腰痛は看護師の職業病というべきものの一つではないでしょうか。

程度の差こそあれ、誰でも業務の終わりには腰を伸ばしたり、ストレッチをして労わりますよね。

仕事における腰痛対策は、近年ますます注目されてきており、厚生労働省は、数年前に腰痛対策の指針を19年ぶりに改訂したと公表しました。

国外でも、オーストラリアなどでは、古くからノーリフティングを掲げ、医療・介護現場では、補助ロボットなどの導入を積極的に進めています。

それにより、職員の腰痛を大幅に軽減できたというデータも出ています。

さて、私たち日本の看護師の職場はというと、まだまだ対策が遅れているのが現状ではないでしょうか。

腰を痛めながらも、無理に働いている場合も決して少なくないはずです。

腰への負担が多い業務トップ3

基本的に、立ち仕事のため、腰痛やヘルニアの危険性は常に付きまといますが、特に負担の大きな業務は次の3つではないでしょうか。

入浴、トイレ介助

これは、納得できませんか?

移乗も移動も含まれ、一歩間違えると大変なダメージを受けます。

そして、これらの共通点として、狭い空間で患者さんを動かすことが多いのが特徴です。

そのため、十分に足を広げて重心を低めに保つといったボディメカニクスを活かしきれずに、無理な体制で介助をすることもしばしばあります。

さらに、人間の生理的な問題でもあるため、これらへの対応が日に何回もあるという厄介な問題もあります。

特に入浴介助などは、移乗などに加え、高温多湿な浴室で、腰をかがめて患者さんの体を洗ったりするわけですから、負担は計り知れない状況ですよね。

腰用のサポーターをするなど、自分なりの対応策を取らないと、慢性的な痛みに悩まされることになります。

そうなると、勤務の度につらい思いをして、看護師を辞めたくなってしまいますよね。

体位交換

これも日常的に発生する業務です。

一般的に推奨されている2時間ごとの交換を繰り返し、そのたびに患者さんの体全体を動かすわけです。

体重の重い患者さんの場合には、これだけで重労働です。

私が集中治療室で働いていた時のことですが、体重100kgを超える患者さんが入院してきました。

鎮静剤投与下で、まったく意識がなかったので、看護師3人がかりで対応しました。

そもそもベッドにやっと収まるほどの大きさだったので、左右どちらを向く場合にもスペースを確保することにも苦労して、動かすたびに、自分の腰への負担を感じました。

最終的には、看護師だけでは対応できずに、医師なども加わり、検査での移動やシーツ交換などを行いました。

また、他の場面としては、夜間の巡回時に体位を変える時も、暗い中で行うことが多く、十分なスペースを確保できなかったことを思い出します。

いずれにしろ、看護師の仕事は本当に腰への負担が大きいですね。

物品の運搬

これは、職場によっては生じないかもしれませんが、酸素ボンベの設置や、点滴ボトルがたくさん入ったケースを運ぶ際には、腰への負担がとても大きくかかります。

患者さんへの対応と違って、体積が小さいことと、手をひっかけやすいなどの点はありますが、重いことに変わりはありません。

今は薬剤師さんが調剤をすべて行い、病棟にはセットされたものが届く仕組みなっているところも多く、病棟で点滴ボトルを多く管理することもなくなってきている場合もあります。

しかし、予備の薬剤などは必ず保管していると思いますので、棚卸の作業はなくならないですよね。

このように、腰への負担が大きい業務を挙げてきましたが、現在ひどい腰痛を持っていたり、既にヘルニアに悩まされるような状況の人はどうしたら良いのでしょうか。

おすすめの転職先はここ!

やはり、ヘルニアのレベルに達してしまっているような場合には、腰への負担が少ない職場に早々に転職するべきです。

無理に働くことは、将来を考えて絶対にしてはいけません。

また、負担のない業務を中心に担当することもできますが、代わりに同僚の負担が増すばかりで、それも長い目でみれば根本的な解決にはなりません

意外かもしれませんが、腰への負担が少ない職場は数多くあります。

例えば、以下のような職場はいかがでしょうか。

小児科

これはイメージが付きやすいですよね。

そうです、大人に比べて体重が軽いので、どんな業務も比較的負担なく行うことができます。

とはいえ、中には体格の良い子供もいることや、時には抱える必要もあるため、腰痛のレベルにもよりますね。

私の後輩は、ヘルニアが悪化して、外科病棟から小児科病棟に異動しました。

その時に言っていたのですが、大人と違って基本的に子供は親とセットでいることが多いため、簡単に手を借りることができるそうです。

そんな協力を上手く活用すれば、上手い方法で対応できそうですが、いかがでしょうか。

まずは、小児看護に意欲的になれることが大前提ですが。

入院設備のない職場

腰痛を悪化させる業務のほとんどは入院患者さんへの対応の中で発生することがほとんどですので、外来を中心とした職場はお勧めです。

また、立ち仕事ばかりではなく、座って仕事をすることも可能な場合もありますので、選択によっては負担をぐっと減らすことができると思います。

外来の中でも、車いすへの移乗など、発生してしまう可能性もありますが、病棟に比べれば圧倒的に少ない割合です。

一切の腰への負担を避けたい!というのであれば、次にご紹介する転職先が良いと思います。

病院施設以外の職場

これが一番腰への負担を避けることのできる選択になります。

例えば、保育園や学校等の保健室での業務。

これらは、基本的に自立歩行可能な人が対象ですから、めったなことでは移乗を全面的に手伝うといったことはないでしょう。

しかし、それでも可能性はゼロではありません。

もしかしたら、怪我をしたり、心疾患などで意識をうしなってしまう人への対応も必要かもしれません。

さらに本気でリスクを避けたい人は、一般企業への就職を強くお勧めします。

なぜなら、私自身が身を持って経験してきたことだからです。

私も、激しい腰痛もちで、少しの物を持ち上げるだけでも、辛くて看護師を辞めたくて辞めたくて毎日苦しんでいました。

そんな時に、ちょうどタイミングよく、企業での看護師募集の案内を目にしました。

業務内容は、主に医療業界の市場調査でしたが、似たような業種としてコールセンターなども良いかもしれません。

とにかく椅子に座って仕事をするスタイルと、重いものを扱う必要のない業務内容で、本当に楽でした。

家族の転勤を機に退職するまで、腰の痛みを抱えていることを忘れるほどでした。

本当におススメしたいです。

このように、選択肢はたくさんあります。

最後に

腰痛やヘルニアは、この先歳を重ねていくごとに、向き合う必要のある持病となって襲いかかってくるかもしれません。

つらい気持ちで働いていても、精神的にも体力的にもどんどん自分を追い詰めることになるだけです。

職業病だから仕方ないと我慢したり、看護師を辞めてしまう前に、新しい職場を探してみるのはいかがでしょうか。

あなたの選択ひとつで、つらい気持ちを解消できますよ!

一緒に楽しく働きましょうね!