認定看護師は、特定の看護分野に関して、熟練した看護技術と知識を持ち、それを使い水準の高い看護実践を行なうことのできる看護師です。

公益社団法人日本看護協会によって行われている認定看護師認定審査に合格し、その看護技術と知識が熟練に値すると認められると、認定証が交付されます。

現在特定されている分野は、救急看護、皮膚・排泄ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、小児救急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、がん放射線療法看護、慢性呼吸器疾患看護、慢性心不全看護の21です。

認定看護師の役割

認定看護師、それぞれの特定看護分野において、3つの役割をもっています。

  • 個人、家族、さらにグループに対して、その熟練した看護技術を使って高い水準の看護を実践する
  • 看護実践を通して、他の看護職に対して指導を行う
  • 他の看護職に対してコンサルテーションを行う

この実践、指導、相談の3つの基本の役割に加え、専門知識や技術を生かし、病院内で組織的に活動したり、地域医療への貢献も期待されています。

つまり認定看護師は、看護師のエキスパートであり、一般の看護師のリーダー的存在といえるでしょう。

認定看護師の仕事内容

認定看護師の仕事内容は、その看護分野によって異なりますが、認定看護師の3つの役割を基本に通常業務以外に所属部署を超えた活動が伴うのは共通です。

例えば、実践に関しては、救急看護分野では、時と場所を選ばず発症した多種多様な疾病、外傷の患者の看護です。その際、危機的状況の患者、家族の精神的サーポートも行います。少ない情報から患者の状態を判断し、急激な状態変化に即対応できる看護が必要とされています。

糖尿病看護分野では、疾患の発症、悪化の防止と、その人らしく健やかな生活の継続のための生涯続くセルフケアや療養生活をサポートします。

がん性疼痛看護分野では、患者の生活の質を高めるため、痛みの症状に対するケアを、他の緩和ケアのスタッフ連携のもとに行います。指導に関しては、がん化学療法分野では、日々進歩する治療法や、その副作用、そして抗がん剤の投与管理を他看護師に啓蒙します。

また感染管理分野では、医療機関全体の感染対策、感染防止技術の指導を行います。相談に関しては、ほぼ全分野共通で、所属部署を超えて、看護分野に関する相談を患者、家族、及び他の医療スタッフから受けます。脳卒中センターや、嚥下センターなど看護分野専門の相談部署に、通常業務以外に相談スタッフとして携わる場合もよくあります。

これ以外に、院内外での講演や執筆、自治体や、教育機関など医療機関外と協力して、看護分野に関するプランニングを行うこともあります。認定看護師の仕事はこのように所属部署を超える活動が多いので、必然的にチーム医療の形で働くことが多くなります。

また患者だけではなく、その家族、他部署の医療関係者や自治体の担当部署、教育機関など、多方面とのコミュニケーションをとる必要があるのが一般の看護師との違いです。

認定看護師の今とこれから

1995年に制度化が始まり、1997年に初めての3分野で59人の認定看護師が誕生しました。今ではその分野も21まで広がり、現在の認定看護師は12534人を数えるほどになっています。これは近年、大学での看護師養成が急増するなど看護教育水準が高まったことに関係します。現在、超高齢化社会の到来で、医療のニーズが急速に増大しています。

このような中で、今後の医療を支えるためには、限られた医療スタッフで質の高い医療を効率的に提供する必要があります。その意味で、専門性を最大限に生かせる「チーム医療」はこれからもますます盛んになり、それを支える認定看護師のニーズも今後さらに高まることが予想されます。