今、世界で精神科医療が先進していると言われる地域は、イタリアだと言われています。

また、日本における精神科医療の発展遅延が問題視されています。

日本では精神疾患の患者さんに対して、「病院に入院して貰って症状や状態が安定するまでは出てきてほしくない」と思われる傾向があり、それに従うように入院治療している現状があります。

その為に世界でも高い水準で入院率と入院患者を持っている日本の精神科医療の現状があります。

しかし、イタリアでは、人口一万人に対し一床程度しか精神科病床を確保せず、地域で暮らしケアしていくことを推奨しています。

日本では、一万人に対し27床のベッド数が確保されている現状があり、公立病院、民間病院含めてほぼ満床状態にあります。

では、精神科治療が発展するために地域での取り組みや看護の視点に必要な事柄を記載しましょう。

精神保健センター

精神科医療、地域での精神科患者を支える機関として精神保健センターの稼働が重要視されています。

精神科医、臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士等が関与し、精神障害者の支援を行います。

地域で暮らす精神疾患患者さんに対し、自宅訪問し、様子を伺い、相談やコミュニケーションを図り、その日常生活に支障や問題が無いか、また、正しい療養がなされているかを確認、観察、支援します。

時に、介入を拒否する方もいますが、信頼を確保し関係性を縮めるために必ず訪問し、家に入れなくても気にかけている事を知らせ続けます。

人間関係を形成し、地域に溶け込み暮らしやすい環境づくりをすることを支援します。

また、交流やコミュニケーション、レクリエーションへの参加や社会参加を持って、地域支援を受けやすい状態を作ったり、就労支援やデイケアでの社会生活訓練を行えるよう支援します。

自傷他害への対策

日本では、自傷互いのリスクのある患者さんには措置入院や強制入院を持ってその危険性へ対策することがあります。

自分たちの生活に迷惑、周囲や地域へ迷惑なので病院に隔離すると家族の要望を聴くこともあります。

しかし、イタリアでは、この事態に対し危機的状態を見直すきっかけとしたり、精神疾患と抱える患者さんやその取り巻く環境を成長させるチャンスとして、共に乗り越えるためのアプローチを考えます。

精神障害を有する患者さんは、自分の町内で暮らし、支援を受けながら普通に生活が出来ることが望まれます。

日本の精神障害患者さんが安心して地域で暮らせるように、地域住民、日本国民の精神障害者への正しい理解がなされるよう教育指導されることが必要と言われています。

精神科医療の正しい理解

地域住民、日本国民が正しく精神障害について理解するためには、医療職者である看護師自身の正しい理解が必要です。

では、精神科医療、精神科看護とはどのようなものなのでしょうか。

精神科看護とは

精神的な健康を害した患者さん、精神状態が不安定となり、何らかの介入や介助を必要とする人々に対し、その方らしさを取り戻して生活出来るよう支援する事です。

その方の人権や尊厳、思いを尊重し、精神疾患から早期に回復し、社会生活や社会交流が出来るよう支援します。

精神科看護の対象者

精神疾患患者さんはもちろんですが、日々の生活で重圧や恐怖、不安など心の問題を抱えている全ての人々が対象です。

また、現在は心の問題が無くても、誰しもいつでも心に問題や障壁を持つことがあります。

そのような、今後心の健康を崩すかもしれない全ての人を含みます。

現在では、人々の関係の希薄化、核家族化、少子高齢化などにより、人々の共存、共生、繋がりが薄くなってきています。

社会状態の変化から、いじめ、自殺、虐待などの事件や事故も増加し、単独世帯での孤独死も問題となっており、精神科看護の対象者の幅も広がっています。

精神科看護者の取り組み

精神科に関わる看護師は、精神疾患の予防や治療に関わるのみではなく、精神状態の維持、安定、心の健康増進が図れるよう社会活動を進められています。

精神保健や福祉への関心を持ち、全ての人々が健康的に、楽しく活発に生活出来るようメンタルヘルス活動を進めることが求められます。

精神科認定看護師

精神科看護で専門的かつ高度な関与の出来る質の高い人材に付与される資格が精神科看護認定看護師です。

1995年に設立された資格で、精神科領域を極め、高度な看護技術と知識をもって精神科看護の対象者を支援し、また、共に働く医療職者の質の高いケアの習得に教育、指導を行えると認められた人に与えられます。

質の高い精神科看護の実践ができ、同職者の精神科看護相談に応じられる知識を持ち、指導ができる、また、精神科看護の発展に貢献出来ることとされます。

●資格取得までの流れ
受講資格審査を受け、合格すると精神科認定看護師教育課程を受ける資格が得られます。

そのカリキュラムが終了すると、精神科認定看護師認定試験を受験できます。

合格すると、資格登録し登録後は、5年ごとの更新制となっています。

まとめ

精神科看護について、まだまだ我々看護師自身も理解が足りないことがあります。

その方の人生が楽しく明るいものであるよう、精神疾患になる前に相談やコミュニケーションによりその方の心の闇に取り組むことが求められます。

また、精神疾患は生活背景や養育環境など、今現在の状況以外の事が多く絡む難しい事案が多くあります。

精神科の患者さんが、心を開いても良いと感じられる看護を実践したいものです。