認知症看護認定看護師とは

役割

認知症看護認定看護師は認知症のプロセスと予後を理解した上で、認知症患者さんの代弁者として生命、ライフクオリティー、そして尊厳を守る役割を担います。また発症から終末期にいたる長期間にわたるさまざまな看護の問題に関して、家族も含めた総合的なサポートのプランニングとその実行も求められています。

求められる専門知識や技術

認知症患者さんの状態を総合的にアセスメントし、発症から終末期にいたる各期に適切な看護の実践、体制づくり、家族のサポートを行うことのできる知識と技術がまず必要です。

また患者さんにとって安心、安全に生活し、療養することのできる環境を整えることと、認知症のもとで行動心理状態の悪化を予防緩和する知識や技術も欠かすことができません。ほかの疾患による影響のアセスメント、治療的援助を含む健康管理能力も必要です。そして認知症関連の保健、医療、福祉制度に関する知識も求められます。

そのほかに認知症看護の指導、相談にも対応することができ、ほかのスタッフと連携して認知症にかかわるケアサービス推進のリーダーシップをとる能力も必要です。

認知症看護認定看護師になるには

資格取得方法

日本の看護師免許を持っていて、免許取得後の実務研修が通算5年以上あり、そのうち3年以上は認知症看護分野であることが必要です。

具体的には認知症患者さんの多い医療、福祉施設などで在宅ケアも含めて通算して3年以上の看護実績と、認知症患者さんに関する実績が5例以上なければなりません。

さらに、現在認知症患者さんの多い医療、福祉施設などで勤務していることが推奨されています。条件を満たした上で認定看護師教育機関において6ヶ月、615時間以上の課程を修了して認定審査を受け、合格すると認知症看護認定看護師認定証が交付されます。

認知症看護認定看護師は、5年ごとに更新審査を受ける必要があります。

資格保有者数

345名

難易度・合格率

合格率はここ数年、90%以上という高い数字になっています。ただ、これは教育課程終了後に受ける認定審査のものですから、注意しなければなりません。実際に、教育機関の入学試験はかなりの難関となっています。入学後の教育課程内容もハードなものであり、卒業試験などを考えると難易度は高いということになります。

認知症看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

認知症看護認定看護師の職場についてはおよそ80%の人が病院、およそ9%の人が介護保険施設に勤務しています。病院内での部署は病棟勤務がおよそ9割で、病院の種類としてはがん診療連携拠点病院が5割、救命救急センターが4割、特定機能病院が1割という割合です。

認知症看護認定看護師が多く勤務している病院としては、4名が在籍する順天堂東京江東高齢者医療センター、3名が在籍する足利赤十字病院などがあります。また2名が勤務している杏林大学医学部付属病院もの忘れセンターのように、高齢者医療や認知症関連の部署での活躍が多く見られています。

病院以外にも、特に療養型の老人介護センターや、在宅介護のスタッフなどといったように、さまざまな高齢者の生活の場に応じた職場があります。

将来性

日本は世界でも類をみないスピードで、高齢化が進んでいます。現在65歳以上の高齢者のうち、認知症の人はおよそ450万人、15%ほどを占めていると推計されいます。これに認知症の可能性が高い軽度認知障害であるおよそ400万人を加えると、実に65歳以上の4人に1人が認知症、その「予備軍」であると計算されます。

戦後のベビーブーム世代が高齢期を迎える2015年、高齢者人口がピークとなる3,500万人に達する2025年というように、今後も日本の高齢化は進んでいくと予想されるため、認知症である人の増加も避けることはできないでしょう。

このような超高齢化社会の日本を支えていく認知症看護認定看護師の必要性は、今後さらに大きくなるでしょう。病院だけでなく老人介護施設や在宅介護などといったように活躍の場も広く、高齢者のライフスタイルも多様化していくと予想されます。