看護師の中には機械的に患者のフォローをするのではなく、一人一人の患者にしっかりと向き合った看護活動をしていきたいと思っている人も多いでしょう。

そのような人で看護留学を希望するのであれば、フランスを留学先の候補に入れましょう。フランスは温かさに重点を置く看護スタイルが基本だからです。

日本人はフランス人のことを、どこか気取っていると思っている節がありますので意外に感じる人も多いかもしれません。フランスの看護に温かみがあるのは、看護活動のルーツに関係しています。

看護師という職業がなかった時代、看護活動をしていたのは修道女でした。この名残は今もなおあって、フランス人で看護師をしている人の多くがカトリックの信者であると言われています。

このような背景もあって、一人一人の患者に向き合って、それぞれの患者が何を求めているかを考えながら、オーダーメイド式のケアをしてくれるのです。

日本では高齢化社会が今後ますます進み、自宅療養をする患者も多くなるでしょう。すでに日本全国に訪問看護ステーションができつつありますが、今後さらに訪問看護師へのニーズも高まってくるでしょう。

訪問看護のやり方を学ぶのにもフランスは適しているといえます。フランスでは、患者のケアをするにあたって、その人の国籍や文化、家族、職業といったバックボーンを詳しく聞く傾向があります。それぞれの患者に適した看護活動をしようという姿勢が見られます。

アメリカなどでは臨床症状などを見て、アカデミックに看護活動をする傾向がありますから、フランスは独自の看護概念があるといえます。患者の自宅を訪問して看護活動をする訪問看護師の場合、フランススタイルの看護の方がマッチしているでしょう。

自立した看護活動の中でスキルアップが可能

日本で看護業務を行っていると、医師との上下関係を嫌でも実感する人が多いはずです。看護業務を行うにあたって、医師の指示を常に仰がないといけないルールになっている病院も多いはずです。

しかし、フランスの場合、より自立した看護活動ができますので、看護師としてのキャリアやスキルをアップさせるには最適な環境が整っているといえます。

日本の医療機関の場合、医者と看護師がセットになっているのがもはや当たり前の光景でしょう。しかしフランスの場合、看護師は病院に所属しますが、医者の中には所属していないケースもたくさんあります。

フランスは日本と比較すると家庭医の制度が整備されていて、自分の診療所を持っている医者が多いです。通常病院から患者の自宅に行くことを訪問といいますが、フランスでは病院に医者が行くことを訪問と呼んでいるほどです。自立した看護を勉強するのであれば、フランス留学がおすすめです。

フランスの看護活動では宗教が重要

フランスでは職業看護師や聖職看護師という言葉がいまだに残っているほどです。このため看護師の宗教的なバックグラウンドを聞かれることが多々あります。日本人の場合、普段あまり自分がどの宗派の信者だという意識が希薄な人が多いです。

このため、「無宗教です」と答えてしまう人もいるようです。しかし、フランスでは無宗教という言葉は、使わない方が良いでしょう。

フランスでは先ほども紹介したように、敬虔なカトリック信者の方も多くいます。ですからそのような人に対して無宗教という答え方をすると、「神も仏もあったものではない」と言っているような感じに受け取られかねません。

そうなると、看護師との信頼関係を構築できない可能性もあります。日本人にとってはあまり大きな意味を持たないかもしれない宗教的バックグラウンドですが、無宗教と答えた時点で、ナースそのものの資質を疑われることにもなりかねません。

もし宗教について質問されたのであれば、仏教もしくは神道と答えておいた方が無難です。