救急看護認定看護師とは
役割
救急看護認定看護師は、急病、事故、災害医療などさまざまな場面において、救急、緊急的に行われる初期医療に携わります。こうした初期段階での医療が、その後の治療や患者の状態を左右するため、重要な役割となります。
具体的な役割としては、救急医療現場において、迅速で的確なトリアージを行い、病態に応じて適切なケアを行っていきます。救急救命の現場では、医師をはじめとする医療受持者のチームワークも大切です。救急看護認定看護師は、こうした現場における連携や調整の役割も担っています。また、時には患者や家族の立場に立って、相談・調整的な役割を果たす必要もあります。
そのほかにも、他のナースに対して、救急看護についての指導・相談、地域住民や他の医療従事者への救命技術の指導・普及、災害時における救急医療の実践など、その役割は多岐に渡っています。
求められる専門知識や技術
救急医療の現場では、医療や看護について幅広く、オールマイティな知識を必要とします。それに加え救命率を向上させるための救急看護分野における知識と質の高い技術、またそれを実行できる迅速かつ的確な判断力、行動力が重要です。
近年ではトリアージや災害医療についての知識や技術が、特に注目されています。
救急看護認定看護師になるには
資格取得方法
救急看護認定看護師教育機関において、救急看護に関する専門科目、演習、実習など6ヶ月615時間以上の教育を受けることが必要です。救急看護認定看護師教育機関は、全国で、青森、東京、愛知、大阪、香川、福岡の6ヶ所にあります。
教育課程を受講するには、看護師免許取得後、実務経験が通算5年以上必要です。なお実務経験においては、5年のうち救急看護の分野での3年以上の実務経験が必要となっています。
教育課程を修了の後、日本看護協会が実施する認定審査(筆記試験)に合格することで、救急看護認定看護師として認定・登録されます。認定については、5年毎の更新となっており、更新については、看護実践と自己研鑽についての書類審査が行われます。
資格保有者数
救急看護は、認定看護師のなかでも、最も早く認定が始まったもののひとつです。1997年より認定が始まり、初年度の認定者は23名でした。その後年々増加を続け、2007年度以降の伸びが著しくなっています。2013年現在、全国に730名の救急看護認定看護師がいます。
資格保有者は、全国にいますが、東京、大阪、神奈川、愛知、福岡、北海道など大都市圏を含む地域やその周辺地域、救急看護認定看護師教育課程を実施する機関がある青森で多くなっています。
難易度・合格率
救急看護認定看護師の日本看護協会が実施する認定審査においては、2011年度のデータで、120人が受験し、116人が合格しています。合格率については、ここ数年90%以上と高い確率になっています。これは、教育機関において、ハードな勉強を重ねてきた結果であるともいえ、救急看護認定看護師の認定審査を受けるまでの道のりを考えると、易しいものであるとは言い難いでしょう。それだけに、認定登録後は、活躍の場も広がっています。
救急看護認定看護師の資格取得後
活躍できる職場
大学病院や救急指定を受けている病院、災害拠点病院であるなど、地域において拠点となるような総合病院が主な活躍の場となっています。
救急看護認定看護師が所属する代表的な医療機関としては、日本赤十字社の都道府県支部に所属する各病院や、昭和大学付属病院や筑波大学付属病院などの大学病院、東京都立墨東病院、名古屋市立病院など公立病院、NTT東日本関東病院など企業が運営母体となっているような病院などさまざまとなっています。
三次救命に指定されている高度救急救命センターなどが主な配属先となっていますが、院内の職員に対する教育、災害医療マニュアルの作成、災害医療訓練の企画、関連省庁との連携など業務は多岐に渡ります。また、東日本大震災の折などもそうでしたが、大規模災害現場にも派遣され、救急医療に携わっています。
将来性
近年、救急患者の受け入れの問題が課題としてあがっていますが、医療の高度先進化が進む現代、救急医療ニーズというものは、年々高まっています。今後益々必要とされているものであり、医療現場において、救急看護に専門的な知識と技術を擁する救急看護認定看護師の必要性や重要性は、今後も高まっていくものと考えられます。
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