看護師さんと患者さんのコミュニケーションが大切なのは、精神的なサポートばかりでなく、検査や治療、退院にまでに大きく関わってくるからです。

新人研修ではもちろん、その後も何かとコミュニケーションスキルを勉強させられます。

しかし、相手は患者さんです。上手くコミュニケーションがとれる時ばかりではありません。

そして、コミュニケーションに苦手意識を持ったり、辞めたいと思ってしまう看護師さんもいます。

辞めてしまうのは簡単かもしれませんが、せっかく取得した資格です。看護師を辞めずにすむ方法を考えていきましょう。

患者さんとのコミュニケーションが上手くいかないとこんな弊害も…

患者さんと医師の信頼関係が築けない

看護師さんが患者さんと上手くコミュニケーションが取れないと、医師に伝えなければならない患者さんの情報量や質が乏しくなり、医師との連携が上手くいかなくなります。

その結果、治療に支障をきたすことになり、患者さんと医師との信頼関係も築けなくなります。そして、それが病院への不信感にも繋がってしまいます。

患者さんの本音を知ることが出来ない

患者さんは自分の病気の心配以外にも、どんな検査だろう…治療は怖いわ…家族はどうしているだろう…仕事が溜まってるかも…などと様々なことを考えています。

そのような心配事を打ち明けてもらえないことで、看護目標に挙げることが出来ないし、患者さんの気持ちを楽にしてあげるような声がけも出来ないでしまいます。

スムーズに検査、治療が出来ない

検査や治療のための説明に、患者さんが耳を傾けてくれないかもしれません。

いくら頑張って説明したとしても、聞いてもらえてないのですから、禁食と言ったのにご飯を食べてしまった…歩行禁止と言ったのに歩いてしまったなんてことになります。

これでは患者さんがいくら早く退院したくても、出来なくなってしまいますよね。

患者さんとのコミュニケーションの難しさを痛感した出来事

患者さんは、いきなり心のモヤモヤをぶつけてきます。はっきり言って重いです。答え方が見つからない時もあります。

私の経験の中でコミュケーションの難しさを感じた場面をいくつか紹介したいと思います。

場面1

深夜のラウンドの時、ターミナルの50代の男性患者さんが、「こんな僕でも、心が折れてしまうんだよ」と泣くのです。

気丈に振舞っていた患者さんだっただけに、かけるべき言葉が見つかりませんでした。

場面2

「手術しないと余命1年と宣告されたけど、君ならどうする?」と男性患者さんから質問されました。

「先生の言う通りにします」と答えたら「人のことだと思って」と叱られました。いいかげんさが丸見えだったのかもしれません。

場面3

点滴しようとしたら、患者さんから「これ、毒入ってないか?」と言われました。”点滴ボトルに異物混入事件”の後だったのです。

「人聞き悪い事を言わないでください」と言ってしまいなんとなく後味が悪い思いでした。

患者さんとのコミュニケーションで悩まないために

深く考え込まない

周りの看護師さんを見てください。無口な方もいます。お話が上手な方ばかりではありません。

自分だけが患者さんと上手くやれていないとか、コミュニケーションが苦手だから、看護師には向いていないなどと悩むことはありません。

「今日は、患者さんと上手く話せなかった」と思っても、職場から一歩出たら考えないことです。そして明日また明るく患者さんに声をかけてみてください。

苦手な会話を笑顔でカバー

「今日は何を話そう」とラウンド前から悩んでいませんか?そんなことは考える必要はありません。特別な事を話そうと思うから悩むのです。明るい挨拶で良いと思います。

笑顔が基本です。病室に入ってくるだけで気持ちがいい印象の看護師さんていますよね。

そして笑顔にプラスして声のトーン、視線、身振り、手振りなどに気をつけたら、患者さんからも良い印象を持たれると思います。

とにかく地道に経験を積む

経験を積むといろいろな患者さんと接したり、様々な病気を見ているので患者さんとも億劫なく会話が出来るようになります。

「この花、素敵ですね」「おうちの方がいらしていましたね」などと愛想も上手になったりします。

口数が少なくて済む部署へ移動する

病院の部署は、病棟ばかりではありません。話すのがやっぱり苦手だという方は、患者さんとのコミュニケーションが少なくてすむ部署もあります。

内視鏡室や手術室などがそうですね。外来も病棟ほど多くは話しませんから良いかもしれません。

苦手意識を持って萎縮しているより、自分の良い面が発揮できる部署で働くほうが良いですね。

どうしても無理そうなら病院以外への転職も視野に

どうしても患者さんとのコミュニケーションが辛いという場合は、自分の気持ちが楽だと思える場所へ転職するという方法もあります。

クリニックであれば、検査、処置の説明は必要ですが、病棟などと比べれば軽いコミュニケーションですみます。経験した事のある科なら、自信を持って患者さんに接する事もできますね。

高齢者の介護施設は病院とは異なり、検査などの重要な説明はありません。バイタルチェックや簡単な処置の時に、軽く言葉を交わしましょう。

自分に合ったところに転職して、楽しく看護師を続けられたらうれしいです。