男女雇用機会均等法において働く看護師を守る
妊娠している女性労働者に関しては、男女雇用均等法の第13条で規定があります。
妊娠中、出産後に健康診断等を受け、医師から指導を受けた場合、その内容を守ることができるよう事業主は配慮しなければならないとしているのです。
その措置として講じる必要がある内容は、
- 妊娠中の通勤緩和
- 妊娠中の休憩に関すること
- 妊娠中、出産後の症状に関すること
1つ1つ具体的に内容を記載していきます。
妊娠中の通勤緩和:時差出勤・勤務時間の短縮
通勤する際に電車やバスなどといった交通機関が混雑しているだけでもつわりの悪化や流産、早産などのトラブルへつながるおそれがあります。そのような時に、配慮としてラッシュ時の通勤を避けるために勤務時間のうち始業、あるいは終業前にあたる30分から1時間程度について時間差を設けます。通勤や帰宅のラッシュと時間帯が外れることで、心身にかかる負担も軽減されるのです。
職場側に指導内容を自分で申し出ることが難しい場合には、母性健康管理指導事項連絡カードを提出することでも同様の効力があり、記載されている内容に応じた対応をしてもらうことも可能です。
また、主治医からすると通勤に利用している交通機関の混雑状況などまではわかりませんから、具体的に指導することができない場合もあります。それでも自分で申し出て説明すれば対応してもらうことは可能なため、まずは相談してみることが大切です。交通手段や通勤経路を変更するといったことも可能です。
妊娠中の休憩に関すること
妊娠中の身体は不安定であり、いつどのようなアクシデントが起こるかもわかりません。そのため、休憩時間についても延長するほか回数を増やす、時間帯を変更するといった対応が可能です。
しかし、勤務時間に比較して休憩時間のことはそれほど厳密に規定されていない部分あります。それでも、スタッフから休憩に関して申し出があった場合は、機会均等推進責任者などが聞き取りをした上で一人一人の状況と合わせて休憩の時間や回数を決めるケースが多く、具体的には休憩時間を10分から15分ほど延長するようなことが多くあります。
妊娠中、出産後の症状に関すること
医師より症状に関する指導を受けた場合、事業主に申し出ることによって勤務時間を短縮したり作業を中断したり休業することが可能です。事業主側は、医師の求める措置内容が不明確な場合には、直接医師と連絡をとり明確にする必要もあります。
労働基準法において働く看護師を守る
労働基準法においても母体保護の規定があります。
- 産前・産後の休業
- 妊婦の負担の軽い作業への変換
- 妊産婦の有害作業への制限
- 妊産婦の変形労働時間制の適応制限
- 妊産婦の時間外労働、休日勤務、夜勤の制限
- 育児時間
1つ1つ具体的に記載していきます。
産前・産後の休業
産前は6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後は8週間、女性を仕事に従事させてはいけません。本人の希望と主治医の許可により、産前6週間を越えても働くことは可能です。
妊婦の負担の軽い作業への変換
ただでさえ、看護師の仕事は重労働と知られています。患者の移乗、清拭、体位交換などお腹の大きい妊娠中の看護師には難しい業務が沢山あります。そんな時、本人の希望により負担の少ない業務内容への変換が可能です。
実際に現場では、電子カルテへの入力作業、患者の情報収集、電話対応、医師からの指示受け対応などの軽作業への業務変換が行われています。
妊産婦の有害作業への制限
放射線など完全には制限されていない業務もありますが、有害ガスの発生する現場での作業など出産や哺乳に影響を与える作業への制限があります。
妊産婦の変形労働時間制の適応制限
変形労働時間制(フレックス制)で勤務していても、1日及び1週間の法定労働時間を超えて働かせてはならないと決められています。
妊産婦の時間外労働、休日勤務、夜勤の制限
自ら請求した場合には、時間外労働や休日勤務は免除されます。実際に、看護師の現場では夜勤の制限がされている場合が多く、残業もほとんどしていません。
育児時間
満1歳未満の子どもを育てていながら職場復帰した女性は、子どもが満1歳を迎えるまでは1日2回まで30分の育児時間を請求できます。
現場では、始業時間から1時間遅く出勤したり、就業時間より1時間早く帰宅したりすることにより育児時間の確保に対応している病院が多いです。
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