口の減少を来たし、生産や流通のサイクルまでも影響を及ぼしかねません。

また、高齢者の負担増により医療機関受診が出来ないとなると、孤独死やいつの間にか病状を進行させ、死に至るまたは、慢性疾患等の増悪における生命危機に至りかねません。

現場の看護師への影響

病院の経営赤字は、看護師に大きな影響を与えています。

まず、賞与や昇給のカット、新規採用者の抑制による業務負担増、勤務形態や看護耐性の変更などがあります。

また、勤めている病院の縮小や閉院、休診による人員カットや異動命令もあります。

自分の働きたい現場で働けない状況となったり、病棟間の閉鎖などにより、混合病棟や知らない分野の病床管理を強いられることもあります。

最も痛手となる事が人件費のカットで、看護師の仕事の原動力は自分の行った仕事を正しく評価され収入を得て、自分の為に何かを買ったり、リフレッシュや趣味に充てることです。

それが出来なくなると、肉体的にも精神的にも、もともと大変な仕事が、より苦痛と感じ職を離れてしまう事があります。

そうなれば、また人員が減少に、現任の看護師の負担が高まる負のスパイラルに突入します。

まとめ

社会保険制度を維持するためには、健康寿命を延ばすことが先決ではないでしょうか。予防医学により、疾患にならない、疾患になっても早期に対処できれば医療費は抑制できます。

必要な時に、必要な治療が受けられたから今日の日本があるのではないでしょうか。その根幹が揺らぐような対策は頭が痛いものです。