プレママにしても出産を終えたばかりのママにしても、身体は万全の状態ではありません。特に看護師というハードな仕事ですと、平時のようにめいっぱい働くことができなくて当然です。

ママ看護師が知っておきたい法律や職場の禁止事項

働く人たちを守る目的で、さまざまな法律が制定されています。その中で雇用と母子にかかわるものとしては、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、母子保健法などが挙げられます。

育児・介護休業法第10条の規定

スタッフが育児休業を取得したからといって、職場がそれを解雇などといった不利益な取り扱いをする理由にしてはいけないとされています。

人生の中でも重要なイベントである妊娠から出産、育児のために休業したいと申し出ることは労働者として正当な権利ですから、それが妨げられてはならないのです。

不利益な取り扱いとは…
・解雇すること。
・雇用期間が定められている場合で契約更新をしないことや、あらかじめ示されている更新回数を減らすこと。
・退職を強要すること。
・正規職員から非正規職員などといった雇用形態の変更を強要すること。
・労働者の意思に反する自宅待機を命じること。
・降格させること。
・給与や賞与に関して、不利益な算定をすること。
・減給させること。
・人事査定で不利益な評価をすること。
・労働環境を阻害すること。
・派遣社員に対して受け入れを拒否すること。
・無用に時間外労働や夜勤を制限し、労働時間を短縮すること。

母子保健法

母子保健法では保健指導や健康診査を定めていますから、それを受けるために必要な時間を職場へ要求することも禁じられるべきではありません。つわりなどのために仕事の能率が低下してしまう場合や体調へ好ましくない影響を及ぼす可能性のある業務がある場合は、そこから外れることも可能です。

また、夜勤や時間外労働、休日労働は避けられるべきであるとされています。職場によって短時間勤務や子の看護休暇を制度として定めていますが、そうでなくても配慮されるべきことである点には違いありません。

職場の対応に問題があった場合の対処法

育児休業は育児・介護休業法という法律にもとづいている制度ですから労働者が自分で主体的に請求することのできる権利です。規定の有無にかかわらず本来であれば自主的に申し出ることで休業を取得することはでき、配偶者が専業主夫をしているといった場合であっても制限されるところはありません。

困ったときは第三者機関に相談

基本的に育児休業を取得しようとして職場がそれを拒否し、また制限することはできません。上司から理解が得られなければ人事担当者や労働組合へ相談して話を通すといった手立てがあり、不当な扱いを受けたとなれば都道府県労働局雇用均等室に相談することもできます。

●都道府県労働局雇用均等室による問題解決支援
・通常対応
相談のあった内容に、対応しています。職場の対応に明らかな法令違反があれば、行政指導となります。

・都道府県労働局長の援助
双方の当事者から、ともに事情を聞き取ります。その上で問題を解決するために必要な具体案を助言や指導、勧告として提示します。

・第三者による調停
労働問題に明るい弁護士や学識経験者らが務める調停委員が公平で中立の第三者という立場から、双方の事情について聞き取ります。機会均等調停会議や両立支援調停会議、均等待遇調停会議による調停案が出され解決方法として受諾を勧告することになります。

●職場が行政指導の対象となった場合
職場が育児休業の申し出などを拒否すること自体について罰則規定はないのですが、法令違反ではありますから厳しい行政指導の対象となります。

行政指導や勧告に従わない企業名は公表されることとなり、厚生労働大臣から報告の求めがあって応じない場合や真実と異なる報告があった場合には20万円以下の過料も科せられます。