良かれと思って行ったことが裏目に出たり、謝って不快な思いを与えてしまったりと、患者からのクレームをもらって悩んでしまうことってありませんか?

特に、へこんでしまい易い理由として、周りの同僚はうまくやっているのに、自分ばかりが責められることがあったりすると、どうしても比較してしまい、辞めたくなったりするものです。

もしかすると、同僚たちは、患者さんからのクレームにどのように対応すれば良いのか、秘密のコツを知っているのかもしれません。

でも、安心してください。

コツはそんなに難しいものではありません。

これを読めばあなたも明日からクレームマスターです!

通常のクレームと悪質なクレーム

まずは、クレームについて考えてみましょう。

クレームと一口に言っても、ここでは通常のクレームを中心に解説していきます。

モンスターペーシェントによる悪質クレームは全く別物です。

悪質クレームの対処法については、看護師必見!モンスターペーシェントからのクレーム対処法を参考にしてください。

さて、それでは通常のクレームとは何でしょうか?

それは、患者が当然の権利を主張したものや、満足な結果が得られなかったりした際に発生します。

具体的には、「何度も同じ依頼をしないと看護師さんに対応してもらえない」や、「看護師さんの中で情報伝達が行われていない」など、対応する側に問題がある場合が挙げられます。

ここで重要なことは、クレームの発生するメカニズムです。

小さなことに突然怒り出す患者さんも中にはいると思いますが、たいていの場合は小さな不満が積み重なり、最終的に我慢の範囲を超えて溢れ出た際にクレームとして表出されることがほとんどです。

よくコップの水に例えられたりしますよね。

つまり、日頃から患者さんへの関わり方のポイントさえ押さえてしまえば、通常のクレームは減らすことができるのです。

通常のクレームが発生した時の対処方法

まず最初に、実際に患者さんからクレームを受けた時には、どのように対応することが望ましいのでしょうか。

相手のニーズを早期に見極める

患者さんの不満が爆発して、クレームがあった際は、まずは何を訴えているのかしっかりと見極める必要があります。

そこで、過大な要求をしていないか、悪質なクレームではないかということを見極めます。

その結果、通常のクレームであることが分かったら、まずはじっくりと傾聴することが大切です。

こちらの意見を挟んだりすることなく、相手の思いを全て出させることです。

怒りをあらわにしている人にとって、その怒りを共感してもらえることが、何より重要です。

その際に、傾聴を示すテクニックとして、以下のようなものがあります。

  • うなづく
  • 目を見て聞く
  • メモを取りながら聞く(しっかり聞いていることを示す)
  • 相手の言葉を時々復唱する

逆に、絶対にしてはいけないことは、以下になります。

  • 「でも」「お言葉ですが」など、相手を否定するようなことを言う
  • 仕方がないとこちらの事情を最初から説明する
  • 自分では分からないと責任逃れをする
  • あなただけ文句を言うとクレーマー扱いをする
  • 口を挟み、話を遮る

テクニックをうまく活用し、誠実に傾聴することで、実はほとんどのクレームが解決します。

クレームが多くて辞めたいと悩んでいる看護師さんがいたら、まずはこの点から見直してみると良いかもしれません。

クレームを受け止めPDCAを回す

傾聴し、患者さんの思いを受け取った後は、それについて、今後どのように対応していくか、検討する必要があります。

これは、同じクレームを何回も受けないようにする意味と、クレームを伝えてきた患者さんに、きちんと対応していることを示すためでもあります。

PDCAサイクルとは、計画を立てて、実行し、その結果を評価して次の行動につなげるものです。

クレームを受けた個人の問題とせずに、組織全体で改善策を考えていくことが大切です。

仮に、対応が遅いというクレームを受けた場合、勤務体制の見直しや、人の配置や動線など、課題の抽出を行い、改善できる点がないか全員で考えます。

その結果、業務ごとの対応人数を変えたり、チーム編成を変更するなどでして、患者さんへの対応時間の変化を調べます。

そのまま上手くいくこともありますが、人数やチーム編成では問題は解決しないこともあります。

そうした場合には、何が問題だったのか再検討し、時間を要している他の業務を見直すなど、より良い対応へ改良します。

こういった姿勢を示すことで、患者さんの理解も得られ、通常のクレームは減ることでしょう。

通常のクレームを発生させない事前の対処方法

次は、日頃からの関わりで、通常のクレームを発生させない方法についてご紹介します。

看護師さんと患者さんのギャップを知る

あなたにとって、そこは日常の中の一つの場面だと思いますが、患者さんにとっては病院の環境は非日常です。

いつもと違う身体の状態、慣れない環境、聞いたことのない言葉を耳にしたりしていることを、念頭においてください。

例えば、あなたがいつもの重症な患者さんに比べたら、それほど重症度の高くない患者さんに「大丈夫、すぐ治ります(一か月くらいの入院)」と伝えたとします。

患者さんは自分の中の尺度でこの「すぐに治る」という言葉を受け止めます。

人によっては一週間以内と感じたり、三日以内と感じる人もいるでしょう。

つまり、「伝えたこと」がそのまま患者さんに「伝わったこと」とは限らないということです。

その点を考慮して、相手がどう受け止めているのか、その都度確認することがお互いの理解を一致させ、クレームの数を減らすことに繋がるのです。

これは、インフォームドコンセントを行う場合も同様で、どの程度まで理解をしているか、分かりやすい言葉を用いているかなど、注意をすることで、患者さんの満足度も高まるります。

面倒に思うかもしれませんが、日頃から相手の認識を確認することで、つまらないクレームで悩まずに済むので、ぜひ試してみてください。

職場にある原因なら転職する!

私も本当に追い詰められた時に、何のために仕事をしているのか分からなくなって、とっても辛かったことを覚えています。

しかし、そんな時に、友人から「患者さんが多すぎるからクレームが多いんだよ、違う職場を選んでごらん」とアドバイスされました。

私は、その意見を聞き、実際に転職してみるとクレームを受けることが全くなくなりました。

それまで自分のせいだと責めていましたが、病院のシステムに問題があったことがわかりました。

正直、転職なんて、全く選択肢にはなかったですが、職場が違うだけでこんなにも違うということを実感しました。

あなたがもし、自分を責めているなら転職も重要な選択肢です。

余裕をもって患者さんに接することができるクリニックや、組織全体でクレーム対策をしている職場がオススメです。

転職する際に、そのあたりの情報を確認しながら、理想の職場を見つけてみてください。

最後に

上記のようにいろいろな対策を講じても、通常のクレームはきっとゼロにはならないでしょう。

世の中には様々な人がいますし、医療に求められる質も日々変化します。

通常のクレーム対応は、これが正解というものはありません。

しかし、一生懸命患者さんに接しているその気持ちを大切にできるように、日常の小さな心がけで、クレーム発生を最小限にできます。

通常のクレームのために、看護師さんを辞めるか悩む必要はありません!

辛いこともありますが、一緒に頑張りましょうね!