現在の管理職の位置につくまでに、新人時代に感じた漠然とした不安や、チームをまとめる難しさに悩んだリーダーの経験など、とても険しい道のりを乗り越えてきたと思います。

そこまで、がむしゃらに努力をして、進んできたにもかかわらず、管理職がつらすぎて、辞めようかなと悩んでいる人はいませんか?

管理職というのは、医療業界に限らず、部下をどのようにまとめ、引っ張っていくか、その個人の手腕が問われるため、心的苦労も大きいものです。

私自身も、いくつかの職場で管理職を経験してきましたが、その時々で自分なりの工夫をしてきました。

このまま管理職を頑張りたいという方も、辞退したり別の職場を考えたいという方にも、参考になれば幸いです。

管理職として成功する方法

外部主催の管理職向け研修で情報収集する

職場内での管理者向け研修会が、整備されているところも多いと思います。

しかし、ここでは、あえてそれ以外の外部の研修会に参加することをおススメします。

というのも、一般企業であれば、取引先との交流や、ライバル会社の状況を把握など、常に他の企業との比較の上に成り立っているため、情報交換は必須のものとなっています。

ところが、医療の世界は恐ろしく狭く、職場以外の状況を知る機会がとても少ないのが現状です。

そのため、他者の良い取り組みを知る機会と言えば、雑誌やインターネット、学会などの限られた情報源しかないうえに、高い意識を持って、情報収集をしようと自ら動いている人も、ごくわずかです。

そんな中、効率よくタイムリーな情報収集が可能な手段が、「外部の管理職向け研修会に参加する」です。

様々な職場から、同じ悩みを抱えている人が集まりやすいこの機会は、悩み共有・解決にもってこいの場所です。

つらい悩みを共有し、看護師を辞めたくなっていると伝えれば、きっと答えが見つかるでしょう。

たとえ、答えがなくても、何かしらのヒントがあるはずです。

職場を越えた横のつながりは、とても重要です。

自分のファンを増やす

これは、私が職場の上司から学んだことですが、今でも、何もするにも自分の軸になっています。

「自分のファンを増やす」とは、文字通り、自分を応援してくれる仲間を増やすということです。

管理職になると、部下への指示や、方針を決定することが多くなります。

そのような時に、力任せに何かを強いる方法では、部下は動くでしょうが、様々なところに歪みが生じてきます。

例えば、離職率が挙がったり、生産性が落ちたり、仲間割れなど、職場環境の悪化が予想されます。

ところが逆に、部下の人たちが、あなたのためなら多少の難しいものでも、やっていきたい!という気持ちを持っていたらどうでしょうか?

前向きに、自主性を持って業務にあたるようになり、職場の環境は一気に好転します。

そうすれば、あなたの悩みも軽減されないでしょうか?

では、どのように、自分のファンになってもらえばよいのでしょうか。

それは、「安心して、前向きに楽しく働ける気持ちを持たせる」ことにつきます。

具体的には、貢献している人にきちんと感謝を示す、自分が楽しそうに働く、全員に声をかけて主人公であることを実感してもらうなどです。

そして、何かあったら全力で守ってくれる人がいるということを、感じてもらうことも重要です。

最初は難しいかもしれませんが、地道にこの姿勢を続けていくことで必ずファンが増えていきます。

私もこの方法で、職場の離職率を大幅に下げました。

看護師の仕事は、とても厳しいですが、そういう環境だからこそ、結束力も力に変えることができます。

やはり、人同士ですので、好感を持てる上司のところには、いつでも人は集まると思います。

職場全員と情報共有する

これも、さきほど挙げたファンを増やすに共通する部分もありますが、部下は思っている以上に、職場の客観的な情報が見えていません。

自分の新人の時を考えてみればわかりやすいと思います。

業務を正確にこなすことに注力して、職場の環境や、チーム力など、一歩上の視点を持つことができません。

企業では、会議に参加するときは、経営者の目線で物事を考えろと言いますが、それらの訓練を受けていない看護師の世界では、どうしても自分目線の発想に終始してしまいます。

そこで、重要になるのが、今どこに課題があって、どのような方向で進もうとしているのか、職場の役職に関係なく、全員に共有することです。

あなた自身の考えていることを、積極的に発信することで、部下の人たちは、全体感や方向感を共有することができ、一歩先に視点を持つ助けになるからです。

そして、そこを理解することで、あなたの方針についていきやすくなるのです。

これは比較的に、すぐにできることなので、お試しください。

管理職を辞退・転職して普通の看護師さんとして再出発

これまでは、管理職という自分との向き合い方を中心にご紹介してきました。

しかし、管理職がつらくて看護師を辞めたいと悩んでいる人の中には、それ以外の理由もたくさんあると思います。

たとえば、残業が異常に多い、給与が少ない、人の管理をすることが苦手など、様々なものがあるでしょう。

そこで、管理職を辞退して職場で働く方法や、転職する方法などをご紹介します。

管理職以外の道を選択(辞退する)

管理職という仕事はストレスがとても大きいです。

つらくて辞めたいと思ってしまう人も、実際にはたくさんいると思います。

悩んだ結果、辞退するにはどのようにしたら良いでしょうか。

方法はいくつかあると思いますが、現実的には、自分には荷が重いということを素直に伝えることが一番だと思います。

しかし、そのような理由では通らないこともあるかもしれません。

そういった場合には、管理職を行う代わりに、何か役割を当ててもらうことも良いと思います。

たとえば、人手の少ない部署に異動して、後輩の指導にあたったり、職場にはいない認定の資格をとるなど、貢献度の高いことを行えば、問題なく辞退することができるのではないでしょうか。

ダメもとで、代案を出してみると良いでしょう。

では、異動も難しい上に、とくに高めたい専門性もない、という場合にはどうしますか?

その時は、管理職の役割を求められない職場に転職しましょう。

管理業務なしの看護師さんとして再出発(転職)

管理職業務をこなす必要のない職場に転職すれば、悩むことなく、楽しく看護師が続けられるかもしれません。

小人数制で、昇進や階級のない職場や、ベテランの管理職の人が既にいる職場などが良いでしょう。

時には、移動教室などの、付き添い看護師の仕事も良いかもしれません。

私も、休みの日など、時々気分転換で行っています。

その時に、管理職まで行っていたことを伝えると、「経験豊富な看護師さんが、同行してくれるとあれば、安心できる!」と言われることが少なくありません。

また、看護学校の教諭なども、良いのではないでしょうか。

これまでの、すべての実践的な経験が活かせると思いますし、実際に求められていると思います。

職場も役職も自由に選びましょう

管理職を任されるということは、それだけの実力があると認められていることです。

現在の職場で頑張ってみても、また新しい職場でも、大活躍されるのではないでしょうか。

そこまで上り詰めた看護師という仕事です。

辞めてしまうのはもったいないですよ!

つらい、辞めたいと悩んだら、「自分が評価されている」という事実と、「働き方は選んでも良いのだ」という選択肢を、もう一度考えてみてくださいね。