手術看護認定看護師とは

役割

手術看護認定看護師は、手術という治療の場でどのような状況にあっても看護倫理を遵守して行動することのできることが求められます。また、熟練した技術の実践や他の看護スタッフに対する指導、相談を通じて看護の質の向上に貢献しなければなりません。

手術看護認定看護師には、手術前の準備から手術中の安全確保、手術後の継続した看護に至るまでの幅広い役割が求められるのです。

求められる専門知識や技術

実践面では、患者さんの状態を的確に把握し、術中看護へ活かすことができるように術前訪問の施行率を高めます。そういったことを通じ、患者さんが手術や麻酔に対して持っている不安や緊張を和らげるための心理的なサポートにあたります。

また、手術における合併症を防ぐために皮膚・排泄ケア認定看護師と連携して体温測定や小枕作成を行い、皮膚・神経損傷予防対策を行います。それと同時に体温や体位の管理、手術機材や機器の管理などといった安全管理もしなければなりません。

他のスタッフに対しては手術体位に関連した皮膚・神経損傷の予防や体温管理の方法などについて指導するほか、手術室のスタッフがEBNにもとづいて看護実践をすることができるよう、勉強会も定期的に開催します。スタッフに看護を実践する上でわからないことがあれば相談に乗り、解決策や改善策を考えます。

手術看護認定看護師になるには

資格取得方法

手術看護認定看護師は、日本看護協会の認定資格です。認定審査を受けるためには保健師か助産師、看護師の資格を取得してから通算して5年以上の実務経験が必要です。

そのうち手術看護分野での看護実績が3年以上となっていて、手術看護での機械出しや外回り看護師としての実績を持っていなければなりません。現在においても、手術看護部門に勤務していることが望ましくなります。

手術看護認定看護師を育成している教育機関は東京女子医科大学看護学部認定看護師教育センター、福井大学大学院医学系研究科付属地域医療高度化教育研究センター看護キャリアアップ部門、兵庫医科大学医療人育成センター認定看護師教育課程という3ヶ所です。

6ヶ月の在学期間で必修科目授業時間数として630時間、32単位が必要となります。研修を終えて年に1回実施されている日本看護協会の認定看護師審査を受け、審査に合格することができれば認定看護師として登録されます。

資格保有者数

手術看護認定看護師の登録者数は、全国で262名となっています。

難易度・合格率

手術看護認定看護師の合格率は、90%以上となっています。認定看護師教育課程でハイレベルな専門知識や実習を通じて知識や技術が得られ、認定看護師として必要なスキルを身につけることができるため、高い合格率になっています。

手術看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

手術看護認定看護師が活躍することのできる医療機関は、オペ室を持っている機関です。特定機能病院、地域医療支援病院といった規模の医療機関で、大学病院や総合病院といった緊急指定病院、救命緊急センター、災害拠点病院などに指定されている医療機関でもあります。

具体的に手術看護認定看護師のいる病院としては、札幌医科大学付属病院、仙台オープン病院、埼玉県立がんセンター、東京労災病院、トヨタ記念病院、市立堺病院、広島赤十字・原爆病院、徳島大学病院、大分県立病院などのように病床数が多く手術室も持つ医療機関が挙げられます。

将来性

手術医療がより高度で複雑になる中、手術を受ける患者さんの高齢化もあって、合併症などを発症するリスクも増しています。手術における患者さんの安全や安楽を求める手術看護の役割は、今後一層大きくなります。

医学の進歩によって手術で治癒に至る病気や怪我も増えているため、今後も手術看護認定看護師の需要はさらに大きくなるでしょう。

また、認定看護師を配置する医療機関では、認定看護師の役割である実践として個人、家族及び集団に対して熟練した看護技術による水準の高い看護を提供することについて期待しています。チーム医療を推進していく上でも、指導や相談といったようにリーダーシップを発揮することのできる人材が求められています。