感染管理認定看護師とは

役割

感染管理認定看護師は、ありとあらゆる感染源から人々を守ることが仕事です。感染症にかかった患者さんの治療は別の問題になりますが、周囲にいるほかの患者さんに感染させないことが重要です。

病院を訪れる外来患者さんや同じ病院内の入院患者さんに感染させないこと、感染した患者さんの家族やお見舞いに訪れた人、病院に勤めるほかの看護師、医師などの医療従事者、医療事務員などの病院関係者も守らなくてはなりません。院内感染が起こらないように、感染症の現場で働くすべてを守ることが役割となり、重要な仕事です。

求められる専門知識や技術

感染管理認定看護師に求められる専門知識や技術は感染管理学、疫学、統計学、微生物学、感染症学、医療管理学、医療関連感染サーベイランス、感染防止技術、職業感染管理、感染管理指導と相談、洗浄・消毒・滅菌とファシリティマネジメントなどです。さらに医療施設の現状を評価し、感染予防・管理システムを構築していく技術が必要です。

感染管理認定看護師になるには

資格取得方法

感染管理認定看護師になるには看護師免許を取得し、実務研修が5年以上あり、そのうち感染症分野の実務研修が3年以上あることが前提条件です。実際に感染症の患者さんを担当した実績が、必要となります。さらに、現在も医療施設において感染管理に関わっていることが望ましい条件となります。

その上で、認定を行う日本看護協会に指定された教育機関で、認定看護師教育課程のカリュキュラムに沿って学んでいきます。必要な科目を履修して習得し、最初は基本的な部分から学んで、研修センターにおいてすでに認定された看護師から実践的な授業を受けます。

通常の看護業務の中ではふれることのない微生物学、疫学、統計学といった感染管理に必要な内容を学んでいきます。およそ6ヶ月間、615時間以上の教育期間を修了してから認定審査の筆記試験を受け、合格することで認定証が交付されて感染管理認定看護師として登録されます。この認定証は更新性であり、5年に一度の更新を行う必要があります。

資格保有者数

感染管理認定看護師の資格保有者数は、2011年の時点で1,364名です。

難易度・合格率

感染管理認定看護師の難易度・合格率はかなり高く、平均して90%後半を記録しています。その年によって微妙に違いますが、合格率が90%を割り込んだことはありません。残りの数%に入ってしまって万が一不合格になっても、必要な過程は修めているため、翌年同じ試験を受けることができます。

感染管理認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

感染管理認定看護師になると、それまで以上に感染予防、感染防止についてくわしくなったため、感染管理のスペシャリストとして活躍できるようになります。それまでの職場に戻って、更に責任ある仕事をするなど選択肢が広がります。

例えば、普通の病院でも感染制御チームがあるため、そこの責任者として働くことが可能です。院内の患者さん、職員、来訪者を守るため、日々戦い続ける職場となります。

さらに感染症専門外来や専門病院など、活躍できる職場が増えることが予想されます。感染防御チームが必要とされる急性期の患者さんが多い病院、医療機関などで活躍できます。こうした病院では普通の病院よりも患者さんの免疫が弱まっていて、感染症にかかりやすくなっているからです。

将来性

感染管理認定看護師になると、簡単に言えばキャリアアップを果たしたことになるため、同じ職場でも給料が上がることになります。これは認定看護師手当がつくためで、どの職場を選んでも手当がつくことは変わらず、認定される前より高い給料を得られるようになります。

認定看護師の中で感染管理認定看護師が認定され始めたのは2001年のことで、比較的新しい分類です。それでも現在順調に数を増やしていて、社会から必要とされていることを考えれば、将来性の高さはうかがい知れます。

日本は先進国の中では感染管理に関して意識がまだ低いため、これから専門家である感染管理認定看護師を増やして意識の向上と需要の拡大に努めていくことが、国際的にも意義があることとなります。