夜勤なし、カレンダー通りの勤務であることから、看護師の職場としても人気なのが「クリニック」です。

しかし、一言で「クリニック」といっても様々な診療科があるため、自分にはどの診療科が合っているのか、どの診療科のクリニックを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「自分に合っているのは何科?」と題し、クリニックへ転職を考えている看護師さんへ、それぞれの希望や状況に合う診療科をご紹介します!

未経験or経験が少ない看護師へお勧めのクリニックなのは何科?

看護師免許こそ取得しているものの、まだ看護師として働いたことがない方、あるいは看護師としての経験がまだ少なく、看護技術に自信がない方へ、お勧めしたいクリニックは、「内科」です。

病院では内科と一言で言っても循環器内科、消化器内科など各専門領域に分別されますが、クリニックの場合は「一般内科」として、内科全般を扱っているクリニックが多くなっています。

内科系のクリニックならば、点滴や採血を行う機会も多いため、技術を磨くことができる他、感冒をはじめとして腹痛や咳といった、様々な内科的症例を見ることができるため、看護師として成長することができます。

よって、未経験の方、あるいは経験が少ない看護師さんにとってお勧めとなります。

一方で、内科は季節によって患者数の変動が激しく、特に秋から冬にかけては、患者さんに加えてインフルエンザワクチンの接種により多忙となるため、この期間に転職してしまうと十分なフォローがもらえないまま仕事を任されてしまい、精神的にかなり辛くなってしまう可能性が高くなっています。

よって、未経験or経験が少ない方がクリニックの求人を探す際は、条件の中に「未経験可」と記載されているクリニックを選ぶとともに、「仕事に慣れるまで、先輩の指導をもらえるかどうか」を事前に確認すること、そしてできる限り春から夏の時期に転職されることをお勧めします。

人間関係に疲れた看護師へおすすめのクリニックは何科?

看護師が転職を検討する理由として、常に上位となるのが「人間関係」です。

女性が圧倒的に多い看護師の職場において、人間関係は多くの看護師の悩みとなっていますが、人間関係に疲れた方へお勧めしたいクリニックが、「泌尿器」です。

女性看護師としては、男性がメインの診療科ということであまり人気がない診療科なのですが、実は泌尿器科は、他の診療科クリニックと比較しても人間関係が良い職場が圧倒的に多い、という特徴があります。

なぜ人間関係が良い職場が多いのか。その理由は、泌尿器は男性患者さんが多くの割合を占めることに加え、他のクリニックに比べると男性スタッフの在籍率が高いことに由来します。

男性がメインである泌尿器において、女性看護師の存在は貴重であり、女性患者さんの対応をするためにはなくてはならない存在となるため、基本的に人間関係が良くなる、という傾向があるのです。

人間関係に疲れた看護師さんにとって、これらの特徴はとても大きなメリットとなります。

また、泌尿器では検尿のみの検査であることが多く、採血や点滴といった処置は内科などと比べると機会が少ないため、精神的な負担も少ない、というメリットもあります。

全ての泌尿器科クリニックがそうだと断言はできませんし、中には女性専門の泌尿器科クリニックもありますが、とにかく人間関係が良い職場で働きたい!とお考えの看護師さんは、ぜひ一度泌尿器科クリニックを候補へ入れてみることをお勧めします。

子育て中の看護師にお勧めのクリニックは何科?

子育てをしながら働く看護師さんにとって、クリニックは「夜勤がない」「ほぼカレンダー通りの休み」という点から、人気の職場の一つとなっています。

数ある診療科の中でも、子育てをしながら働けるクリニックを探している看護師さんへ、おススメしたいのが「皮膚科」です。

皮膚科は予約制を導入しているクリニックが多く、残業がほとんどないため、「保育園のお迎えに間に合わない」といったようなこともほとんどありません。

また、内科や眼科などでは季節によって患者数が大きく変動しますが、皮膚科は冬に乾燥からくる皮膚トラブルによって患者さん数が増えるものの、他の診療科に比べると季節での患者さん数の変動が少ない、というメリットがあります。

何より、命に関わるような疾患を持っている方が来院されることはほぼいないため、精神的にもゆとりを持ちながら働くことができます。

子育てに忙しい看護師さんにとって、時間的にも精神的にもゆとりを持ちながら働くことができる、というのは、大きなメリットとなります。

一方、注意しなくてはいけないのが、「たとえ皮膚科であったとしても、休日当番がある地域もある」ということです。

休日当番とは、文字通り世間がお休みの日に当番制で開院しなくてはいけない、という制度であり、場合によっては年末年始など、大型連休の間に出勤となってしまうことがあります。

子育て中の方にとって、休日当番はまさに子供たちが休みである期間に出勤しなくてはいけないことになってしまうため、転職する際には、休日当番医となることはあるのかについても、事前にチェックされることをお勧めします。

地域にも貢献できる仕事をしたい看護師へお勧めのクリニックは何科?

