万病のモト!

糖尿病をもつ患者さんの病歴は、複雑です。様々な合併症がある上に、たとえ血糖コントロールが良好でもこれらの合併症の軽快や改善には繋がらないからです。

糖尿病には数種類ありますが、ここではⅡ型糖尿病について解説します。

糖尿病そのものの悪

糖尿病の原因の2大柱

  • インスリン不足
  • インスリン抵抗性

インスリン抵抗性とは、インスリンの作用しにくい脂肪細胞の存在により、インスリンは足りていても作用しないという「インスリンの相対的な不足」が起こることです。

肥満の人がなりやすいⅡ型糖尿病の大きな要因になっており、血糖値のコントロールには食事療法が欠かせません。ですが、糖尿病の初期症状の1つに食欲の異常亢進があり、血糖コントロールがますますつかなくなり、病気がどんどん進行するという悪循環に繋がります。

糖尿病の合併症

糖尿病では脂質の代謝も大きく阻害されるため、動脈硬化をとても起こしやすくなります。心筋梗塞や脳梗塞のリスクが非常に高まり、また血管の質も悪くなるため、動脈剥離や出血などのリスクも同様に高まります。血圧が高いほどこれらの合併症は進行しやすくなります。

  • 糖尿病性腎障害
  • 糖尿病性腎症は、糖尿病の合併症の中で最も恐ろしいものの1つです。ほぼ不可逆的に末期腎不全まで進行し、最終的には透析が導入されます。

  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性神経障害
  • 抹消の循環が悪くなることにより傷が出来ても治りにくく、神経も鈍感になるため本人が気になって受診した時にはもう患部は壊死していた、というケースも珍しくありません。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は、血糖・血圧・脂質のコントロールに尽きます。薬による治療ももちろんですが、食事療法や運動療法も欠かせません。

食事や運動療法は、何十年と続けてきた生活習慣を乱すものであり、結果が目に見えるようになるまで長期間かかります。

看護師としても関わりが難しいところですが、脅しや叱咤も時には織り交ぜつつ、少しの改善をともに喜びあうような関係作りができたらいいですね。