慢性呼吸器疾患看護認定看護師とは

役割

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は間質性肺炎や気管支喘息、COPDなどといったがんを除く慢性呼吸器系疾患の治療を受ける患者や、その家族のケアを行うというのがおもな役割となります。呼吸器系疾患の状態が安定期・増悪期・終末期であるかをしっかりと把握し、それぞれの状態に適した、ケアを提供することとなります。

基本的には、患者本人の決定を尊重して、呼吸リハビリテーションによる障害をきたした肺機能の維持や、呼吸困難症状の緩和などを行います。また、患者が自己管理によって自宅で安心して療養生活を送ることができるよう、セルフケア能力を高めるための指導や、患者を支える家族のサポートなども行います。

その他にも、慢性呼吸器疾患看護認定看護師には、他の看護スタッフと共働して患者のケアを行ったり、看護の質を高めるために、看護スタッフの指導や相談に応じるといった役割もあります。

求められる専門知識や技術

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は慢性呼吸器系疾患を患った患者の病状を正確に把握し、適切なケアを行うための専門知識や技術が求められることとなります。慢性呼吸器系疾患には、安定期・増悪期・終末期といった病期があり、病期によって必要となるケアも異なります。例えば、増悪期には、患者が精神的にも不安定となりやすいため、心理的なケアが必要となることもあります。

また、患者だけではなく、不安を抱える家族のケアも、大事な仕事となります。技術的には、患者の病状や症状に合わせて、呼吸リハビリテーションを実践することができるといった技術が求められることとなります。呼吸リハビリテーションを行うことによって、患者の肺機能を維持したり、呼吸困難症状を緩和したりします。

慢性呼吸器系疾患を患う患者は、自宅での自己管理も大切となるため、患者の意思を尊重しながら、セルフケアの指導を行うといった能力も、求められることとなります。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには

資格取得方法

慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるためには、認定看護師教育機関において慢性呼吸器疾患看護認定看護師の専門課程を6ヶ月間、615時間以上受講するということが必要となります。

受講に際しては条件が設けられており、看護師免許を取得してから通算5年以上の実務経験があり、うち3年以上は慢性呼吸器疾患に関わる、医療機関などでの実務経験があるということが受講資格となっています。

受講終了後には筆記試験(マークシート方式・四肢択一)による認定審査を受け、合格することによって、慢性呼吸器疾患看護認定看護師認定証の交付・登録を受けることができます。慢性呼吸器疾患看護認定看護師の認定証は、5年ごとに更新を行うことが必要となっています。

資格保有者数

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、2012年に誕生したばかりで、2012年には57名が認定審査に合格をしています。

難易度・合格率

慢性呼吸器疾患看護認定看護師はほかの認定看護師よりもあとに誕生したことから、年度ごとの比較によって難易度や合格率を表すことは難しいところですが、専門課程を受講して認定審査を受けたほとんどの人が合格しています。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は病院やクリニックの呼吸器科や呼吸器内科、オペ室、救急外来、リハビリテーション施設などで活躍しています。

将来性

近年では生活習慣病をはじめとした、慢性的な疾患を抱える人が増えています。とくに年々増加する高齢者の中には、糖尿病や高血圧、高脂血症などを患う人が多くいます。そしてこういった疾患の治療の過程で、間質性肺炎などといった、慢性呼吸器疾患を発症させることも多くなっています。

また、有毒ガスの吸引などによって発症するCOPDは、死よりもつらい症状と言われています。こういった呼吸器系疾患に対応し、症状を緩和させるというのが、慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割となります。

患者が正常に呼吸を行うことができるということは、病気治療に際してもっとも重要となります。そのため、各医療機関では、慢性呼吸器疾患看護認定看護師の需要が徐々に高くなっています。すでにその重要性は認められているため、将来的にも需要は、高くなることが予想されています。