精神保健福祉士とは

どんな資格?

精神保健福祉士は精神障害者が生活や社会の中で抱える問題を解決するための援助、社会への参加へ向けての支援をすることによって、その人らしいライフスタイルを獲得するためのサポートをするものです。

社会福祉学を学問的基盤としていて、精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入された専門職で、1997年に誕生した精神保健福祉領域におけるソーシャルワーカーの国家資格として社会福祉士、介護福祉士と並び「三福祉士」と呼ばれています。

心の病気がある精神障害者に対する社会復帰や社会参加支援の取り組みが先進諸国の中で遅れていた日本において、ようやく精神障害者も地域社会で暮らすための基盤を整備する制度として設けられました。

認定先

精神保健福祉士を登録して認定しているのは、財団法人社会福祉振興・試験センターです。

資格保有者数

2013年10月末日現在で、試験に合格した人の数はおよそ62,000人となっていて、登録者数はおよそ61,000人です。

難易度・合格率

受験資格を得るために、そもそも実務経験や養成施設での学習が必須とされていて、その上ではじめて国家試験を受けることができます。国家試験の合格率は十数年にわたっておよそ60%前後で推移していますが、これも受験資格を得るための過程があってこその合格率となります。

精神保健福祉士の資格を活かせる職場

医療チームの一員として導入された経緯から、やはり医療機関である精神科病院や総合病院の精神科、精神科診療所がおもな職場となっています。精神保健福祉士が単独で活動するというよりも、ほかの職種とのチームワークによって精神障害者の支援を行います。

そのほかに行政機関である精神保健福祉センターや保健所をはじめとして、市町村における精神保健福祉行政の実務に就く場合もあります。

また、精神保健福祉法にも定められている精神障害者社会復帰施設の一部では、必ず1人以上の精神福祉士を配置することが定められています。

精神保健福祉士の将来性

情報の高密度化、高速化によって核家族化による個人の孤立、パワーハラスメント、体罰などといったように、とにかくストレスの原因がいたるところにある時代になっています。このような「高ストレス社会」といわれる現代にあっては、心の病気を持つ人も非常に多くなっています。

今後もこの状態は続くと推測され、精神保健福祉分野への期待や要求は高まるばかりです。超高齢化社会にあって社会保険福祉の分野でも心のケアが必要とされていることから今後、精神保健福祉士への期待やニーズは高く、将来性は非常に高いということができるでしょう。

精神保健福祉士のお給料事情

精神保健福祉士の給料は年収で平均すると、300万円から400万円が相場となっていますが、中には600万円から700万円を得ているという人もいるようです。

精神保健福祉士が活躍することのできる職場は多岐にわたりますし、1997年に誕生した資格であることからも、発展途中にある精神健康分野の基盤とともに過渡期であるということができます。そういったことから比較的、まだ低めの年収にとどまっているとも考えられます。

どの分野でも当てはまりますが、資格だけを取得したからといって年収が高くなるというわけではありません。あくまで、その道のプロになるということが年収のアップにつながりますから、ほかのスキルを併せ持つことも大切です。

精神保健福祉士になるには《資格取得方法》

受験資格

保健福祉系大学4年で指定科目を履修すると、受験資格が得られます。また、保健福祉系の短大で指定科目を履修すると、その後相談援助実務も経ることで受験資格が得られます。

大学や短大で基礎科目を履修する場合には、短期養成施設に通うことで受験可能となります。そのほか一般系大学や短大を卒業するケースでは、一般養成施設に通うことで受験資格が得られます。

審査方法・試験内容

試験内容としては精神疾患とその治療、精神保健の課題と支援、精神保健福祉相談援助の基盤をはじめとした精神保健福祉に関する内容、社会システムや地域福祉、低所得者に対する支援と生活保護制度、保健医療サービスなどが挙げられます。精神保健に関する技術的な分野のみならず、社会福祉サービス分野に関わる広い知識についての試験となります。

受験日程

平成26年は1月25日と26日で、年に一回の試験となります。

費用・会場

受験費用は、精神保健福祉士のみの受験であれば13,250円となっています。そのほか、精神保健福祉士と社会福祉士を同時に受験する場合は17,510円、精神保健福祉士の共通科目を免除して受験する場合は10,560円となっています。

試験会場は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県です。

問い合わせ先

公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 国家試験情報専用電話案内 03-3486-7559