クリニックの仕事と同時に、地域にも貢献したいと考えている看護師へお勧めの診療科、それは「小児科」です。

小児科クリニックを経営している医師の多くは、近隣の小学校や幼稚園などと提携しており、年に数回のペースで出張検診を行います。

よって小児科のクリニックで働いていれば、そういった提携先の検診にも同行することになり、地域に住む子供たちの健康を守るという地域貢献をすることができます。

他にも、小児科では通常の診察の他に、予防接種や検診なども扱っているため、勤めながら地域の子供たちが成長していく過程を見ることもできます。

小児科は他領域に比べて専門性が高いため、小児科未経験でクリニックへ就職すると、しばらくは慣れない環境に戸惑うことも多いかと思います。

しかし、小児科クリニックへの勤務歴があれば、将来地域の子育て支援センターなど、より地域に密着した仕事へ転職しやすくなる、というメリットもあります。

将来はそういった現場で働きたいと考えている看護師さんにも、小児科クリニックはお勧めです。

医療技術に自信がない看護師へお勧めのクリニックは何科?

クリニックは医師が個人で経営していることがほとんどであり、患者さんが来なくなってしまうということは、そのまま収益に直結する問題となります。

よって医療技術に自信がない看護師さんにとって、採血や点滴に失敗してしまうとそのまま患者さんが二度と来なくなり、収益が下がってしまう可能性が高くなることから、「極力そういった処置がない診療科へ転職すること」が、クリニックで長く働く上でのポイントとなります。、

そんな採血や点滴といった、医療技術に自信がない看護師へお勧めしたいクリニックが、「精神科」です。

病院での精神科では、治療の一環として点滴や採血、注射を行うことがあるものの、精神科のクリニックではまずそういった治療は行いません。

精神科クリニックでは、医師が患者さん一人ひとりと向き合い、ゆっくりと診察を行った上で適切な内服治療を行います。

専門的なカウンセリングなどは臨床心理士が行うため、看護師は患者さんの病状を見極め、適切な治療を受けられるように患者さんへ寄り添い、フォローすることが主な業務となります。

医療技術が問われない代わりに、看護師としてのコミュニケーションスキルを存分に生かし、患者さんの精神状態や症状を見極め、適切な対応をすることが求められる他、患者さんによっては症状から思わぬ暴力や暴言などを受けることもあります。

決して医療技術がない=楽な職場である、とは言えませんが、患者さん一人ひとりとじっくり向き合い、支えるような看護を提供したいと考えている方にとっては、おススメの診療科となります。

クリニックでバリバリ働きたい看護師へお勧めのクリニックは何科?

クリニックでは、病院のようにバリバリ働くことはできない。そう思ってしまっていませんか?

クリニックの中でも、実は病院と同じくらいバリバリと看護師が働ける職場もあるんです。その代表ともいえるのが「産婦人科」です。

クリニックは、病床数がない、あるいは19床以下である医療機関を指します。よってクリニックであっても、産婦人科は有床であるために夜勤もあり、お給料額も他の領域に比べて高い傾向にあります。

産婦人科は、妊産婦さんや赤ちゃんの状態に応じて緊急処置が必要となることも少なくないため、クリニックの中には休日であってもオンコールにて呼び出しがある、というところもあります。

また、たとえ産科を扱っていない婦人科単科であっても、女性器疾患を持っている患者さんに対し、同じ女性として患者さんの不安に寄り添い、治療を支えていくという看護師の役割は大きく、まさに「看護師としてバリバリ働ける職場である」といえます。

産科があるクリニックでは看護師の他にも助産師が多く働いています。

クリニックによっては助産師と看護師の関係が悪く、働きにくさを感じてしまうこともあるため、転職する際には事前に職場間での人間関係についても調べておくことを、お勧めします。

より多く稼ぎたい看護師へお勧めのクリニックは何科?

