訪問看護認定看護師とは

役割

訪問看護認定看護師は、病気や障がいなどで通院が困難な方の居宅を訪問し、主治医の指示または連携により看護業務(療養においてのお世話、または診療の補助)を行う看護師のことで、かつ訪問看護分野での認定看護師資格を保有する者になります。

一般的な病院勤務での看護師知識のほか、訪問看護に特化した専門的な知識やスキルが必要とされます。

病院と地域との連携を密にし、在宅でも病院と同等程度の診療が受けられるようにすることが重要となっており、訪問看護を利用する患者一人一人の心身の状態や症状を把握し、治療や療養およびケアに必要な看護を行っていくことが訪問看護認定看護師としての役割となっています。また、看護実践を通して、看護師に対し指導を行うことが求められるケースも多いようです。

求められる専門知識や技術

あらゆる症例に対応できることが基本的な条件ですので、内科全般の知識が必要になりますが、訪問看護の対象者は大半が介護保険利用の高齢者であることから、心臓や呼吸器系、消化器系や糖尿病などの専門的な知識や看護技術も求められています。

また、要介護の患者さんを担当することもあるため、排泄や入浴の介助および指導、在宅用酸素吸入器や人工呼吸器といった医療機器の操作や管理、認知症のケアなど、病気や障がいに対応した知識と技術が必要です。

その他では、在宅での安全管理やケースマネジメントのほか、患者本人やご家族へのセルフケアの提案、容体急変時の医療機関との連携などにも迅速に対応する必要があり、訪問看護に携わるスタッフが適切な処置を行っているかどうか、管理者として指導をすることも重要なポイントになります。

訪問看護認定看護師になるには

資格取得方法

訪問看護認定看護師になるためには、日本国の看護師免許を有する者で、免許取得後、通算5年以上の実務研修経験が必要です。また5年の実務研修期間のうち、3年以上は認定看護分野の実務研修を行うものとします。

これらの条件を満たしたのち、訪問看護認定看護師を養成する教育機関で6か月間の課程を修了し、筆記試験等の認定審査に合格し認定証を交付された者が、訪問看護認定看護師として働くことができます。

訪問看護過程がある教育機関は、東京都の聖路加看護大学、日本訪問看護振興財団、兵庫県の兵庫県看護協会などがあり、これらの教育機関で訪問看護の専門知識および技術を身につける必要があります。教育機関では認定看護師の共通科目のほか、訪問看護概論や在宅ケアシステム、在宅医療管理技術、フィジカルアセスメントなど訪問看護の専門科目や実習を行います。

資格保有者数

訪問看護認定看護師の資格保有者数は全国で373名(2014年2月現在)

資難易度・合格率

認定看護師の審査を受けられるレベルに達していれば、難易度としては高くありません。合格率も毎年平均で90%ほどになっています。

訪問看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

訪問看護認定看護師が最も多く所属しているのが、一般的な総合病院になります。特に都道府県や市町村が設置した病院や、日本赤十字社が運営する病院に多くなっています。

主に内科勤務となっていますが、訪問看護やケア部門など、専門の部署がある病院もここ数年増加傾向にあります。次いで多かったのが訪問看護ステーションで、総合病院よりも訪問看護に特化した医療機関での活動を望む方が就職しています。

他にも、長期療養型の病院や診療所、特別養護老人ホームといった介護福祉施設などでも活躍しています。また、高度な専門知識を身につけているので、看護業務にとどまらず看護学校の講師や講演会、執筆活動を行う方もいるようです。

将来性

高齢者や障がいがあって通院が困難な方、または自宅療養を希望する方は年々増加傾向にあり、訪問看護のエキスパートは全国的に広く求められています。

高齢化社会が進む一方で在宅用の医療機器も進化をしており、今後も在宅医療や訪問看護といった分野は重要なポイントとなってきます。そのため、専門知識やハイレベルな技術を持つ認定看護師は、今後ますます需要が多くなると考えられています。