夜勤専従看護師に必要な資格

夜勤専従看護師になるには特別な資格は必要なく、正・准を問わず看護師免許を持っていれば働くことが可能です。

しかし実際には、ナースとしての経験を求められることが多くあります。

最もよく見られるのは臨床経験を求められるケースで、特に各地で中核的な役割を担うような病院では応募条件として「臨床経験3年以上」などと経験年数を指定されています。つまり夜勤を普通にこなせるようになる歳月を重ね、問題なく夜勤の業務を理解できるようになった時がちょうどよい経験年数という訳です。

また他にも、「採血・点滴・注射スキル」など特定のスキルを求められるケースや、特定の診療科での勤務経験を求められるケースもあります。こうした適切な経験年数を持った人材であれば、夜勤専従として問題なく働けます。

このように、ナースとしての経験や特定のスキルを求められることが多いので、ナースとしての臨床経験や夜勤経験のある人の方が採用時に有利な状況です。

しかし最近では、研修・教育制度を設けて入職後のサポート体制を充実させている職場が増えていて、経験の少ないナースや新卒ナースを募集する職場も見られるようになってきてはいます。

夜勤専従看護師に必要な能力

状況判断力や柔軟さ

夜勤のみの仕事の場合、勤務日数は少なく日勤も無いため、患者さんの顔と病状を把握する時間は通常の常勤ナースに比べると非常に少なくなってしまいます。

また、夜勤専従という働き方は夜間というただでさえ判断力の鈍る時間帯に、瞬時の判断を下す能力が必要とされます。新人が初めて夜勤につく時は、最低限最初の1回目に先輩ナースがついてサポートしてくれるものです。

夜勤は何が起こるか分からないもので、患者さんが寝ぼけてベッドから落ちるくらいはマシな方で、寝違えて点滴を引っこ抜いてしまったり、転んで怪我や骨折を負う人が出ることもあります。認知症や高齢の患者さんだと、病室を抜け出して行方不明という事態も有り得ます。巡回して行方不明に気付いて慌てていると、単にトイレに出ただけということもあるでしょう。

そうしたトラブル以外に、普通に眠っていた患者さんが急変することは当然想定内です。こうした夜間のすべてを自分の責任で対処しなくてはなりません。夜勤の際は昼間に比べて少人数体制で業務を行うため、責任感を持って仕事ができるということも重要です。

上記のようなトラブルに冷静に対処できる判断力と柔軟さが大切となってくるのです。

コミュニケーション能力やチームワーク

夜勤専従看護師の場合は勤務時間が限られているため、他のスタッフと一緒に仕事をしたりコミュニケーションをとったりする時間も限られています。また、職場によって違いはありますが、ナース2人体制で夜勤を担当するケースが多く、夜間救急に対応している病院では1人が病棟、1人が救急の担当となるなど1人で受け持つ業務が増えることもあります。

このような場面ではスタッフ同士がコミュニケーションをとり業務に支障が出ないよう協力することが重要で、毎回同じメンバーと夜勤に入るとも限らないので初めて一緒に仕事をする人ともチームワークを保てるよう、積極的にコミュニケーションをとるように心がける必要があります。

体力面・精神面でのタフさ

どんなナースにとっても夜勤は体力的・精神的負担は大きく、特に仕事に慣れるまでの間はより負担が大きくなりやすい傾向にあります。特に夜勤の経験が少ないナースにとってはこれまでとは生活リズムが大きく変わるということもあり、生活リズムが身に付くまでは体力的にきついと感じる人も多くいます。

このように、夜勤ナースになるには体力面・精神面でのタフさが必要となることもあるため夜勤ナースになることに不安を感じる人も多いですが、夜勤専従看護師は通常の常勤ナースに比べると生活リズムを一定に保ちやすく休日も多いので、仕事に慣れると働きやすいと感じる人も多くいます。また、リフレッシュしたり体を休めたりする時間も確保しやすいので、ストレスをうまく発散しながら働くことができます。

夜勤専従看護師は男性看護師が多い?!

看護業界は基本的に女性社会で、男性が増えているとは言え今なお女性が圧倒的に多い職場です。昔からナースと言えば女性のイメージだったことが今でも影響しており、男性からすれば男女差別だと言いたくなる業界でしょう。

そこで男性が働きやすいように、男女の差を上手く利用できる分野から男性が入り込んでいき、徐々に男女比を均等にして行っています。その内の1つがこの夜勤業界です。

夜勤で働くことは精神的肉体的に大変負担で、心身ともに頑健な人でなければ勤まりません。個人差はあるものの、男性の方が女性より体力があり、耐久力で勝るのは事実です。よって男性が働きやすく、男性がいても不自然でないのが夜勤専従という働き方になります。

女性がそうであるように、家庭のある男性が夜勤専従として働くのは難しくありません。男性の場合は結婚はともかく、妊娠、出産はありませんから、夜勤専従のスタッフが突然辞めるという事態が防げるため、職場側から歓迎ムードとなっています。

離職率が女性に比べて低いということで、歓迎されるのは間違いありません。