病院の中にはいろいろな役割の看護師が仕事をしています。特に大きな規模の総合病院や大学病院を中心として、退院調整看護師というナースも活躍しています。

退院調整看護師とは何となくこれから退院しようとしている患者の対応をする看護師であるとイメージできるかもしれません。

しかし具体的にどのような役割を担っているのか、仕事内容としてどのようなものがあるのか知られていないかもしれません。そこで退院調整看護師とはどのようなものかについて紹介します。

退院患者の不安を取り除く仕事

特に長期入院をしていた患者で病状が回復に向かっている、安定している場合に退院という措置の取られることも十分あり得ます。

しかし長期入院していればいるほど「社会に溶け込めるのか?」「昔みたいに仕事をして社会復帰できるのか?」などのいろいろな不安を抱え込む傾向が見られます。その患者の抱える不安を取り除く役割を担っているのが、退院調整看護師といえます。

退院調整看護師は、退院後患者がどのような生活を望んでいるのかをヒアリングします。自宅で療養したいという人もいれば、施設への入所を希望する人もいます。

また、退院するといっても、まだ後遺症や何らかの障害が残っていて、介護が必要なケースも出てきます。その場合介護をしてくれる家族がいるかどうかなども聞いて、どのような生活がその患者にとってベストなのかを考えていきます。

もし介護施設や福祉施設などの利用が必要な場合には、関係機関と調整する必要があります。このように患者が退院後も安心して生活できるような環境を整備することこそが、退院調整看護師の最大の役割と言っても良いでしょう。

退院調整看護師の行う3ステップ

退院調整看護師は具体的には、3段階のステップを踏んで患者の退院のアシストを行います。

第1段階はスクリーニングとアセスメントです。これは患者の取り巻く現状について生活に把握することで、退院後どのような支援を求めているのかを評価する作業です。患者やその家族からいろいろと話を聞いていきます。

また、患者と家族と出要望にずれの生じるケースもあるかもしれません。そのような場合には患者と家族の意見交換を行って、情報の共有を行うプロセスも必要になるでしょう。

第2段階は具体的なサポートに移ります。アセスメントを行ったうえで、患者やその家族に病気のことや症状などについて、正しい理解を求めます。病気や症状の正しい理解がないと、どのような支援を受けるべきなのか、正確な判断ができなくなります。

支援に関しては退院調整看護師がいろいろとアドバイスをしますが、最終的には患者やその家族が決めることです。そのための必要な情報を提供することも、退院調整看護師にとって大事な役割の一つといえます。

退院日が近づけば近づくほど、より退院後の生活を具体的にイメージできるように接することもときには求められます。

最終段階は支援サービスの調整になります。基本はできる限りの自立した生活、家族がいれば家族による介護になります。しかしこれだけでは限界もあります。そこで患者や家族をバックアップするために、地域の支援サービスが受けられるようにいろいろと調整するのも退院調整看護師の仕事になります。このように退院しても困らないような環境整備を3段階に分けて行っていきます。

医療の専門家としてのアドバイスも

退院してからも治療を続ける必要のある患者は多いです。そこで医療の専門家の看護師が、療養中に注意すべきことに関していろいろとアドバイスもします。たとえば服薬指導や栄養面から見た食事に関する指導などが含まれます。

後遺症で体が不自由になっているのであれば、自宅でもできるリハビリや体操をレクチャーすることもあるでしょう。また在宅でもいろいろな医療サービスが受けられるので、その紹介なども行います。

家族が介護する場合、いろいろとわからないことや不安なことも出てくるでしょうから、その相談に乗るのも退院調整看護師の重要な仕事です。