感染症を発症した患者さんの治療に用いられる治療法が、抗生物質の投与です。
その種類は豊富で、感受性のある病原菌で無ければその効果は得られません。
また、時に副作用を発症したり、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす可能性がある危険性のある薬剤です。
特に、初回投与の際は、副作用や反作用の観察を行い、異常早期発見出来る対応が求められます。
では、患者さんが安全に抗生物質での治療が受けられるように、看護師に求められる知識となどのようなものがあるでしょうか。
抗生物質の用法や副作用への理解を深めましょう。
抗生物質の種類
感染症には、細菌感染と真菌感染、ウイルス感染があります。
抗生物質が有効な疾患は、細菌感染で抗菌薬とも言われています。
・細胞壁合成阻害薬
細菌壁を破壊し、細菌を殺す効果があります。人体細胞への毒性が低く、ペニシリン系の薬剤で、肺炎や中耳炎の治療に用いられます。
・タンパク合成阻害薬
細菌の合成には、タンパク質が必須です。
人体の構成にもタンパク質が必要なように、最近も生きていくにはたんぱく質を必要とします。
それを作らないようにし向け、細菌を増殖させない効果があります。
アミドグリコシド系、テトラサイクリン系、マクロライド系、クロラムフェニコールなどの種類の薬品があります。
・DNA合成阻害薬
細菌の核と言われるのDNA(遺伝子)の生成を阻害するお薬です。
ニューキノロン系の抗菌薬が有効です。
・葉酸合成阻害薬
DNAの合成に必要な葉酸の生成を阻害し、遺伝子情報を途絶えさせることで細胞の増殖を抑えます。
サルファ剤がよく聞く薬品です。
・細胞膜透過性障害薬
細菌の細胞膜の物質輸送を阻害し、細胞機能を低下させる薬品で、ポリペプチド系抗菌薬があります。
カビ菌に効果を現すのが、抗真菌薬です。
・ポリエンマクロライド系抗真菌薬(アムホテリシンB、フルシトシン):カンジタの治療、呼吸器、消化器、尿路系の真菌感染症の治療に用います。
おむつ排泄や陰部の清潔が保てない方、膀胱留置カテーテルを長期に留置している尿路感染者等に用いられます。
・アゾール系抗真菌薬(フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール):これも、カンジダ治療に用いられますが、白癬菌治療に使われる薬品です。
・抗ウイルス薬
ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、インフルザウイルス、ウイルス肝炎、帯状疱疹ウイルス、HIV感染などのウイルスに対して治療します。
抗生物質の副作用
抗生物質の初回投与で注意したい副作用は、アレルギー反応です。
投与直後より発症し、発疹、嘔気、ふらつき、血圧低下、頻脈、意識混濁、ショック状態と見る見るうちに症状が出現していきます。
対応が遅れると、呼吸停止、死に至る事もあります。
また、消化器症状として下痢やカンジタを発症する事もあります。
腸内細菌に働きかけ、その常在菌へのダメージから腸内環境を損ない、下痢に至ります。
そして、人気の応障害や肝機能障害を呈する場合もあります。
薬品の代謝は、肝臓が行い、腎臓で排泄されることから、これらの臓器にダメージを受けることもあります。
時に、精神や神経障害などにより、ふらつき、めまい、夜間せん妄を発する事もあります。
そして、免疫機能への作用から、日和見感染や常在菌機能低下による易感染性となることもあります。
抗生物質の使用注意点
用法用量を守り、正しく使用しなければ、効果を低下させたり、耐性菌を作ってしまう事があります。
また、牛乳等の粘膜をはるような食品や飲料は、薬液の吸収を阻害する事がある為、特に内服薬での抗生物質投与では、乳製品との飲用は避けます。
一度処方されて、不快感やアレルギー反応などを発した経験のある薬剤の投与は危険なので、代替えの抗生物質に変更が必要です。
まとめ
一般的に処方されやすい抗生物質ですが、その理解が浅ければ副作用や異常出現の基となります。
患者さんの既往歴や抗生物質の使用歴などを合わせて情報を持っておくと、異常早期発見や対処が出来ることもあります。
また、誰にでも処方されやすい薬品だからと安易に利用していると、患者さんの異変に気受けないことがあります。
アレルギー反応や副作用から患者さんを護る為にも、正しい薬品知識が必要です。
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