クリニックの平均給与は夜勤や休日出勤がない分、どうしても病院勤務に比べると減ってしまう傾向にあります。

看護師の平均給与を比較してみると、病院勤務の看護師に比べ、クリニック勤務の看護師は、月額5~10万円ほど低かった、というデータもあるほどです。

そんな中、給料が高く、より多く稼ぐことができるクリニック、それが「透析科」です。

透析は専門的な知識や技術が必要である他、土日祝日や世間の大型連休時にも休まず稼働しなくてはいけないことから、クリニックとしてのメリットを感じにくい職場である一方、お給料は高く設定されているため、より多く稼ぐことができます。

透析を受ける患者さんの多くは、慢性疾患を抱えており、長期間にわたって透析を受けていることから、転職してすぐは患者さんの方が透析について詳しいことも多く、仕事に慣れるまでは職場での人間関係の他、患者さんとの人間関係の構築が難しい、というデメリットがあります。

一方で一度透析の知識と技術を身に着けることができれば、万が一再度転職を検討するにあたっても、看護師としての自分のスキルとしてアピールすることができるので、大きな武器となります。

より多く稼ぎたい看護師さんへ、透析はぜひ候補にいれていただきたいクリニックです。

体力に自信がある看護師へお勧めのクリニックは何科?

看護師はとにかく体力勝負!病院内では患者さんの搬送や日常生活の介助など、看護師としての知識の他に、体力も必要です。

クリニックへの転職にあたっても、体力には自信があります!という看護師さんへぜひお勧めしたいのが「整形外科」です。

整形外科では運動器疾患を抱えた患者さんが来院され、お年を召した方も多いことから、移動時等看護師による介助が必要なことが多くあります。

病院ではある程度患者さんの情報を事前に取得することができるため、スムーズに介助を行うことができますが、クリニックではそのときの患者さんの状態に応じた看護を瞬時に判断し、提供する必要があるため、より精神的にも体力的にも大変なクリニックであるといえます。

また、整形外科の場合は初診時、問診の後にレントゲンやCTなどを撮影し、再度診察を受けることが多く、一回の受診にかかる時間も長いことから、診療時間が終了しても患者さんが残ってしまい、残業となってしまうことも多くあります。

よって、整形外科のクリニックで働くということはまさに体力勝負であるといえます。

一方、体力的に大変である分、お給料や福利厚生が充実していることが多くなっています。

そのため、体力に自信がある看護師さんにとっては、条件の良い求人が多いのがこの整形外科となり、ぜひお勧めしたいクリニックとなります。

体力に自信がない看護師に合っているクリニックは何科?

看護師が全員、体力があるとは限りません。

中には体力に自信がなく、「なるべくゆったり仕事をしたい」と考えている方もいるかと思います。

そういった方へお勧めしたいのが、「眼科」です。

眼科は命に関わる疾患であることがほとんどないために、精神的な負担も少ない他、高い医療技術を必要とする介助もないため、精神的にも体力的にも比較的負担が少ない診療科であるといえます。

一方で、目が見えなくなる、見えにくくなるというのは、患者さんにとって大きな負担となる症状です。

看護師として、患者さんに寄り添い、患者さんの不安が少しでも軽減できるように対応することも、眼科の看護師として重要な仕事の一つであり、またやりがいであるともいえます。

眼科へ転職するにあたっては、専門の医療器具が多いために慣れるまでは勉強が大変ですが、他のクリニックのように体力勝負となるような状況にはまずならないため、体力に自信がない看護師さんには、とてもお勧めです。

看護師の頑張り次第でお給料をUPできるクリニックは何科?

病院に勤務しながらお給料をより上げるためには、夜勤回数を増やすか、残業を多くすることで手当金額を増やすしかありません。

一方、クリニックの中には、自分が頑張れば頑張るほど報酬UPにつながるクリニックがあります。それが、「美容外科」です。

美容外科と聞くと、「美人の看護師しか採用されないんでしょ?」と思いがちですが、実際に美容外科で働く看護師さんによると、「美人であれば申し分ないが、美人になろうと美容に力を入れている方であれば、十分採用される可能性はある」とのこと。

また、美容外科の多くは「インセンティブ」つまり「出来高制」を採用しています。

他の診療科とは異なり、美容外科は基本的に保険診療外であるため、看護師も営業を行い、患者さんにより多く施術を受けてもらえるようアプローチし、実際に施術を受けてもらえることで、より多くの報酬を受け取ることができます。

美容に興味があり、自分の頑張り次第でお給料を上げられるという点にメリットを感じる看護師さんは、美容外科にチャレンジしても良いかもしれません。

最後に

同じ診療科のクリニックであっても、経営している院長により、クリニックでの働きやすさは大きく異なります。

今回ご紹介した例はあくまで診療科全体の特徴としてお伝えしたものであり、その診療科全てがそういった傾向であるとは限りませんので、その点はご注意いただけたらと思います。

今回ご紹介した例をぜひ参考にしていただきながら、よりご希望にあったクリニックへの転職が成功することを、お祈りしています!