産休・育休中の社会保険料免除とは

育児・介護休業法では、産前産後休業および子が満1歳になるまで養育する育児休業期間中については、社会保険の保険料納付が免除されるということが定められています。

保険料は被保険者と事業主共に免除

保険料は被保険者分および事業主分、共に免除されます。例えば病院であれば、病院側が支払う看護師1人分の社会保険料と、産休・育休取得中の看護師が支払う保険料の両方が免除されるということです。

以前までは社会保険料免除は育児休業期間中のみが適用とされていましたが、平成26年4月からは産前産後休業期間中も対象となりました。産前42日(多胎妊娠の場合は98日)・産後56日間の産前産後休業、そして子が満1歳になるまでの育児休業期間(保育園入園を希望しているにも関わらず入園できないなどの事情がある場合には1歳6ヶ月まで)を入れると、最大でおよそ1年1~7ヶ月分の保険料支払いが免除されるということになります。

ただし、産休からそのまま育休に入り産前産後休業と育児休業の保険料免除期間が重複する場合には、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されます。そのため実際には、免除期間は最大でも1年前後となるのが平均的です。

免除期間があっても年金受給に問題なし

社会保険料が免除された期間であっても、それまで通り保険料は支払われたものとして扱われるため年金受給の際に不利益を被るということはありません。

産前産後休業中で社会保険料が免除される期間と条件

産休を開始した月から産休が終了した月の前の月まで

産前産後休業中における社会保険料が免除される期間は、産休を開始した月から産休が終了した月の前の月までとなります。社会保険料免除は月単位であり、日割り計算されることはありません。

例えば、5月15日に産休が開始し8月14日に終了した場合には、5~7月分が保険料の免除期間です。

産前産後休業に関しては、出産予定日と出産日によって開始日と終了日が決まるため、当事者によって調整することはできません。

実際に働いていないことが条件

社会保険料免除を受けるためには、実際に休んでおりかつ無給であるということが条件です。産休期間中に数日間だけ出勤するという看護師も少なくありませんが、1日でも労務に服した場合はその日については産前産後休業期間中として扱われないため注意が必要です。

ただしその翌日からまた休業に入った場合には、産前産後休業として扱われます。この場合、「産前産後休業取得者申出書」と「産前産後休業取得者変更(終了)届」を再度提出しなくてはならないということが原則です。

つまりイメージ的には、産休期間中に出勤した場合にはその都度産休を取得し直さなくてはならないということです。社会保険料は1ヶ月単位での免除となるため、月に複数回出勤する場合には1回の届出だけで良いともされています。

例えば産休期間中の6月3日と15日に出勤した場合であっても、6月4~14日までの届け出は必要ありません。

育児休業中で社会保険料が免除される期間と条件

育児休業を開始した月から終了する月の前月まで

育児休業中における社会保険料の免除期間は、育児休業を開始した月から終了する月の前月までです。

例えば、4月16日から翌年の1月19日まで取得する場合には、社会保険料は4月分から12月分までが免除の対象です。産休と同様育休の場合でも、社会保険料は日割計算されません。

育児休業は、子どもが満1歳になるまで(保育所が見つからない場合には1歳6ヶ月まで延長可能)取得することができ、母親ばかりでなく父親も取得および社会保険料免除の届出が可能です。

育児休業給付金の支給も対象

育休取得者で雇用保険に加入している場合には、育休期間中に育児休業給付金の支給も受けることもできます。また、育児休業は勤務する職場によっては子が3歳になるまで取得可能という制度が設けられているところもあります。

これは独自の制度となりますが、この場合であっても社会保険料免除の届出は可能です。育児休業期間中は基本的に無給が一般的となるため、社会保険料免除の制度はメリットが高いと言えるでしょう。