CTとは

CTとは、コンピューター断層撮影法のことで、X線菅を円軌道運動させ人体に薄いX線を照射して人体の断層像を得る、多断面・3D画像による精密検査です。単純X線では得られない、臓器の断面増を映しだすことが可能なため重症患者や緊急の外傷患者などの確実な診断にも適しています。

CT室勤務の看護師の役割

CT室での看護師は、患者さんが安全にCT検査を行えるよう援助することが大きな役割になります。

CT検査は、造影剤を使用することや検査時間が部位によっては長い場合、30分以上かかること、検査台に横たわり体を動かせない状態であることなどから、検査を受ける患者さんはにとって緊張やストレスとなる検査になるため看護師のサポートが必要になります。

検査前の状況把握と説明

CT室での具体的な看護師の仕事は多岐に渡りますが、検査前においては、まずは患者さんの状態を把握することから始まります。その上で患者さんへ検査の説明を行って行きます。

持病のある患者さんへの対応

CTでは、特に持病のある患者さんへの対応も重要です。アレルギー疾患の他にも糖尿病のある患者など病状によっては、医師の判断を仰ぐことになります。他にも、閉所に恐怖感や圧迫感を感じる患者さんや腰痛により安静が保てない場合などにも対応が必要です。

CT検査では食事の調整を行うため、検査前6時間は絶食となります。また、造影剤を使用するため、事前にアレルギーの確認を行います。

検査の説明

検査においては、患者さんに検査の手順を説明します。X線被爆は少量であり、人体に影響がないことや検査には痛みが伴わないこと、検査中は体を動かさないこと、検査にかかる時間などを説明します。

特にCT検査では、正確に検査を受けるためには安静にする必要があります。検査内容を十分理解することで、患者さんの不安感を軽減するとこができ検査をスムーズに行うことができます。

その他、ヘアピンや義歯、補聴器、眼鏡をはずすことや、検査時間においては排泄を済ませて受けることを勧めます。

患者さん個々の対応

また、安静保持が難しい場合では、状況に合わせて、転倒防止用ベルトで体動制限や薬物などで鎮静を行う必要もあります。事前に患者や家族への確認や説明を行います。

その他にも、意識障害の患者さんの場合など、ケースによっては、転倒防止のため放射線防護衣を着用する場合もあります。このようなケースも事前に検討し対応を行います。

検査中の看護師の仕事内容

造影剤による副作用の観察

造影剤を使用する場合には、嘔吐・嘔気・ショック症状などの副作用の観察を行います。

造影剤のショック症状が出現した場合は、造影剤の注入を直ちに中止し、脈拍・血圧・呼吸・意識などの全身状態を観察し、医師に報告し必要な処理を行う必要があります。

特に、造影剤によるアナフィラキシー症状が出現した場合は重篤化する恐れもあるので事前に急変対応の準備をしておくことも重要です。アナフィラキシー症状は生命の危険もあるため、患者さんの訴えやバイタルサインの変化などをつねに観察するとが大切です。

副作用の発生は、継続的に注意して観察を行います。場合によっては、造影剤の注入により急激な血管の拡張から体が熱く感じる患者さんもいますが、患者さんには薬の副作用で心配ないことなど伝えます。

患者さん個々への対応

CT室は温度が低いため、保温にも気をつけます。特に高齢者などは保温の保持に努めます。

患者さんが車椅子などを使用している場合は、転倒を防ぐため、必要に応じて介助を行います。

検査中は、円筒状の内部に入るので、閉所恐怖症の患者さんには、看護師や技師が身近にいることを伝えます。また、撮影時に息を止めるなどの検査中の指示でも患者さんが理解できるようふまえた指示に気をつけます。

検査後の仕事

検査後は急激に立ち上がると、起立性低血圧を起こす場合もあるので座位の姿勢をとらせます。

また、造影剤の排泄を促すために水分摂取を十分に行うことや、検査終了後の倦怠感や浮腫、湿疹などの症状なども速やかに報告するよう説明を行います。

このように、CT室の看護師はCT検査においては患者さんの経過観察が重要になります。患者さんが安心して検査を受けられるよう不安の払拭も大切です。