交流分析士とは

どんな資格?

交流分析士とは、人の心と行動を快適にする心理学の知識や技術をベースとして、人と人とがかかわるあらゆる場面で健やかな人間関係の形成や心身の健康をはじめとした交流分析を実践する人に与えられる民間資格です。

精神分析を土台として、人間性心理学を取り入れて開発された「精神分析の口語版」ともいわれています。ひとつのパーソナリティ理論として円満なパーソナリティの獲得、個人の成長と変化に必要で体系的な心理療法、コミュニケーション理論、障害発達理論、潜在能力の顕在化や自己実現にもつながるものです。

もう少しわかりやすくいうと「ふれあい」、「自我」、「コミュニケーション」、「人生とは」、「心理パターン」、「時間の過ごし方」、「人生のシナリオ」といった言葉で説明されます。

認定先

NPO法人の日本交流分析協会、日本交流分析学会が認定します。

資格保有者数

日本交流分析協会認定の資格について保有者数は明らかになっていませんが、協会の会員に限って認定されることになっていて、協会会員数が3,500人であることから推定すると、1,000人から2,000人ほどであると考えられます。

一方、日本交流分析学会の資格者については、ホームページ上に資格保有者として10人の氏名が公開されています。

難易度・合格率

日本交流分析協会は一般社会向け、日本交流分析学会は医療機関向けとなっています。いずれも各会の会員であることが資格保有の条件になることから、まずはそこで難易度や合格率に差が生じます。

前者は一般社会向けということで2級から1級、インストラクター、准教授、教授というレベル別に難易度も異なっています。後者は学会のスーパーバイザーによる推薦が必要であるため、難易度はそれだけ高くなっています。

交流分析士の資格を活かせる職場

日本交流分析協会の資格でいう1級以上は、自分以外に向けた活動に用いることが可能であり、インストラクターになると協会公認の講師活動も可能となります。

介護・福祉関係、カウンセラー、ビジネスマン、企業経営者、病院関係者、自治体、教職員、社会団体のリーダーなどといったように、さまざまな人と人とがかかわり合う職場において活かすことのできる可能性があります。

心理学が基礎ですから、ほかの心理学関連のスキルと併せ持つことによって活用する幅も大きく広がります。

交流分析士の将来性

ビジネス分野ではワークライフバランスが課題となっていて、仕事以外の生活を重要視する傾向が強くなっています。例えば、地域社会での活躍や趣味の世界での活動ということで、会社の人間関係とはまた違う人と人との健やかな関係構築が必要とされています。

また、会社生活の中でもメンタル、精神面での健康維持に問題が生じていますから、ここでも交流分析のようなスキルや技術が今後さらに求められると見込まれています。

社会福祉の分野では超高齢社会となった今、人と人との「活きる」フィールドが多くなっているので、当然、交流分析のニーズもますます高まると考えられます。

このように、今後の情報高密度化、個人の多様化、個人主義などの傾向が強くなると予想される中、交流分析士のスキルはより必要とされるものであり、将来性は高いということができます。

交流分析士のお給料事情

「交流分析士」という資格だけで、自立した活動をすることは難しいでしょう。いわゆる心理カウンセラーという分野でいうと、資格も非常に多くの種類があります。国家資格に値するこの分野のベースとなる臨床心理士などの資格を併せ持った活動をすることができてはじめて、給料が平均して年間300万円から1,000万円といった金額で活躍している人もいます。幅広い分野であるために、その中でもどこかに特化した分野のプロとなれば給料も安定します。交流分析士としてだけで昇給や安定した収入ということは困難であると理解しなければいけません。

交流分析士になるには《資格取得方法》

受験資格

日本交流分析協会では、まずは会員であることです。日本交流分析学会2級と1級は、専門講座を受講した後の認定試験に合格することが必要です。

インストラクターは専門講座を受講して試験に合格し、さらに養成講座を受講する必要があります。准教授は、インストラクターを取得してから2年以上が経過して一定の講座を受講し、指導歴もあることが条件です。教授は准教授資格を取得してから3年以上が経過して、やはり講座を受講して指導歴もあることが条件です。

日本交流分析学会では交流分析の実践歴や推薦、自己分析記録などが必要であり、学会ならではの非常に難しい要件が示されています。

審査方法・試験内容

認定審査は、日本交流分析協会では2級からインストラクターまでが試験への合格、准教授と教授は論文審査と発表審査です。

受験日程

2014年5月20日の午前中に予定されていて、詳細は4月に発表される予定です。試験会場は、全国で5会場が用意されています。

費用・会場

日本交流分析協会では、まず会員になる必要があります。入会金として4,000円、年会費として6,000円が必要です。そのほか、初級では講座の受講に25,725円、認定試験に16,800円、登録料として12,600円の費用が必要です。

2級、1級となると講座におよそ50,000円、認定試験は30,000円から36,000円、登録料は20,000円から30,000円がかかります。

講座や試験は各支部で予定されていて支部は東北、関東、静岡、北陸、中部、関西、中国、四国、九州にあります。各支部は各地域の主要都市にあり、講座や試験はこれらの都市で行われます。

日本交流分析学会では、審査料として10,000円が必要です。こちらは正会員であって3年以上の所属歴があれば審査を受けるという形式になるため、試験会場はありません。論文などの審査となります。

問い合わせ先

日本交流分析協会 本部03-5282-1565、日本交流分析学会 交流分析実践資格認定委員会03-3972-8111