患者さんの急変や状態悪化の際に行われることとして、救命処置があります。

急変や異常を発見した看護師は、周辺にいる看護師や医療スタッフを応援要請し、全員で患者さんの命を護ります。

その時に、救命に必要な薬剤や処置用品等を一括してまとめてあるカートが救急カート(処置カート)です。

強心薬、点滴セットや輸液ライン、補液や点滴製剤、呼吸に必要な挿管セット、各種血液検査や検査薬品などが準備されています。

看護師は、いつでも求められれば活用できる救急カートの整備と取り扱い法の自知識が必要です。

また、どこに何が入っているかを知っている事で円滑に指示や業務を行う事が出来る為、日ごろから救急カート内の整備や管理を行い、その知識をもっていなければなりません。

では、救急カートの場所、必要物品、その保管位置を知り、万一に備えましょう。

救急カートの準備体制

まず、救急カートが病棟のどこにあるかを知っていなければなりません。

そして、院内や病棟内でその使用法のマニュアル化、遵守徹底事項の共通化を図っておく必要があります。

また、日常的に点検し、その物品位置を把握し、その物品補充や整備、滅菌物の使用期限のチェックを行っておく必要があります。

いつ、誰が使用したか、補充状況の確認、点検時期と次回点検予定を立てておく必要があります。

最も安心とされることは、日勤開始時と日勤終了後の点検、夜勤開始時とその後に行うと安心です。

しかし、何度も繰り返すと、大丈夫であろうとの認識から確認作業の怠りが出てくることがある為注意が必要です。

・必要薬剤の定数と使用期限確認
・器材や滅菌物の使用期限
・器具、器材のバッテリー確認

また、別の観点から、急変が予測される患者さん、重篤な患者さんの周囲に位置しておくことも必要な場合がある為、このような措置は、職員全員で考慮すべき事項です。

救急カート内の配置

1段目:ファーストライン

救命に必要な薬剤を中心に配置します。

2段目

気管内挿管、呼吸管理に必要な物品を配置します。

喉頭鏡、エアウェイ、バイトブロック、その固定テープなど

3段目と4段目

気管内挿管に必要な物品を配置します。

挿管チューブ、気管チューブ、カフ圧計、ジャクソンリース、バッグバルブマスク、酸素投与に必要な物品を配置します。

また、医療機関によっては、血液検査に必要な点滴セットや輸液、検査検体、静脈や動脈血検査物品を準備している場合もあります。

救急カート内の薬品

救急カート内には、救急蘇生ガイドラインに沿った薬品が準備されます。

循環器系、脳神経系、痙攣に対応できる薬品と物品を整備しています。

・アドレナリン(エピネフリン)

血管を収縮させ、循環を護る薬です。

急な心停止、アナフィラキシーショック、ショック状態に対応する強心薬です。

・リドカイン

不整脈の治療を行います。

心房細動や心室頻拍で、除細動が不適応な場合に使用されます。

・アトロピン

脈拍が充分に得られない場合、抗コリン作用を狙ってこの薬品が投与されます。

副交感神経を抑制し、心活動を期待します。

・抗けいれん薬

てんかん発作や脳疾患による痙攣誘発を抑制するために使用されます。

ジアゼパムなどが使用されます。

この他にも、各医療機関によって導入されている治療薬品があります。

その一つ一つの効果と使用法を知っておかなければなりません。

そして、その薬品が救急カート内のどに部分に配置されているかを知る事で、迷わずその指示薬品を準備出来るようになります。

まとめ

まず、新人看護師や経験の浅い看護師、病棟の配置転換等の異動をした看護師に必要なことは、救急カートがどこにあるかを知ることです。

そして、その病棟では、救急カートを使用する頻度や適応のある患者さんがどの程度来るのかを知っておくことも認識として必要です。

ですが、あまり使用頻度が無い病棟で起こりがちなことが、いざという時に活用できない救急カートの存在です。

使用頻度に関わらず、いつでも使用できる体制をつくっておかなければなりません。

よって、チェック、点検、物品位置の把握が大切と言えるでしょう。