高血圧、動脈硬化など代表的な成人病をはじめ、狭心症、心筋梗塞など、心臓、冠動脈、大動脈といった循環器における疾患を対象とする循環器科。患者数が多い上に、ひとりひとりの患者さんに合ったさまざまな看護が求められます。

循環器科で身に付く看護師のスキル

基礎的な看護技術

注射、点滴、採血、体位交換、保清、バイタルサインの測定などのスキルが身に付きます。

この中でも、呼吸、脈拍、体温、血圧といったバイタルサインを正確にすばやくとり、患者さんの病態の変化を確実に発見する能力は、ほかのどの診療科においても必要とされるものですが、循環器科ナースには特に求められるスキルです。

医療機器の操作

心電図などのモニター、輸液などのポンプ、人工呼吸・吸入・吸引器、ペースメーカーなどの医療機器にも関わります。

その他

心電図の読み取りやアセスメント能力、急変時の対応、心臓外科における術後管理、心臓リハビリテーションの知識などが身につきます。

また、患者さんの状態の変化に敏感になるための観察力、患者さんや、その家族の精神的なケアに関する知識や技術が身につきます。

勤務する病棟によっては、ターミナル時の緩和ケアや、急性期から回復期に至るまでに必要な一連の看護技術や知識なども身につきます。

最先端の医療技術

循環器内科におけるカテーテル治療や、心臓血管外科((循環器外科、心臓外科)におけるバイパス手術など、最先端の医療技術に触れたりすることができます。

循環器科看護師のスキルアップ資格

急性・重症患者看護専門看護師

急性・重症患者看護専門看護師は、緊急度や重症度の高い患者さんに対する、高度で専門的なケアが行えるよう支援していく役割を担います。

また、精神的なケアも含めた、患者さんや家族へのサポート、スタッフ間の調整なども行い、最適な医療が提供できる環境作りを支援していきます。

慢性心不全看護認定看護師

慢性心不全看護認定看護師は、慢性心不全の患者さんに対し、退院後の生活も見据えながら、心不全憎悪を予防するための看護を行うスキルを身につけた看護師です。

心不全憎悪因子を評価・モニタリングした上で、身体機能の回復促進や、憎悪予防のためのケアの実践、患者さんの自己管理能力が高められるよう、それぞれの病期や患者さん個人に最適な、生活調整の支援やセルフケアの支援を行っていきます。

循環器専門ナース

循環器専門ナースは臨床心臓病学教育研究会が認定していて、循環器看護についての専門知識を有し、高度な看護が実践できることを証明する資格です。

看護師としての5年以上の臨床経験を有し、学会の循環器専門ナース研修を受講して認定試験に合格することが、認定要件となります。専門看護師や認定看護師に比べて、身近に取得できる循環器科看護師の専門資格として、注目されてきています。

呼吸療法認定士

呼吸療法認定士は3学会合同(日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会)呼吸療法認定士認定委員会が認定します。

重症患者を看護するにあたり重要なもののひとつである、人工呼吸や吸引、酸素療法などといった、呼吸療法についての専門性を高める資格です。

受験には、正看護師としての2年以上の経験(准看は3年)を有し、認定委員会が認める学会や講習会において所定の単位を取得したのち、認定講習会を受講することが必要です。1996年の1回目から2013年18回目まで、2万人以上のナースが合格しています。

循環器科で得ることのできる看護技術や知識は、どのような診療科においても、必要とされるものが多くなっています。これら関連する資格を取得し専門性を高めていくことは、循環器科における勤務に活かせるだけでなく、看護師としてのスキルアップや、キャリアアップにもつなげることができるでしょう。