高血圧の指標は、看護師であれば誰でも知っているでしょう。しかし、この常識に一石を投じる情報が日本に入ってきています。
アメリカの医療界では、高血圧の指標が最高血圧120mmHg未満にすべきとの意見が立ちあがっているようです。血圧120mmHg以下で病気での死亡者が27%減少させられ、心不全を減らすことが出来ると言われています。
現在の日本の医療界では、血圧140mmHg未満を「良し」とする診断となっており、現場は困惑しています。
では、高血圧と医療・看護の実態についてまとめてみます。
血圧を下げることのリスク
血圧を下げると言う事は、心疾患や心不全、動脈硬化や生活習慣病を改善したり、予防する事は分かっています。
しかし、血圧を下げると言う事は、低血圧による転倒や転倒による骨折、虚血による意識障害や脳機能障害、脳血管障害の発症の原因ともなります。
高血圧のみに着目すると血圧を下げることが必須のように聞こえますが、血圧を下げることにより起こりうるリスクについて考えなければなりません。
アメリカでの研究
血圧を120mmHgに抑えると、心不全発症リスクが低減できると言うのです。
年齢50歳以上を対象に、心筋梗塞リスクのある患者さん9400人に血圧を120mmHgに下げた患者さんと140mmHgまで許容した患者さんの三年間を追跡調査すると、120mmHg以下にした患者さんの心疾患や脳血管障害の発症リスクが低くなり、死亡率は27%低いと言う調査結果を得ています。
しかし、一般の人々の血圧を見ても、120mmHg以下の人々が多い訳ではなく、現在健康とされている成人の多くを病人としてしまうことにもつながります。
また、腎臓に至っては、血圧を下げることで腎血流量が低下するために、腎障害を来たしてしまう、人気の応が低下してしまうと言う新しい報告があることも事実です。
日本での血圧管理
アメリカでの血圧認識の変化により、日本も少なからず影響を受けています。
しかし、血圧の指標としては、現在の指標である140mmHgを目安とすることを徹底し、これまで通りの診断と治療を行うように取りきめています。
高血圧患者さんへの生活指導
高血圧の患者さんに対し、看護師が出来ることは正しい情報提供と生活指導です。
減塩食による食事指導と、正しい運動による心肺機能の増進があります。
減塩食事療法
一日10グラムから12グラムを限度に一日の塩分摂取とされていますが、高血圧の患者さんに対しては、一日6グラムと半分の食塩摂取を推奨する動きがあります。
減塩食を1ヶ月間継続(これまでの塩分量から2グラム減らしてみる)すると、平均血圧約2mmHg低下すると言われています。
一日8グラム削減すると16mmHgの血圧を下げられると言う事です。
運動療法
運動は、毎日30分の有酸素運動が有効です。
30分継続的に行わなくても、通勤中に10分間歩いて出社、退社して、帰宅後10分を^キングするなど計30分行う事でも同等の効果があります。
きつい運動や激しい運動はなかなか継続しにくい為、ウォーキングが最も継続的に行いやすい有酸素運動です。この他にも、ランニング、スイミング、自転車、エアロビクスなどの有酸素運動です。
一日8000歩から10000歩するようにと指導しましょう。
高血圧予防の指導
少しの早歩きを30分間継続する事を週に5階することで高血圧を予防できると言われています。心肺機能を高め、血圧が安定する事が示されています。
食事は、一日6グラム以下の塩分制限にすること、飽和脂肪酸とコレステロールを少ない食品の選択、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラル豊富な食事摂取が高血圧予防に関わるとも言われており、食事指導の際にこの知識を伝えることも必要です。
また、ストレスの軽減や解消、ストレスを感じない生活が高血圧予防に深く関与するため、メンタルケアやストレスマネジメントについての知識も提供しましょう。
まとめ
高血圧は、高齢者、成人あらゆる年齢層に潜んでいる疾患で、人々の関心事項とも言えます。
よって、世の中の情報に敏感な人々が多く、医療職者が正しく情報を持っていなければなりません。
今回は、アメリカで120mmHg以下をとの認識を提唱する声が日本にも入ってきたことによりますが、日本では、これまで通りの140mmHg未満の高血圧診断で統一されたようです。
これからの世界の医療事情、国内の医療事情に敏感になり、変更や変化を正しく理解しておくことが必要です。
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