患者さんの入れ替わりが激しい

耳鼻科の特徴はなんといっても、年齢層が幅広いことでです。手術の患者さんが大半を占めますが、鼻や耳の手術を受ける患者さんは若い人も多いです。既往のない患者さんが多く、短期間の入院で退院される方が多いです。

患者さんの入れ替わりが激しいのも、特徴の一つ。自分の勤務に連休があれば、その明けには、患者さんがほとんど入れ替わってしまっています。

とはいえ、知らない患者さんが多数いても、ルーチンの流れがあり、術後何日目がわかると、その患者さんへの介入をある程度掴むことができます。

受け持ちの患者さんの情報収集を行うなら、まずここを押さえるべき。そこから、その日の行動計画を立てていくことができます。

患者さんの痛みを和らげるための技術

手術の患者さんの痛みを取り除くことが一番の看護です。私が耳鼻科の病棟で働いていて、いつも受け持つ患者さんをみて、聞いて、思う。痛そう…。

鼻の手術は鼻血のように出血するため、患者さんは鼻に綿球を詰めて登場。鼻呼吸ができず、傷が痛いのはもちろん、苦しそうでもあります。

喉の手術は、食事をするのがつらそう。飲み込む時に痛みが伴ってしまうのです。唾液を飲み込むのでさえ、つらそうな患者さんもいます。

耳の手術は手術をした方を下にすることができないため、寝返りができず大変そう。耳の後ろに傷口があり、がっつり頭まで包帯グルグル巻なので、片耳は聞こえず、メガネをかけたりもできず、つらそうです

それぞれ大変そうな患者さんを前にすると、せめて痛みを‥と思います。

そこで看護師の腕の見せどころなのは、薬を使うタイミングです。痛みが最大限になってから使っては、薬の効果が出るまでに苦痛を伴ってしまいます。

検温に伺った時などに、痛みの程度の確認を行い、使うタイミングをアセスメントします。特に若い世代の患者さんは、薬を使うことに抵抗を感じている場合も多く、術後だから痛みがあるのが当たり前で仕方ないと考えている人も多いです。

副作用もあるし、我慢しようと思えばできるから…と感じているのかもしれません。

ところが、看護師は薬を使い慣れていると言ったら誤解を招く言い方になるかもしれないですが、痛みを我慢するくらいなら、薬を使ったほうが、絶対良いと考えています。

「術後の回復に影響する休息が妨げられる可能性があるから」と書くと、教科書的な言い方になってしまいますが、我慢するくらいなら、飲んだら楽になるよ~っと単純にそう思います。

使うタイミングはそれぞれ違いますが、寝る前や処置前が一般的。喉の手術後の人には食事30分前に使うと食事ができて、苦痛が軽減します。

また、毎日痛くなる時間が一定の人もいるため、患者さんのこれまでの使っている時間を確認しておくことも重要です。薬の効果が切れる時間や医師からの指示の鎮痛剤を使える間隔を確認し、その時間に合わせて患者さんに確認すると、いいタイミングで使えることが多いです。

それで、患者さんから「痛くなくなって良かった」とか「痛みが和らいで良く眠れた」言ってもらえたなら、「やったぜ」とこっちも嬉しくなります。

たいてい術後の患者さんはグロッキーな顔をしているが、痛みがとれると笑顔がみられます。それをみて、また頑張ろうと思えます。

短い入院期間だからこそ患者さんとのコミュニケーションが大切

どの科でも疼痛コントロールはとても重要ですが、自立していて、若い患者さんほど、訴えが少ないことも多いです。看護師自身も軽症患者さんは優先順位が下がってしまい、ナースコールや自分からの訴えがないと後回しになることも多いです。

短期入院のため、十分なコミュニケーションが取れないまま、退院となることも多いですが、短期間だからこそ、苦痛の少ない入院生活ができるよう、最善を尽くしたいものです。

耳鼻科の患者さんは、基本、ADLが自立しています。受け持ちの患者さんの中では、検温に回るのは大抵最後になりやすいです。それでも病棟内を回っていると、歩いているところに出くわし、挨拶することもよくあります。

忙しくてもそんなちょっとしたタイミングでコミュニケーションをとり、患者さんの状態を把握していきたいものです。そのうち、きっと表情一つで患者さんの訴えが分かるようになる…かも。