20代 女性

MRI室に勤務していると、人間には意外な弱点があることを知ります。

例えば、閉所恐怖症の人にとっては、MRIは暗くて狭くて怖いところで、人によっては検査中に恐ろしくて耐えきれないこともあります。加えて、小さなお子さんがMRI検査を受ける時には、じっとしていられないこともあり、ストレスを感じてしまいます。

これまで閉所を苦手に感じなかった人がMRI検査を受けて自覚することもかなりあるようです。実際検査を受けに来られた40代の患者さんは、これほど怖いとは思わなかったとこぼしていました。

そうした人たちに対応する為、比較的開放的なタイプの機械が新しく登場し、狭いところが苦手でも、じっとしていられなくても大丈夫なようになってきました。

新しい機械が導入されることで、MRI室に勤務するナースの声としては新しく知識を上書きしなくてはならず、大変な思いをするものです。それでも最新式のMRIを使うことで、患者さんの苦痛を少なく出来ると思えば、私達看護師の大変さはたいしたことではないです。

むしろ早くこのMRIを使いこなし、患者さんの容体を把握するのに努力したいと思えます。幸い私はMRI室の中では若手ですので、新しいMRIに慣れるのも早い方だと感じています。


30代 女性

MRI室の看護師の仕事は、患者さんにMRI検査のメリット、デメリットを教えて、納得してもらうことが第一です。

事前準備が必要なタイプの検査では、患者さんに食事時間の調整をしてもらわなくてはなりませんし、患者さんの理解を得られないと検査自体が成立しません。造影剤を使うタイプがそうで、検査の6時間前は絶食が基本となります。

うっかり説明し忘れて朝食を摂って患者さんがMRI室まで来てしまったこと、食事について説明しすぎて、間食も駄目ということを勘違いしてしまい、おやつをつまんで来てしまった患者さんに説明し直す羽目になったことなど、失敗したことが幾度もありました。

そのたびに自分の説明不足について悩んでしまい、同僚や先輩たちと揉めてしまい、自分はMRI室勤務に向いていないのではないかと思いつめたものです。

何度かそうした失敗を繰り返して、患者さんに説明することは自分自身の看護知識を復習し、覚えなおすことだと切り替えたのです。忘れることは悪いことではありません。復習してより深く頭に刻み込むよい機会となります。


40代 女性

MRI検査は意外と時間がかかり、最大60分はじっとしていなくてはなりません。この意外と時間がかかるというデメリットは今のところ解消できず、加えてMRIの機械が作り出す磁場によって、雑音がするという欠点が発生します。

これらに苦痛を感じ、退屈さに耐えられる人はあまりいないでしょう。良い大人でも退屈になってしまうことは珍しくありません。苦痛に耐えかねてストレスを感じ、検査を中止せざるを得ない患者さんも出てしまいます。

私が所属するMRI室では、こうした苦痛への対策として、患者さんのリクエストに合わせて検査中に音楽を流すことにしています。上記のとおりMRI検査中は磁場によって音が出てしまい、医療技術の進歩によって初期のMRIより大分音が小さくなった方ですが、どうしても無音という訳にはいきません。

音楽を流すのはあくまで気休め程度でしかありませんが、子守唄に使われる曲を流すと、患者さんの相性によっては、眠くなってしまうほど心地よいようで、ぼんやりと夢心地でいるうちに検査が終了してしまうほどです。

MRI室に勤務する看護師としては、気休めでも患者さんの苦痛を和らげる努力が出来れば、検査する方としても気が楽になります。MRI検査を苦痛にしか感じないよりは、現場の看護師や技師の努力で、楽になれる方が良いと思います。