看護師という仕事をしていると、患者さんの最期についていろいろ自分なりの考え、いわゆる「死生観」を持つ機会があります。

そこで、最期についてかかわりを深めたいと思った方は、ホスピスで働くことを選択し、一生懸命に毎日患者さんに向き合ってこられたのだと思います。

しかし、何かのきっかけで、悩み、転職を考えるようになっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、そんな方たちにお悩み別のお勧めの転職先をご紹介いたします。辛い思いをしている方のお役に立てれば幸いです。

こんなお悩みを解決する転職先はこちら!

ホスピス(緩和ケア)に特有のお悩みをいくつか挙げましたので、ご参考にしてくださいね。

完治を目指したいなら外科病棟へ

ホスピスと言えば、治癒を目指す場所ではなく、苦痛を和らげ、穏やかな時間を持てることを目指す場所です。そのため、病院とは異なり穏やかな雰囲気の中、患者さんと関わることができるのが特徴です。

深刻な病状の告知等の辛い時を乗り越えたからこそたどり着く先でもあり、壮絶というような瞬間は過去のことが多いです。

しかし、だからこそ、患者さんは完治を目指すことはありませんよね。このまま自分の人生を静かに全うすることを望んでやってきます。

そこに、物足りなさというか、寂しさを感じて辞めたいと思っている人はいませんか

発展した医療の裏の部分を支える緩和医療は、今やなくてはならない分野ですが、やはり患者さんが元気に病院を出ていく姿を見たいという思いは捨てられないものですよね。

そこに葛藤したりしていませんか?もし、そうなら外科病棟への転職をおススメします。

私の先輩は、ホスピスで働くために、患者さんに十分向き合えるよう何年も病院での経験を積みました。そして、いざ働き始めてすぐのことです。何か自分の中に、違和感があると言っていました。

それは、これまで病院という病気を治して退院していく施設に働いていた時のような、達成感というものがないということでした。そして、ホスピスでは正解をずっと探している感じがして、迷子になっている気がするとも話していました。

その時は、環境の変化によるストレスだとも、先輩は自分なりに分析していましたが、間もなく外科に転職し、その時の気持ちに整理がついたそうです。それは、完治するということがない世界は、思いのほか悩むことが多く、自分なりの看護師らしさを見つけることができなかったということでした。

もちろん、患者さんのそばに寄り添い、一緒に最期を迎えるこの仕事は、看護師にこそできる仕事の部分も大きく、そこに看護師らしさを見出している方はたくさんいらっしゃいます。

しかし、先輩のように、何となく違和感を感じる人も、中にはいらっしゃるのが現実です。それぞれの死生観が異なるように、看護観もあるのだと私は思いました。

先輩が転職した外科病棟は、ご存知の通り目まぐるしく病状が変化し、そのたびに最善な医療を提供する場所です。そのため、患者さんが完治して退院していく時には、何とも言えない達成感と喜びを感じるものです。

転職してから、より自分の道がはっきり見えるようになった先輩のように、今同じ悩みを抱えていらっしゃって、辛い思いをしているなら、看護師を辞めるという選択肢の前に、違う職場に目を向けてみてくださいね。

特に、このお悩みにおいては、外科病棟に転職することを推奨します。ぜひ、検討してみてください。

心の負担が大きいと感じるなら小児科外来へ

もう一つの大きなお悩みが、心の負担だと思います。

最期を迎える方に毎日向き合う仕事は、誰かの内面にとことん入り込むことにもなり、さらには自分の内面も同時にさらけ出すことにもなります。そういった日々を過ごしていると、自分の精神を常に研ぎ澄ませている必要があります。

看護師という仕事は、診療科や職場に限らずそういうものだとも言えるかもしれませんが、ホスピスの場合は、なおさら求められると言っても過言ではないと思います。

その人が欲している穏やかな最期はどういうものか、そういうことを考えていると、活きるということについても、自然と考えがおよび、いろいろな感情的な揺さぶりを受けるはずです。

そういう毎日に、自分の心が疲弊することはありませんか?

燃え尽き症候群とまではいかなくても、一人ひとりを大切に思うからこそ、亡くなった後の喪失感も大きいものだと思います。こういう状況は、病棟でも起こり得るので、一概にどの職場への転職がベストとは言えませんが、中でもおススメさせていただきたいのは、小児科外来です。

小児科の外来は、他の診療科に比べて活気に満ちています。これは、小児科の病棟よりもです。小児科の病棟は、場合によっては、生死に関わる状況もあり、常に活気があるわけではありません。

しかし、外来は違います。症状の重い患児などは、基本的に静かですが、子供特有の無邪気さ明るさは常に漂っている空間が、この外来です。難しいことや、価値観などに左右されることなく、一生懸命生きている力を感じられる職場です。

もし、精神的な負担で悩み、疲れてしまっているのであれば、転職を考えてみてください。

パワーをもらえる場所ですよ!

ホスピス経験を活かせる職場はココです!

では、悩みは特にないものの、キャリアアップなどの理由で、次の転職先を考えている方は、どこを選択するのが良いでしょうか。

まず、私からおススメさせていただきたいのが、在宅医療です。

ホスピスは、患者さんの日常に入り込み、必要なケアを提供します。在宅医療も似ている部分があり、患者さんの一人ひとりに向き合い、日常の中で必要とされるケアを提供します。

これは実は特殊なもので、普段病院にくる患者さんに慣れている方だと、日常生活の中での患者さんを看ることに不慣れなことが多いのです。日常生活は、病院のスケジュールや医療者の都合に合わせるのではなく、患者さんの思うように整えていくことが求められます

これは、経験があるのとないのとでは、だいぶ差がでることですので、経験を積んだ皆さんなら、きっと手厚い看護を提供することができるのではないでしょうか。

他には、内科病棟も皆さんのような人材を必要としていると感じます。

それは、決してすべての患者さんが穏やかな最期を迎える準備が整っているわけではなく、内科病棟に長く入院し、病院という場所で亡くなる方も大変多いです。

そういう方々こそ、心の安らぎの与え方や、寄り添う看護をやってきたスペシャリストの皆さんの力が必要だと思います。専門のホスピス(緩和ケア)施設には行けないけれど、同じような穏やかな空間を作れるのは皆さんの経験があってこそだと思います。

最後に

とても大変な職場で毎日頑張っていらっしゃる皆さんのお悩みは、もっといろいろあると思いますが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

人の最期に関わる仕事は、本当に自分を消耗するものです。そういった部分に鈍感にならなければやっていけない部分もありますよね。私もそういう職場に長くいたので、辛い気持ちを思い出します。亡くなることに必死で向き合う自分がいて、自分なりの死生観を磨くために、必死でした。

しかし、今転職を考えていらっしゃるなら、今度は自分を労わる気持ちで、納得のいく場所を選んでくださいね。

患者さんもそうですが、皆さんも幸せになれることを願っています。頑張ってください!