現在、医療の現場は都市化傾向にあり、大規模な病院は首都圏内、都市圏に立ち並び、地方や田舎では、病気になって医療機関に行きたくなれば病院を調べ、選択するところから受診行動が必要です。
そこで地域に求められる医療機関は、公立病院であったり、市立病院等の自治体にある病院ではないでしょうか。
しかし、このような公共の医療機関でも、その町の中心部にあることが多く、過疎地域、外れ町に住んでいる人々にとっては遠い存在です。
財政危機、医療崩壊とされる地域も多々あり、その機能回復が望まれています。
自治体機能の回復に密着し、そこで行われる公共の医療現場についてまとめてみます。
地方自治体の試み
地方では、財政危機と言われる状態で、収支が合わず、自治体の基金や特別会計を切り崩し、毎年のやりくりをしている市や町があります。
そのような町では、医療体制に充分な手当てが出せず、医療危機にも陥りやすい状態です。
人々の健康維持、健康回復に重要な医療機関、特に、このような過疎地域や鉢から外れた地域には高齢者や体の弱い方が多く居住しており、医療を求める声、ニーズは高いと言えます。
しかしながら、財政上、経済上その機能を充分に保てる余裕が無いと、休診や閉鎖を強いられる自治体病院も多数あります。
そうなると、その弱い立場の人々が必要な医療を受けにくい状態になったり、病院に行けずに重症化、より高度な医療を要するようになり悪循環となります。
また、そのような体制の医療機関に勤務する医師、看護師、医療職者の負担が大きく、人手不足や離職者の増加など、病院の形態維持にも困難極まりない状態になっています
地方公共団体の財政悪化の理由
少子高齢化、都市化傾向による人口の流出による人口減少とそれに伴う税収の減少。
高齢化、貧困率上昇による扶助、控除費用の増大。
人々の生活困窮による税金収納の延滞。
医療機関の整備や補てん。
では、地方自治体が経営する医療機関に勤務する看護師の現状について記載します。
「どうせ、公務員だから」と身分保障や給与面などに優遇があると、人々は言いますが、そこで勤務する看護師や医療職者には多くの負担と苦労があるようです。
また、周囲からのそのような冷たい目線にも屈せず、地域の人々の為、「自分が退職したらこの病棟、この病院はどうなるのか」と退職したくともできない現場の状況があるようです。
自治体病院に勤務する看護師
まず、公務員だからやはり人気がある、就職したい医療機関と言われやすい自治体の病院ですが、その現実にショックや驚きを受け、離職者は少なくないようです。
そこで入職して、経験を積んだ看護師は、新しく入ってくる看護師を見送るような形で辞める事無く勤務しているという状態です。
勤務し続けられる看護師の多くは、地域の人の為、病院を維持すべくと使命感に駆られて頑張り続けています。
勤務の現状
三交代制で夜勤8回と言う医療機関が多く、身体的にも精神的にもハードと言わざるを得ません。
しかし、給与と言うと入職時やや平均より少なめの賃金形態ですが、年々着実にアップし、同年代の他職種の人たちと比較すると年収は高いと言われています。
看護形態が10:1から7:1に変更される医療機関が多いですが、そこで大量採用してもなかなか定着しない、現任の看護師の負担が高まる状況に変わりない状態です。
自治体病院に勤務する看護師の8割は退職願望を持っているほど、心身ともに疲弊している、残務や超過勤務に追われている、また、新しく入っている看護師の指導など、いつ辞めるかわからない新入職員への対応が苦痛という声もあります。
しかし、悪いところばかりではありません。
自治体の看護師の良いところについてお話します。
公立病院、自治体病院について
これまで散々、大変なことについて記載してきましたが、やはり、何と言っても公務員というところは、身分的にも、待遇的にも捨てがたい医療現場です。
仕事の大変さはありますが、どの職場でも人員不足や過重労働は同様です。
それなら、待遇だけでも良いところと考え、公立病院や自治体病院を選択する看護師の多くいます。
民間病院の看護師の平均給与が400万円~450万円に対し、公務員看護師の平均給与は550万円程度とも言われています。
民間病院にはあまりない退職院ですが、公務員として勤めあげると、退職時に2000万円から3000万円の退職金を貰えるそうです。
就職について
しかし、大変なことに就職試験が難関です。
看護師の専門教科の試験は、どこの医療機関にもありがちですが、公務員の看護師となると、公務員試験を受験しなければなりません。
一般教養、適性検査、健康診断、性格検査、専門試験、小論文など採用試験が難関です。
大学卒業程度の基礎教養が必要となります。
待遇面
ですが、この試験をパスすると、好給与、好待遇は間違いなしです。
福利厚生、休暇制度、充実した医療設備の中勤務する事が出来ます。
医療安全や医療訴訟等に対しても充分に対策された医療機関が多く、守られている職場環境とも言えます。
まとめ
人気なのか、人気じゃないのかと考えると、答えは出ません。
公務員と言うだけで、冷たい目で見る人たちはいます。
しかし、そこで働く人がいなければ、病気の人、検診に来た人などは医療を受けることができません。
地域の奉仕者として公務員看護師は尽力する仕事なのです。
大変ですが、とても遣り甲斐のある仕事、そして身分の安定させた仕事でもあります。
試験の難しさはありますが、入職すると、自分自身の看護力を高め、人に求められる明るい看護師人生が待っています。