糖尿病看護認定看護師とは

役割

糖尿病看護認定看護師の役割は、年々増加傾向にある糖尿病の患者さんや「予備軍」にあたる人、その家族に対しても適切な支援を行うことです。

糖尿病にかかっている人の数は、世界人口のうち5%から6%にもなっていて、日本国内に限ってもかなりの数の患者さんがいます。完治させることは事実上不可能であり、一度発症すれば生涯にわたって病気と向き合っていかなければならず、ある意味「不治の病」でもあります。

また、糖尿病を発症するとさまざまな合併症を引き起こしやすい体質になってしまうため、糖尿病そのものよりも合併症によって日常生活が困難になり、最悪の場合には生命の危機にまで至るという可能性もあります。そうした事態を防ぎ、できるだけ質の高い生活を維持させることが、糖尿病看護認定看護師に求められることです。

求められる専門知識や技術

糖尿病看護認定看護師に求められる専門知識や技術には、大まかに3つあります。ひとつは血糖パターンマネジメント技術であり血糖値は心理状態や季節、地域特性、職種などといった患者さんにかかわるすべての要素によって影響されるため、患者さんを全人的に理解する能力が求められます。

また、フットケア技術も必要であり、看護師が足のケアを行うと同時に患者さん自身も自分の足を自分でケアすることができるよう知識と技術を教えて支援します。糖尿病の合併症として多いものが足へ負担がかかるケースであり、最悪の場合には足先から壊死していく危険もあるため、予防も兼ねてフットケアは欠かすことができないのです。

そして、糖尿病ケアシステム立案技術が必須とされ一次、二次、三次予防という3つの段階があります。特に、地域における糖尿病の予防活動が重要な技術となるのです。

糖尿病看護認定看護師になるには

資格取得方法

糖尿病看護認定看護師になるためには看護師資格を取得し、看護師として3年以上糖尿病患者さんの多い病棟、外来で看護実績を積んでおきます。その上で、インスリン療法が必要な患者さん、もしくは合併症のある患者さんの看護を5例以上担当した実績があることが必要です。

できれば現在も糖尿病患者さんの多い病棟、外来、在宅ケア領域で働いていると理想的です。ここまでが前提条件であり、その上で看護協会に指定されている教育機関において、6ヶ月以上の教育課程を修めます。認定試験に合格すれば、晴れて糖尿病看護認定看護師になることができます。

資格保有者数

糖尿病看護認定看護師の資格保有者数は現在300名以上となっていて、2011年の時点で322名が登録されています。認定看護師の中で糖尿病は患者さんの数も増え続けているため、需要の高い分野とされています。

難易度・合格率

糖尿病看護認定看護師の難易度・合格率については、毎年90%以上の合格率となっています。

糖尿病看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

糖尿病看護認定看護師が活躍することのできる職場は増えていて、認定を正式に受ければ各医療機関からも引く手あまたという状況になることも考えられます。特に認定看護師になると看護外来にかかわることができますから認定分野、この場合は糖尿病の外来で患者さんの相談に乗り、病院側からの相談に応じるといったように、仕事の量が増えていくのです。

認定看護師になることで、医師との立場もほぼ対等になり、医師とともに糖尿病について学び、議論していくことが可能です。特に糖尿病外来を設置している病院や医療施設で活躍しやすく、医療機関側でも認定看護師を積極的に受け入れています。

糖尿病の専門チームを組織しているケースもあり、そうしたチームで中心的な役割を担うことが、糖尿病看護認定看護師の役割にもなります。

将来性

糖尿病の患者さんが年々増加しているため、糖尿病看護認定看護師も必然的に需要が伸びています。

とはいえ、入院するほど重度の患者さんは少なく、糖尿病になっても自宅療養をしている人が大部分です。そのため、自宅での生活を支援、指導するプロの看護師として糖尿病看護認定看護師が必要とされているのです。

認定看護師となれば、糖尿病についてはプロであるとして認められるため、患者さんも安心して指導を受けることができ、将来性についても安定することが見込まれます。