小児救急看護認定看護師とは

役割

小児救急看護認定看護師、は子どものフィジカルアセルメントや救命処置はもとより、子どもの健やかな成長発達を願い、家族も含めてサポートすることが仕事です。

そのために、子どもの虐待や事故の防止、家庭における育児能力の向上といった観点も考慮しながら、子どもにとっての最善の利益を常に考える必要があります。この点を大前提とした上で、子どもと家族へ対して必要な援助と支援を行うことができるよう、ほかのスタッフとの連携にも気を配ることが大切です。

求められる専門知識や技術

まず小児救急の場で第一に子どもの権利と尊厳を守り、医療チームの一人として倫理的に行動する姿勢が重要です。また、トリージアを行うことのできる優れたアセスメント能力が求められます。

さらに小児救命技術、小児救急看護技術とそのベースになる専門知識も欠かすことはできません。その技術と知識は、ほかの医療スタッフや地域社会に指導することのできるレベルが必要です。

そして、虐待の予防や早期発見、適切なサポートをする能力も必須のものとなります。このような知識や技術を確立、発展させるためには自己研鑽が大切です。

小児救急看護認定看護師になるには

資格取得方法

第一に、日本の看護師免許を所有しているという条件があります。経験に関しては看護師免許を取得してから通算して5年以上が必要であり、そのうち3年以上は救急看護分野か小児看護分野での実務経験が必要です。

またその際、小児救急患者・家族の看護を5例以上担当していることが求められます。その上で現在、救急看護か小児看護にかかわっていることが望ましいとされています。

こういった条件を満たして認定看護師教育機関で6ヶ月、645時間以上の課程を修了し、認定審査を経て小児救急看護認定看護師認定証が交付されます。

なお、5年ごとの更新審査を受ける必要があります。小児救急看護認定看護師の教育機関としては、日本看護協会看護研修学校があります。

資格保有者数

186名

難易度・合格率

合格率はここ数年、90%台が続いています。しかしながらこの数字は教育課程終了後の認定審査のものですから、教育機関の入学試験も考慮すると難易度は低いということはありません。

小児救急看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

小児救急看護認定看護師の所属施設については、95%が病院となっています。病院勤務者は部署別ですと病棟が6割、外来が2割、救命救急センターが1割、残りの1割がそのほかの部署となっています。また、病院の種類別ではがん診療連携拠点病院と救命救急センターがおよそ5割弱ずつで、およそ1割が特定機能病院です。

小児救急看護認定看護師の多い病院としては勤務者が3名の松戸市立病院、済生会横浜市東部病院などがあります。2名の勤務者がいる宮城県立こども病院、長野県立こども病院、兵庫県立こども病院、東京都立小児総合医療センターといった小児科医療専門の医療機関は、代表的な活躍の場となっています。

これ以外に、ICU、PICUや救命緊急センターなどといったさまざまな職場で、その活躍が求められています。

将来性

現代の日本は、少子化が進行しています。それにもかかわらず、小児救急の受診者はむしろ増加しているという状態です。その理由としては核家族化や共働き世代の増加といった家族形態の変化、また医療サービスに求める価値観の変化、そして親の育児養育力の変化などが挙げられています。

社会の小児救急看護領域に関するニーズはこれからも高まると予想されていますが、小児救急看護認定看護師の歴史は比較的新しく、約10年ほどで登録者数もまだ多くありません。

そのため、今後もさらなる需要が見込まれると考えられます。また小児科医の不足、地域における小児医療体制の地盤が弱いことなどの救急外来における問題も、社会でよく議論されています。そのような社会環境の中で最新の知識と技術を持ち、専門性の高い看護を実践することのできる小児救急看護認定看護師が活躍する場は、ますます広がるでしょう。