緩和ケア認定看護師とは
役割
緩和ケア認定看護師の役割は、疾患を持つ患者の痛みや苦痛だけでなく、身体的・心理的問題から社会的問題までを早期に発見し、適切な処置を施すことによってこれらを緩和し、人としての生活の質を向上させることです。患者のみならずその家族へ対してケアを行うことも、重要な役割の1つです。
このように緩和ケア(Palliative Care)は、患者やその家族へ対する精神的なケアを行う役割も担っており、患者や家族、治療を行う医療機関にとっても重要な存在です。
求められる専門知識や技術
緩和ケア認定看護師は、様々な知識や技術を駆使する職業です。そのため、求められる専門知識や技術は多岐にわたります。
基本となる部分は、苦痛や痛みを緩和する知識や技術ですが、人の心理に関する知識、カウンセリング技術、残された時間を積極的に人として生きられるようなサポート技術、残された家族の精神的なケアに関する技術など、精神面に関する専門知識や技術も求められます。
また、化学療法や放射線治療といった様々な治療方法についての知識が必要となることも多くあります。
緩和ケア認定看護師になるには
資格取得方法
緩和ケア認定看護師になるには認定試験に合格する必要がありますが、その前に2つの条件を満たす必要があります。
条件の1つは日本で看護師免許を取得して、通算で5年以上の実務研修を積んでいることです。そのうち通算で3年以上は、緩和ケア分野の実務研修でなければなりません。緩和ケア分野の実務研修の基準は、緩和ケアを受ける患者の多い病棟や在宅ケア領域で看護実績があること、緩和ケアを受ける患者対応実績が5例以上あることとなっており、これに加え、現在緩和ケアを受ける患者の多い病棟や在宅ケア領域などで勤務していることが望ましいとされています。
もう1つの条件は、1つ目の条件を満たした段階で、認定看護師教育機関で600時間以上の教育課程を修了することです。
これら2つの条件を満たせば認定試験(筆記)を受験することができ、合格すると認定証が交付され、登録すると緩和ケア認定看護師として勤務することができます。資格の有効期限は5年で、5年ごとに更新の手続きと書類審査があります。
資格保有者数
緩和ケア認定試験の資格保有者数は、全国に1400人以上います。認定看護分野は全部で21分野ありますが、その中でも皮膚・排泄ケア、感染管理に次いで3番目に多い資格保有者数となっています。
難易度・合格率
緩和ケア認定看護師の認定試験は合格率が90%を超えることがほとんどで、難易度は高くないと考えて良いでしょう。出題範囲は教育機関で学ぶ内容であるため、学んだことをしっかり身に付ければクリアすることが可能です。
認定試験に合格することよりも、実務研修を積む病院を探したり、そこで知識やスキルを身に付けたりする方が難しいと感じる看護師も多くいます。
緩和ケア認定看護師の資格取得後
活躍できる職場
緩和ケア認定看護師が活躍している職場の80%以上は病院で、その中でも病棟で勤務する認定看護師が多い傾向にあります。緩和ケアの趣旨から考えると、病床数が多い病院や高度な医療技術を持つ病院などでは特に需要も高く、活躍できる職場と言えます。
また、特定機能病院やがん診療連携拠点病院、救急救命センターも緩和ケア認定看護師が活躍できる職場で、実際に多くの認定看護師がこれらの職場で働いています。総合病院やがんセンター、県立病院、大学病院などでは緩和ケア科といった診療科を設置したり、緩和ケアチームを設置したりするケースもあり、このような場所も活躍できる職場の1つです。
将来性
緩和ケア認定看護師の受け持つ業務は、人が人として最期まで生きるために不可欠なものです。また現代では、痛みや苦痛を伴う難病やがん患者が増えていることもあり、今後も緩和ケアのスキルは必要とされ、認定看護師の需要も増えるでしょう。
実際に、活躍できる職場は病棟から在宅までと幅広く、緩和ケア認定看護師としてのスキルを活かし、患者やその家族をサポートできる場面も増えています。職場によっては緩和ケア認定看護師の資格取得を促したり、既に資格を持つ人を募集したりするケースも見られます。看護師としてのスキルアップに繋がるものでもあり、将来性は高いと言えます。
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