医療機関に勤務する医師や看護師が患者さんや関係者から暴言や暴力を受ける実態について何か知っている事がありますか?
実に、80%の医療職者が、このような場面にあったり遭遇しています。
医療職者側にも問題があるのかもしれません。しかし、モンスターと言われる患者さんは、時にまかり通らない事を言い、医療職者を脅威にさらします。
モンスターペイシェントの実態
モンスターペイシェントに多いのは、認知症の高齢者、精神疾患患者、酔っ払った救急患者、意識状態の虚ろな患者さんとされています。
時に、待ち時間が遅い等と一般の成人患者さんが怒号を上げるケースもあります。
疾患が原因で起こるトラブルは、医療職者として目をつむらなければならない事もありますが、我慢できない大人によるモンスター化が見受けられます。
警備員、警察、第三者の介入が無ければ収拾がつかない事態もあります。この他、亡くなられたご遺族から「人殺し」と罵声を浴びせられた医療職者もいます。
一生懸命力を施しても、伝わらない、感じ取れない人たちが医療職者の心を蝕んでいます。
では、医療職者は、どのようにしてモンスターと戦うべきでしょうか。
医療職者としての対応
ただにクレームなのか、悪質なクレーム、モンスターなのかと言われると、その受け手である医療職者の感じ方にもよるかもしれません。
診療時間や予約時間を守らず診察を強要する、待ち時間にしびれを切らして罵声や怒りをあらわにする、治療や説明を無視して治らないと医療職者を責める、酩酊状態による暴言や暴力、脅迫まがいの言動など、医療職者が恐怖とも感じるやり取りがあります。
看護師や女性職員は、鬱状態や健康不良に陥ったり、医師や他の医療スタッフ、男女関係なく仕事が出来ない状態になってしまう事があります。
まず落ち着かせる
モンスターを元の状態に戻すには、訴えを聞くことが大切です。
しかし、訴えを聞ける状態かどうかと言われれば、そうではないかもしれません。怒り、叫ぶ、暴力をふるう、周りを顧みない行為に対し、話を聞くことは困難です。
まずは、落ち着きを待つことからはじめましょう。
一旦、怒りをあらわにしてしまうと、何をしても、何を言ってもどうにもならないことがあります。その人が、落ち着くまで待つことも必要です。
なにかあれこれ言っても、耳に入らないことや、余計に怒らせてしまう事もあります。変な刺激を与えず、落ち着きを待ちましょう。
話を聞く
訴えを聞いてほしいモンスターペイシェントは、話を始めます。
その思いを否定する事無く受けとめ、傾聴と共感を現し、謝罪します。そこで言い訳や面倒な説明、規則等と言えば、再度怒りの火に油を注ぎます。
その思いをくみ取り、しっかりと話を聞きましょう。
こちらの説明を聞いて貰う
全てを受け入れ、収拾すると、一旦は解決します。
しかし、次に同じようなケースがあればこの患者さんは同様の怒り、輪をかけた怒りをあらわにするでしょう。
よって、落ち着いて話を聞き、冷静になれば、医療側の理由やルールを話して受け入れて貰いましょう。
自分たちの落ち度があれば謝罪しますが、その理由や特別な状況があれば、その理由をしっかり話すことも必要です。
モンスターページェントを落ち着かせる方法
「上の者を呼んできます」と言って時間を持たせる
その患者さんに関わっている時間は、他の患者さんにしなければならない事もあります。
理不尽なことを言っていると自分を振り返る言葉にもなり、時に、その患者さんが落ち着きを取り戻すことがあります。
「警備員や警察を呼びます」と第三者の介入を臭わせる
警察と言われれば、言われたくないという心理が働きます。
それで逆上するモンスターペイシェントもいますが、そこで「ハッと」冷静さを引き返すこともあります。
陳謝する
やはり、謝罪する事が最も落ち着くと思われがちですが、これが返って状態を悪化させることがあります。
「だろ?」「だから言っただろ」「ダメな病院だな」と謝ったことを逆手に自分の主張を通す患者さんもいます。
よって、ただ闇雲に謝るのではなく、患者さんが落ち着いた事を確認して、「○○に関しては申し訳ありません」と非の部分を強調して謝罪するようにしましょう。
認められない部分もあると認識づけさせる為にも、この部分の強調が必要です。
看護師とモンスターペイシェント
看護師も多くの女性がターゲットになり被害を受けています。モンスターペイシェントと関わるうちに健康状態が悪くなり、仕事に行けないと言う看護師も多くいます。
技術の不手際、コミュニケーション上の問題、自分の健康を考え精神的不安定を看護師にぶつける、治療に対する苛立ちなど、看護師が原因となること、患者さん自身の問題など様々な内容で、患者さんに身近な看護師が攻撃されています。
個人を否定する言動、叩く・蹴るなどの暴行、状態や治療に対し意見を言い「訴える」と脅されることもあります。
女性看護師は、セクハラや性的嫌がらせの対象となる事もあり、身体的苦痛より精神的苦痛を強め退職していく看護師もいます
医療安全対策室を設け、患者さんのクレーム対応、医療に対する投書などを行う医療機関もありますが、モンスターペイシェントには響かない取り組みなのかもしれません。
看護師としてできる対応
モンスターペイシェントには、なかなか付きっきりにはなれないし、自分ではどうにもならないことがあります。現場で困った時、上司への報告や対応の依頼を行い、自分の身や健康を守る為にもその場から離れるようにしましょう。
そして、自分を責めるようなことがあってはいけません。
ミスや技術不足で怒らせた場合は、キチンと陳謝し、その指摘を感じさせない技術を身につければよいことです。
ですが、自分が原因で無いことに関しては、「誰が対応しても同じ結果になった」と開き直る事も仕事を続けるには必要です。
モンスターペイシェントについての、院内の対応マニュアルを再度確認しておくことも必要です。また、コミュニケーションをとっておく、信頼関係を築いておくことでこの問題を回避する事が出来ます。
日頃から患者さんを訪室し、しっかりと訴えに耳を傾ける余裕があれば、モンスターになりたい患者さんは減ると思われます。
訴えが通らない、聞いてもらえない、自分の思いを理解してくれていない不安からモンスター化してしまう患者さんを救出する事も、この問題を減らすために必要ではないでしょうか。
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