血管造影室(アンギオ室)で行われる検査の概要

まずカテーテルを血管に挿入し、造影剤を患部に流すことで血流の状態や組織への浸潤経路などについて調べます。おもに脳や腹部、心臓の血管を検査する目的で活用されていますが、病変が発見されたときにはカテーテルから薬を注入しての治療なども行われます。

●血管造影検査の所要時間
長い場合ですと、3時間程度の所要時間がかかることになります。血管造影室は手術室とほぼ変わらない設備であり、局所麻酔で行われるため患者さんの意識も残っています。

血管造影室(アンギオ室)における看護師の役割

当然ですが第一に、患者さんのケアを考えます。フォローやサポートにあたり、検査にあたっては介助も行います。

検査によって患者さんは身体面だけでなく、精神的な負担も大きなものになります。看護ケアに加えて質問や不安に対応しつつ、精神面も含めてサポートすることが大切な役割となります。

検査前の役割

患者さんに対して検査の内容や穿刺動脈の場所、検査にともなって起こり得る偶発症などをしっかり説明します。苦痛がともなうことになる点も、理解を得なければなりません。

薬物アレルギーや感染症の有無、心不全などといった検査対象以外の持病なども十分に把握しておきます。また、患者さんに対して気をつけてほしい点は伝え漏らしてはいけません。

除毛が必要な場合は、検査の前に済ませておく必要があります。大腿動脈穿刺であると特に広い範囲を処理しなければならず、T字帯を着用することになります。

検査中の役割

●患者さんのケア
血圧計や心電図モニターなどを装着していて身体は動かすことができず、また心臓や脳の血管などにカテーテルが入っているため患者さんは大きな不安を覚えています。痛みや気分が悪いなどといった変化が感じられたときにはすぐ知らせてもらい、自分からも様子を見ながら声がけするほかリラックスすることができるよう必要に応じて会話もします。

●医師のサポート
バイタルの確認や心電図のチェックなども行い、何らかの異変が確認されたときはすぐに医師へ知らせます。また造影剤の副作用や血栓症、血管内膜剥離などといった偶発症のほか緊急事態も起こる可能性があるため必要な機器なども準備しておかなければなりません。

●患者さんの観察
検査中に動いてしまうと危険ですから、注意して見ている必要があります。また大腿動脈からの穿刺であると検査が終わった後も医師による許可があるまで足を伸ばしたままの姿勢を保って安静にしていなければならず、細心の注意を払わなければなりません。

検査後の役割

●病棟への引き継ぎ
検査を終えて患者さんが病棟へ戻る際、申し送りで問題がないようにしなければなりません。病棟のスタッフへ向けて検査の内容や穿刺部分、検査中の様子などを記録として残しておきます。

●身体的なケア
安静中はベッドから起き上がることも禁じられていて、また横を向くこともできません。慣れない体位を保ち続けなければならないことから尿意が感じられなくなる場合もあり、導尿も行います。

しっかり尿中に造影剤が排泄されていることを把握する目的で、尿の比重や量についてその都度チェックします。造影剤の影響によって腎障害が発生する懸念もあるため、それを防ぐためにも早い段階で体外へ排出されるようにしなければなりません。

トイレではなく床上で排泄するために水分を摂取しない患者さんも少なくないのですが、なるべく摂取するよううながすとともに必要があれば輸液などで水分補給して排泄をうながします。

必要は理解していても精神的に躊躇するところはあるため、精神面をフォローするためにも定期的に声がけをしてコミュニケーションに努めることが大切です。

検査後の患者さんは半日から1日程度は仰向けになったままで同じ姿勢をとり続けることになりますから、身体が硬直して関節の痛みにつながるほか、腕を曲げることができなくなるといったこともあります。関節の部分をタオルなどでケアする、マッサージをするなどのフォローが必要です。